完結 秋の色、トンボ
秋の色は、ときめく。この山奥の町は、山装う秋の色。トンボがいっぱい飛んでいる。寺はたくさんあり街の方からの観光客も参拝に来る。健人と早紀は二人で一緒に町を歩いている。紅葉で二人は包まれる。
おばあちゃんが生きていたら、また違った感じなのだろうな。
健人はそう思う。健人と早紀は寺に参拝にまわる。トンボが飛んでいる。早紀の横顔に健人はドキドキしている。
こう健人は考える。
また街で仕事をしようかな。
それと、早紀と一緒になりたい。
健人は早紀にこんなことを話す。
「街で仕事をまたしようかな、って思っている。早紀にお願いがあるんだ。一緒になってくれないか?」
これを聞いた早紀は目線を下に落とす。それから、にっこりしてこう返した。
「私でいいの? こちらこそ、お願いね」
健人は早紀を連れて、もう一度街での仕事をする決心をする。
秋の色、いや、二人のときめく時間は、きっと続くのだろう。これからの二人は、この山奥の町から、自由に飛んでいるトンボのように飛び立つのだろうか。この世を去って行ったおばあちゃんも二人の幸せを願っているのだろうか。
健人は早紀の手をつないで、お互いに笑顔になる。
秋の色の山奥の町。
トンボがいっぱい飛んでいる、二人の幸せを願うように。
秋の色、トンボ、どこかへと消えたおばあちゃんの形見である外国の硬貨、そう、ここは、この世界のどこかにある町。
ちょっと昔には、健人と早紀とおばあちゃんの三人が一緒に居たあの頃の町。
幸せな町 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo
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