第8話 大切なもの
健人と早紀は山奥の町の自然を見ている。たくさんの緑が二人の視線に入って来る。
健人は相変わらずズボンのポケットに手を。おばあちゃんの生前の外国の貨幣。大切なもの。
早紀が健人に聞く。
「どうしてズボンのポケットに手を入れているの?」
健人は立ち止まる。
「教えないけど?」
ズボンのポケットに入れているものを早紀に言うのは、なぜか恥ずかしいと考える健人。
「私と手をつながない?」
早紀の一言に健人はちょっと照れている。二人は立ち止まったまま。
「そのポケットには大切なものが入っているんだよね?」
健人はちょっと驚きを隠せない。
「どうして、わかったの?」
早紀はふふんと笑顔に。
「幼なじみの私がわからないとでも言うの?」
早紀は健人の片手をそっと握る。
どうやら健人の大切なものがひとつ増えたようだ。
あれ? 早紀は自分のことを好きなのだろうか?
山奥の町の自然の中で、健人は早紀と手をつないで歩いている。トンボが相変わらず飛んでいる。今日という日は健人の心の中にあった死に対しての意識も変わるのだろうか。
セミの鳴き声が止んだ。
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