第7話 セミが死んでいた

 健人と早紀が一緒に歩いている。トンボがいっぱい飛んでいる。セミの鳴き声は弱々しかった。ここは山奥の町、健人にとって安心できる場所。

 歩道にて、セミが死んでいた。

 健人はそれを見て立ち止まる。早紀も立ち止まる。

 健人はセミが死んでいる姿を見つめている。

 どうして、今おばあちゃんのことを思い出したのだろうか?

 健人はセミの亡骸を見つめている。それが、おばあちゃんとの最後の時間を思い出させる。けれども、おばあちゃんとセミは全く関係ない。だが、死んでいることは共通して言えるだろう。

「健人? どうしたの?」

「早紀、なんでもない」

 健人と早紀は、また一緒に歩いている。

 健人はズボンのポケットに手を。外国の貨幣をお守り代わりに持っている。

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