第6話 現在に戻って。前に進めない
健人は無職のままで、街でのあの頃の働いていたことを思い出しては、暗かった自分を客観視する。
あのまま働いていたら、自分はきっと。
部屋から出て、散歩をする健人。トンボが飛んでいる。遅れてのセミの声は聞こえない。開運の寺に向かう途中に、幼なじみの早紀と偶然出会った。
「どこに行くの?」
「開運の寺だけど? 一緒に行く?」
「うん」
この山奥の町は田舎だ。町の入り口から出口までは歩けばけっこうな距離がある。
健人は無職になってからというものの、以前のような自己肯定は下がったような感じである。なかなか前に進めない健人。けれども、幼なじみの早紀がとなりで一緒に歩いている。それについて健人は安心感を再確認するのだ。
開運の寺に到着した。幼なじみの早紀と一緒にお賽銭を入れて手を合わせる。トンボが飛んでいる。健人は本当はわかっている。こんなことをしても、本当は願い事が叶うわけがないと。でも、今は幼なじみの早紀が居てくれている。それが楽しくて嬉しかった。
「早紀? 次はどこに行く?」
「ちょっと歩いて決めようか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます