第78話 レベルアップとわさび茶漬けと

王都での問題を解決したジャズ達は、クラッチの基地へと無事に帰還を果たした。

降臨祭の期間中、ジャズ達サキ小隊は仕事であった為、その後は振替休日を貰える事になったようです。さて、ジャズはどうするのでしょうか。

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 王都での任務から、クラッチ駐屯地の基地へと帰還し、無事に義勇軍の任務もやり遂げる事が出来たので、サキ隊長がコジマ司令への報告を済ませた後に、入れ替わる様に司令室に入室した。


「ジャズ上等兵、入ります。」


「入りたまえ。」


コジマ司令に促され、司令室へ入り、執務机の前まで進み出て立ち止まる。


敬礼をして、コジマ司令の言葉を待つ。


「さて、では報告を聞こうか。」


「はい、まず第二王子アロダントの身辺調査ですが、やはりダークガードとの繋がりがあった様です。」


コジマ司令は自分と俺にお茶を出し、話をゆっくりと聞く様な姿勢を取った。


「そうでしたか、先程のサキ少尉の報告にもあった通りと言う訳でしたか。」


お茶を啜り、溜息を付きつつ、コジマ司令は椅子に深々と座った。


「そこで、闇の崇拝者のマグマと言う男と戦闘になり、一応、撃破には成功しました。」


「そうですか、やはり君に一任して正解でしたね、今回の件でジャズ君は大いにこの国へ貢献してくれました。そこで、君とニール君の両名に一階級進ませる事にしました。ニール君にはサキ少尉から伝えられると思いますが、君には私から直接渡しておきます。」


 そう言いながら、引き出しから「伍長」の階級章と、何かの袋を取り出し、机の上に置かれた。


「受け取り賜え、ジャズ伍長、昇進おめでとう。」


(遂に俺も伍長に昇進か。)


「は! 謹んで拝命致します。」


伍長の階級章を受け取り、早速服に取り付ける。


「それと、今回のジャズ君の働きに報いる為になり、また、王族の方々をお守りした功績が認められ、ジャズ君とニール君に王城から金一封が与えられます。この袋を受け取り賜え。」


な、なんと、金一封まで貰えるのか。やったぞ。


「は! 有難く受け取ります。」


 机の上に置かれた袋を掴む、結構ずっしりとした重みがあるぞ、一体幾ら位入っているのかな? 


後で確認しよう。アイテムボックスに袋を入れる。


「それと、今回のサキ小隊の任務により、降臨祭のお祭り期間中の休暇が無かったので、君達サキ小隊には振替休日を与えます。三日間のお休みを与えますから、しっかりと体を休める様に、以上です。」


「は! 有難う御座います。では、自分はこれで失礼致します。」


敬礼して後ろを振り向き、司令室を後にする。


(やったぞ、三日間のお休みが貰えたぞ。)


 早速金一封の中身を確かめる為、お手洗いに直行、個室に入り、アイテムボックスから袋を取り出す。


(結構重いぞ、一体幾ら位貰えたのかな。)


 袋の中を開き確認したら、なんと、金貨が3枚も入っていた、他には銀棒が20本と銀貨が100枚、合わせて金貨6枚分のお金だ。


え? こんなに貰ってしまっていいのか? 金貨6枚分は大金だぞ。


 ついつい顔がニヤケてしまう。いかん、顔に出てしまう、顔の周りをマッサージして、袋を元に戻す。


 あ! そうだ、経験点がかなり溜っていたんだった。よーし、ここらで一丁レベルアップといきますか。


経験点が6450点もあるからな、一気にレベル上げだ。


 ………と、思っていたら。な、なんとレベル10で止まってしまった。カウンターストップというやつだ。


(そうか、この辺は「ラングサーガ」と同じなんだな。)


 初級クラスでは、レベルは10までしか上がらない、これ以上レベルを上げるには中級クラスへと「クラスアップ」しなければならない。


しかし、メニューコマンドにはクラスアップの表示は無い。


「うーん、どうすればクラスアップ出来るのかな? ゲームだと自動的にクラスアップするんだがな。」


あれこれ色々やってみたが、やはりクラスアップは出来なかった。


これは一旦保留だな、何とかクラスアップの方法を探さないとならない。


 取り敢えずはこのままレベル10でいこう。最大HPも30になったし、打たれ強くなった事は確かだ。


 さて、お次はスキルだ。スキルポイントが34ポイントもある。これはかなりのものだ。


 よし、早速スキルレベルを上げるか。まずは「タフネス」のレベルを最大のLV5まで上昇させる。


 これで残り29ポイント、まだまだ使える、更に「スピード」のスキルレベルも5まで上げる。


よしよし、残り24ポイント。


あとは、そうだな、剣術のスキルレベルを一つ上げるか。


これで剣術LV4になった、かなり接近戦で有利になる筈だ。残り20ポイント。


後は全属性耐性のレベルを一つ上げられそうだぞ、………よし、上がった。


 これで「全属性耐性」がLV2になった事で、対魔法使い戦において有利に事を運べるぞ。魔法ダメージ40%カットだからな。


残りの10ポイントのスキルポイントは、今後の為に取っておこう。


よーし、大体こんなもんかな、ちょっと確認してみよう。



 ジャズ  LV10  HP30

 職業  忍者

 クラス  下忍


 筋力 35  体力 30  敏捷 42

 器用 37  魔力 13  幸運 30


ユニークスキル

・メニューコマンド

・精神コマンド 5/5 (必中 不屈 熱血)


スキル

・ストレングスLV5 (フルパワーコンタクト)

・タフネスLV5

・スピードLV5

・投擲

・剣術LV4

・身体能力極強化

・全属性耐性LV2


経験点4700点  ショップポイント2000  スキルポイント10


武器熟練度

小剣 105  剣 90 槍 35



 こんな感じだ。うむうむ、中々見れるステータスになってきたじゃないか。


レベルも10になると、やはり感慨深いものがあるってもんだ。


精神コマンドも一日5回使える様になった訳だし、後の問題はクラスアップだけだな。


 何とかしないと。折角経験点が沢山貰えたからな、早いとこクラスアップしたいもんだ。


 その後は、基地の外へと出て、飲食店が建ち並ぶ所へとやって来た。


 女将さんの料理が食べたくなった。早速引き戸を開けると、「いらっしゃいませ~」と言う女将さんの声が聞こえた。


「女将さん、食べに来たよ。」


「ああ、あんたかい、今日は何にするんだい?」


「そうだな~、何かあっさりした物ってあるかい?」


カウンター席に座り、出されたお冷を一杯頂く。


「あっさりした物ね、それじゃあお茶漬けなんてどうだい?」


「何!? お茶漬けがあるのかい女将さん。それじゃあ、わさび茶漬けってあるかい?」


「ああ、あるよ。わさび茶漬けでいいのかい、鉄貨5枚だよ。」


「安い! それ食べたい。わさび茶漬け頂戴。」


「はいよ、ちょっと待ってな、直ぐ出来るからね。」


そう言って、女将さんは料理を作り始めた。と、思ったら直ぐにわさび茶漬けは出された。


「はいよ。」


「どうも。」


カウンターにお金を置き、女将さんがそれを持って仕舞う。


「頂きます。」


両手を合わせて早速頂く。わさびの鼻につーんとくる匂いが堪らん。食欲をそそる。


 箸を使い、かきこむ様にわさび茶漬けを食べる、う~ん、鼻にわさびがつーんと来る、これがまたいい。


旨い、これ旨いよ。わさび茶漬け最高、安いし旨い、また食べたくなる美味しさだ。


わさび茶漬けは、あっという間に平らげる。両手を合わせ「ご馳走様」をする。


ふ~~う、お腹いっぱいだ。旨かった。また食べに来よう。


「そう言やあ女将さん、お祭りはどうだった?」


「祭りかい? 生憎の雨だったけど、皆楽しんでお祭りをしていたと思うよ。王様が亡くなって、皆意気消沈してたけどさ、明るく振舞って、降臨祭を楽しんだよ。あんたはどうだったんだい?」


「俺かい? はは、仕事だったよ、まあその分、休暇が貰えたからいいけどね。」


「ははは、そうかい、仕事かい、軍人さんも大変だねえ。」


「それじゃあ、女将さん、また来るよ、ご馳走様。」


「まいどあり~。」


女将さんの声を背に、店を後にして、クラッチの町へと出ていく。


さて、何をしようかな。そう思った時、ふとニールがこちらへとやって来た。


「よーう、ジャズ、奴隷買いに行こうぜ。」


………………こいつ何言ってんの?















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