数える話。
あと何回、君と喧嘩出来るだろう。
あと何回、君とキス出来るだろう。
前者はない方が、後者はたくさんの方がいい。
「…だってさ」
「なんの話?」
谷町が指したのは殺風景な地下鉄の壁に飾られた広告。
「あぁ…最近話題になってるやつ?」
「え、話題なのこれ?」
二人は足を止めてその広告を眺めていたが暫くして塩塚が口を開く。
「でも俺は前者があってもいいと思う」
「え?」
「だって喧嘩するほど仲いいって言うじゃん」
眉が少し下がり口が軽く開いている塩塚の表情を見て平和なもんだと谷町から笑みが零れた。
「なんか変な事言ったか?」
「別にぃ…ってかそろそろ帰ろぜ?」
掛け合いの後笑みが、今度は二つ零れる。
「まぁ俺が傘忘れたから見れたわけで、感謝しろよな」
「一人で見つけてもどうせ写真撮って見せてきただろ?」
「まぁね」
(暗転)
○○な話。 めがねのひと @megane_book
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