当たり付き棒アイスの話。
「うぉぉ!」
「なっ…んだよ急に」
頭上で聞こえた大声に驚いた谷町がソファーに座る塩塚の方を向いた。
大声を上げた張本人である塩塚は手にアイスの棒を持っている。
「当たった」
「は?」
「アイスが当たったんだよ!」
「…あっそ」
「反応薄っ!」
興奮気味の塩塚を尻目に谷町は手に持ったままだった漫画をまた読み始める。
恋人の反応の薄さに頬を膨らましつつ、塩塚はアイスの棒をマジマジと見つめてから数秒後、ソファーから立ち上がって外に出る準備をし始めた。
「なんだよ、もう遅いぞ」
「アイス交換してくるんだよ」
「…子供かよ」
「谷町も行く?」
「はぁ!?」
唐突な誘いに明らかに不満そうな返事をした谷町だったが、忙しかったせいでデートどころか一緒に出歩いてもいなかったことを思い出して、読んでいた漫画を閉じて立ち上がった。
「わかったよ」
「やった!」
「あとついでに柔軟剤も買うぞ。詰め替えもうなくなってたから」
「はーい!…ついでに酒買わない?」
「…少しだけな」
谷町が財布とスマホをポケットに仕舞い、塩塚の方を見ると恋人の嬉しそうな顔が見える。それにつられて谷町も頬を緩めたのだった。
(暗転)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます