○○な話。

めがねのひと

初恋の話。

初恋は幼なじみだった。

それは少女漫画みたいな初恋じゃなくてどちらかと言うとギャグ漫画みたいなものだっただろう。


「塩塚」

「なんだよ急に」


そいつは俺より背が高くてスタイルが良い奴だった。決してイケメンとは言えない顔だったが周りに気配りが出来るやつで男女問わずそこそこ人気があった。


「ちょっと背伸びして…まぁしなくてもするけどさ」

「なんだよ…っ」


視界が埋められて一瞬だけ息が出来なくなる。ファーストキスが校舎脇でのキスなんてなんてベタなんだろうと思う。

でもそれくらい俺らの初恋はウブだった。




「そんなこともあったよな」

「言うなよぉ…割と恥ずかしい過去なんだから」


ふわふわクルクルの髪の毛に包まれた頭を撫でるとソファーに寄りかかりながらテレビを見ていた谷町がこちらを向いて恥ずかしそうに抗議の声を上げる。


「でもまさかお前がネコだとは思わなかったけど」

「初恋はリードしたくなるもんでしょ!」

「はいはい」


頬を赤らめる谷町がどうしようもなく可愛くて、俺はそのまま頬にキスを落とした。



イベリスの花言葉

『初恋の思い出』


(暗転)

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