過去話 後輩とホワイトチョコ

「これ…全部チョコか?」


後輩が同居人になって二か月が経った頃、バイト先から帰ってきたと思ったらレジ袋いっぱいに大小さまざまなチョコレートを持って帰ってきた。


「そうなんですよ、バイト先で廃棄になっちゃうらしくて…捨てるのもったいないからもらってって言われたのもらってたらこんな量に…」

「バレンタインデーでもないのに珍しいな」

「宮さん、ホワイトデーってやつですよ」

「…あぁなるほど」


開いていたパソコンで日付を確認すると3月15日になっていることに気が付く。確かに入っているチョコレートはホワイトが多いし、チョコの中にクッキーやマシュマロも何個か紛れている。


「で、これは誰が食べるんだ?」

「まぁそれは…二人で…」


あまりの計画性のなさにため息が零れた。同居をする前から人から好かれる体質で断ることを知らないのは知っていたがここまでとは…。


「まぁ甘いの欲しいとこだったからいいよ…一個頂戴」

「あ、はい!」


同居生活開始早々に糖尿病の危機に頭を抱えながらも受け入れてしまったのはしょうがないと、ホワイトチョコレートを一つ受け取って袋を開ける。鼻に届く甘ったるい匂いはなんだか懐かしい感じがした。



(暗転)

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