(11)海を冷やしたい②


(02)で「海を冷やしたい」とのたまったが、喚いていたのは日本近海の話。

 本当の意味で「冷やしたい海」は、極海と赤道上。

 つまり、寒流の基と、暖流の始まり。


 世は地球温暖化にやっと騒ぎ出し、二酸化炭素削減に奔走している。喜ばしい変化だ、とは思うが、動き出すのが30年ばかし遅い、とも思う。

 30年以上前から大気汚染だの黒い森だの酸性雨だのアマゾンの森林伐採だの言われていたのに、結果として大量に放出され続けていた二酸化炭素には全スルーだった。

 現代において確かに二酸化炭素削減は必須事項ではあるが、事態はすでに「それだけ」では収まらない段階を超えている。

 二酸化炭素によって保温され、蓄熱された大気を、海を、人工的に速やかに冷やさなければ、加速している温暖化を止められなくなっているのでは。

 数年前の「専門家」の意見では、地球温暖化を騒ぐのは大袈裟だ、というのが主流だった。大気温度はここ十数年安定しており、海面温度も危惧されるほど上昇していない、と科学データを提示していた。

 ただし、熱源である太陽活動が低迷期なのに大気温は過去最高とか、海水温度は計測しているのが表層だけで深海部のデータはないとか、そーゆー不都合部分は伏せて、であるが。


 大気中の二酸化炭素削減と、海の、海水中の二酸化炭素削減と海水(主に海底水流)の冷却。コレの合わせ技でないと2050年に向けての温暖化ストップは実現しない。

 と、思う(←無知な無責任)


 あくまで妄想であるが。

 例えば海面水温が上昇し、しかし予想より温度上昇しない原因が海底の冷水から冷気を補充されているからだとし、結果海底の水温が上昇している場合、どうなるか。

 日本近海の場合、一時期話題になったメタンハイドレートがある。

 メタンハイドレートは、低温かつ高圧の条件下でメタン分子が水分子に囲まれた、網状の結晶構造をもつ包接水和物の固体で、要は海底の水圧、また海底故の低温でメタンが固形化保存されている。

 次世代のエネルギー資源との呼び声高く、化石燃料と比較して燃焼させても二酸化炭素が3割りほど少なく、かつ日本近海に豊富に存在する。

 深海であるから採取は難しいが、将来的には展望が望める資源である、と。

 この、別名「燃える氷メタンハイドレート」は、しかし一説には海水温が2度上昇すれば気体化する、とも言われている。大気温が2度上昇するのと違い、海水、しかもメタンハイドレートが存在する海底近くの海水温が2度上昇するのは膨大なエネルギーを必要とするが、上記の理由で海底の海水温がもう上昇傾向だとすると、メタンハイドレートが気化し、大量のメタンガスが発生する状況が危惧される。

 メタンは二酸化炭素の25倍も温室効果がある。燃える氷メタンハイドレートが気化し、しかも海底水温を2度も上昇させる地球温暖化の状況で、果たして地球はどうなるのか?

 B級映画よりクソつまらない結末にしかならないだろう。


 さっきも言ったが、海底水温の変化など膨大なエネルギーを必要とする。

 つまり、問題を自覚してから改善策を考え出しても遅い。

 海底水温は上昇傾向にある、極地の氷棚が減少している、各地の氷河が溶けている、30年後にはシロクマが絶滅する、などと言われている

「いま」

に行動しなければ


 海を冷やすなら、もっと言えば寒流へのテコ入れをするのならば、寒流の故郷たる極地の海であり、暖流の発生源である赤道直下の海だろう。

 赤道の海ならば清水建設株式会社の「環境アイランドGreenFloat」にお願いしよう。

 極地の場合、暴風低気温など過酷な環境だろうから「おりん」タイプの人口浮遊島でも難しいのかな?

 極海の何処を冷やすか、は、1979年から衛星による極地(北極だけだっけ?)の海水域の観測が行われており、当時の氷棚のフチあたりをぐるり人口浮遊島を配置して、海と大気を冷やせばいいかな、と。


 ただし、大問題が3つある。

 1つは、海を冷やしたいとホザイタところで、世界が動かない。

 赤道上のほとんど、極海周辺は公海。国際的な賛同が得られなければ動きようがない。

 故に日本近海、特に(世界の海の縮図と言われる)日本海での環境改善・健全化が実証できれば、循環停止による危機(詳細は(02)を見てね)に対して警告、または改善活動の糸口になるかも。


 2つめは、データ不足と極海という独自性。

 極海周辺は気象状況や海流が独立している、とも言えるほどケッコウ特殊。人口浮遊島の冷却方法で効果があるのか、もっと効果的な方法があるのか、不明である。

 まぁ、そこら辺はエライ先生方にお願いしたいな、と。


 3つめが、大変にイヤらしく面倒な、経済の話。

 北極海は、世界経済、物流が絡んでいる。

 北極海の氷減少は、環境的には危機的状況だが、氷の減少故に海が露出(?)した海域での海運が盛んになっている。

 従来の海運路では遠回りになる地域へ、北海を通ればショートカットできる。運送費の削減、燃料費の削減、運送日数の削減など、付随する経済効果なども考えると北海ルートは一大産業だ。

 それを1979年代の海へ戻す、など、経済界が黙っていないだろうし、極海に面した港をもつ国々も甘味うまみがなくなってしまう。


 んで、ちょっとSF妄想脳を捻ったのですが。

 北極海円環鉄道、しかもリニアモーターカーで、なんてどうですかね。

 おりんタイプの人口浮遊島や、島の基礎部分だけをグルリ極地中心に配置して、海の上にレールを敷く。極寒地では鉄レールの管理は非常に難しいが、10cmを浮く日本・JR東海のリニアモーターカーなら、人口浮遊島(基礎部く吹く)の発電から給電し、人口島を足場とした海上のトンネル(出来れば透明がいいなぁ)で積雪や暴風を心配せず、もし許されるならば支道を広げて北海地域全般へ乗り入れ、地元鉄道と連動できればいいなぁ。

 物流だけでなく、極海の人口浮遊島で食糧(野菜・肉・魚貝?)を生産して、真冬でも燃料を気にしないでいい電気暖房を提供する、とか。

 物流的に、タンカーほどの大量輸送には負けるが、燃料費かからず、日程もかからず、更に内地への物流を安易にする。

 この案で経済界納得してくれるかなぁ。


 ゆくゆくはリニアが世界各地と海を結び、近場の駅から海外へ、なんて時代、どうですかね?


 あ、海の冷却に伴う、海の酸性化問題を忘れてた(汗)




リニア中央新幹線(JR東海)

https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/


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