(10)強欲と時間の芸術
前章で不遜をさんざホザイタので、強欲を重ね掛けしてみる。
海上都市で、というか植物工場や洋上の人口漁場で作りたいモノの羅列。
いってみよー
まず植物工場。
葉物野菜や、もちろん穀類、豆類、根野菜。
豆類では特に大豆や緑豆とか作りたい。緑豆はもやしの材料で、多くを輸入に頼っているので、緑豆の仕入れ値が上がればもやしも値上がる。
緑豆のハルサメも好きなんだよねー(←自分勝手1)
大豆は日本人の糧そのもの。味噌・醤油・豆腐に納豆。油も取れるし、畑の肉とも異名をとる。昨今は大豆ミートとかの代替肉や、豆乳から疑似チーズや疑似玉子を作り出し、低カロリー低脂質でありながらタンパク質が豊富と、大豆万能説が浮上している。
のに、大豆の食品用の自給率はだいたい25%。油糧用とかもあわせると1割りない。
日本人なら大豆ダイジでしょ。枝豆も腹いっぱい食いたいし(←自分勝手2)
油用なら
砂糖も欲しいけど、テンサイ(砂糖大根、ビート)かサトウキビで悩みどころ。作付けで多層栽培を前提とすればテンサイで、でも収穫したばかりのサトウキビを絞ったトウキビジュース美味いんだよなぁ(←自分勝手が過ぎる)
砂糖と言えば「希少糖」も作りたいです。
一般的に「砂糖」と呼ばれている白砂糖はスクロース(ショ糖)で、これはブドウ糖と果糖の両方で構成される。他にも「糖」は(分かっているだけで)約50種類あるが、自然界にはほとんど存在せず、レアであるから「希少糖」と呼ばれる総称です。
太古にはイロイロな糖があったが、ブドウ糖などが一番エネルギー効率が良かったので一般的になったそう。
希少糖は様々あるが、研究が盛んなのはアロースとプシコース。
アロースは、砂糖というより医療目的で、抗酸化作用、虚血による神経細胞死の保護作用、癌細胞増殖抑制作用などを示すことが明らかにされている。
プシコースは砂糖の7割り程度の甘味を持つが、ほぼエネルギー源にならない。糖は腸から吸収されるのだが、この吸収の窓口とプシコースの型が一致しないので吸収されず、むしろ
果樹や樹木も植物工場(屋内の密閉型)で育てたい。
種類にもよるでしょうが、照明や温度管理で1年で数年分の成長を促すとか。
果樹ならミカンは外せない!(←自分の好物ってだけ)
……まぁ真面目に言うなら、樹木で特に育てたい、というか興味があるのが、茶、桑、漆、葡萄(ワイン)、珈琲、カカオ、(樹ではないが)バニラビーンズ(蘭)。
お茶は、いま海外での需要を伸ばしているのだが、欧州であまり茶ノ木を育てていないせいか、あるいは害虫や病気の種類が違うのか、メチャクチャ農薬に対してのハードルが高い。ので最初から害虫や病気を持ち込まない屋内密閉の植物工場で栽培したいな、と。
ワイン用の葡萄は、世界でのワイン需要が高まっているから。ワインは、キリスト教において重要な飲み物という以外に、富の象徴として、いままで第三国と言われていた国々が経済発展を遂げ、憧れだったワインを求めている。
ついでに、植物工場らしい付加価値をつけるなら、例えば貴腐ワイン。詳細はググってもらいたいが、簡単に言えばカビによって水分が抜け、糖度の高まった葡萄で作った白ワインのこと。乱暴だが、ワインの元となる葡萄ジュースから水分を抜けば、貴腐ワインに近い赤い葡萄酒、なんてのも作り出せる、かも。
方法は、例えば海から水を得る方法の1つとして紹介した、低圧常温で蒸発させて水分を抜く。常温なので組織も成分も壊れない。含有水分だけ下げれば、貴腐化する?
また気温調整や土壌づくりで各生産地に寄せた栽培とか、そのデータベースによってオリジナルの、要望通りのワインを、当たり年関係なく生産できるかも。
珈琲・カカオ・バニラビーンズなどは、世界的に生産量が落ち込んで争奪戦が起こっている。日本はまだ経済力があるので購入できるが、世界の勢力図が大きく書き換わろうとしている21世紀に、のん気な日本は足元掬われ放題である。
チョコ1粒1万円時代など、御免被る。
桑の木を栽培したいのは、当然「お蚕様」の主食であり、生糸(シルク)の為。
昨今、シルクの活用法は衣服に限らず、健康食品や美容品、人体に近いたんぱく質故にアレルギー対策など、様々ある。蚕も遺伝子や種類など研究が世界最先端が日本であり、エグい話をすると昆虫食として効率的であり、将来の宇宙生活の主食になるのでは、とも一端では言われている。
蚕の遺伝子を組み替え、クラゲなどの蛍光色遺伝子を取り入れたり(主に人工血管などの医療用へ利用)、蜘蛛の遺伝子を取り入れられれば蜘蛛糸をはく蚕とか。蜘蛛のDNAは従来の方法だと読み取りが難しいので、今後の研究次第ではありますが。
桑は、熱帯地域の方が育ちが早く葉も大きくなる。蚕の飼育も、温度や環境を管理すれば従来の7倍効率が出せる、と東京農業大学が養蚕飼育工場を建てている。
シルク大国日本、の復活も近いかもしれない。
関係ないが、桑の実って木苺みたいで美味いんだよね。口の中が真紫になるけど。
漆の木は、もちろん日本伝統工芸の為。
日本漆器や神社仏閣、生活の様々に漆を使うのに9割り以上も輸入に頼っている。その輸入先の中国も、今後の経済発展で農業製品から工業製品にシフトしつつあり、そも「格安」を期待できる相手ではなくなっている。
国内消費分を賄うなら、国内生産していくのが望ましい。
ただ漆の木って「漆」を採れるようになるまで20年かかる。植物工場のような環境下で促進栽培が樹木でも可能ならいいが。もっと言えば玉川大学がやっているような、当てる光の色によって何らかの効果を樹木に対しても上げられるようになればいいな。
まぁ、これも要研究の項目なのでしょうが。
漆を採る(かく)方法、日本式の「殺し掻き」、中国式の「養生掻き」、どちらが効率的なのか品質の差とか、知りたいな。
海上都市ですから、海産物も取りたいです。
主に注目しているのは貝類。牡蠣とか
昨今は稚貝の餌となる珪藻類が見つかったそうで、油藻の栽培のように珪藻の栽培もできるといいです。そうすれば真珠とか「クリーンな生きたジュエリー」とか呼ばれるのかな、いかにもご時世ですが。
利潤が出せるなら水槽での養殖も模索したい。最近、アワビをFRPの枠で養殖しようという取り組みを何処かの水産試験場がやってたな。あと株式会社ナノクスが「閉鎖循環ろ過養殖システム」という、陸上でも水槽で魚貝養殖できるシステムをウルトラファインバブル活用して構築してる。同じ陸上でサーモン養殖している株式会社 FRDジャパンとかも。ついでに海水(塩水)用いてマグネシウム発電(できればKUMADAIマグネシウム合金)とかで自家発電するといいのに。
漆だ螺鈿だと戯言ッているのは、話は飛びますが「明治工芸」に興味があります。
ぶっちゃけると日本が開国したばかりの明治初期、外貨獲得のために幕府が召し抱えていた工芸集団を集めて、超絶技巧な芸術品を作り上げた。
その多くは海外へ散りましたが、幾つかを回収して展示しているのが京都の清水三年坂美術館。
「明治工芸」のほとんどは再現不可能と言われており、つまり幕末まで連綿と受け継がれてきた工芸技術が失われてしまったのが現代。
平安の貴族が、戦国の武将達が、江戸時代の安寧が、繋いで磨き上げていった「文化」が失われてしまった。
膨大な財力と飽きるほどの時間を費やした「文化」。
「それ」を、取り戻していきたい、と願っている。
その為の材料くらいは提供したい。衣食住が保証されていれば作業にも安心して集中できるだろうし。
ま、そこまで海上都市が儲けを出せるかは別問題だが(←シビアな現実)
香川大学 国際希少糖研究教育機構
https://www.kagawa-u.ac.jp/IIRSRE/
株式会社ナノクス
http://www.nano-x.co.jp/
株式会社 FRDジャパン
https://frd-j.com/
清水三年坂美術館(明治工芸)
https://sannenzaka-museum.co.jp/
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