メックマキア(仮)

生來 哲学

序章

 すべてが失われた丘で、少年は立ち尽くす。

 何もかもが終わり、何もかもが崩れ去った。

 そこにあるのは壮大な"文明の死体"だ。

 見渡す限りに瓦礫の山が続いている。

 自然環境ではあり得ない、人工物の残骸で埋め尽くされた、かつて都市であったものの成れの果て。

 一夜にしてすべては失われたのだ。

 そして後に残されたのは――。

「……朝だ」

 薄暗闇がにわかに熱を帯び、東の空が赤く染まり出す。

 永遠に続くかと思われた地獄の夜は終わった。

 すべては終わってしまったはずだった。

 ――いや、勘違いしていた。

「そうか。始まってしまったのか」

 滅亡都市の真ん中で少年はまだ悪夢に続きがあることに愕然とし、震えた。

 だが、ここで死ぬ訳にはいかない。

 立ち止まる訳にもいかない。

 だが。

「どこへ行けば良いのだろう」

 何も分からないまま、少年は都市から姿を消した。



 繁栄を極めし機械都市『那古』の消滅。

 それは新たな時代の幕開けだった。

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