第4話 告白
シャーーー
シャワーから流れる水が床を叩く音が浴室に響く。見慣れないシャンプーやリンスがあるのはどうも落ち着かない。
「服、外に置いといたから。」
「お、おう...」
なんでこんなことになっているんだ...
遡ること30分。東雲の家に向かう最中に俺は不慮の事故に遭った。住宅街の曲がり角を曲がった瞬間に正面からアイスをもった子供にぶつかってしまったのだ。俺の制服は見事にチョコ味に染まり、子供は子供でアイスがなくなり泣き喚いて大変なことになった。その様子を見ていた東雲は財布をスカートのポケットから取り出すと子供にアイスの代金を手渡し、「怖いお兄さんがごめんね」といって子供をなだめてその場を収めた。(というか金持ってるのかよ!)そんなこんなで東雲の家に着いた俺は家に入るなり
「そのままじゃ気持ち悪いだろうし、シャワ
ー貸すわ。」
と言われて今に至る。しかしいきなり転校生の家に来て、しかもシャワーを借りることになるとは思いもしなかった。体を流し終わったので立ち上がりドアを開ける。洗面台の隣のタンスの上には彼女のものと思われる黒いシンプルなTシャツと制服のズボンが綺麗に畳まれて置かれていた。
「服の下のタンスにタオルが入っているから それを使って。」
「...サンキュー。」
なんか調子狂うな。相手のテリトリーにいるからだろうか。見慣れないシャツに手を通し、素早くズボンを履いて着替える。自分の知らない柔軟剤の匂いに少し気恥ずかしさを感じながらドアを開けた。
「どう?さっぱりできた?」
「お、おう、おかげさまで...」
「制服はすぐ洗濯に出しておいたから、また
明日学校で渡すわ。」
「何から何まで助かる。」
東雲はリビングにある机の前に座って何やら難しそうな本を読んでいた。俺が風呂に入っている間それで時間を潰していたのだろう。
「そういえば両親は今日いないのか?まだ仕
事にいっているとか?」
東雲の家は立派な二階建ての一軒家で、俺がぱっと見ただけでも一階には3つも部屋があった。こんな広い家に女子高校生一人で住んでいるとは思えない。
「二人とも研究所勤めで家に帰らない事が多
いの。でもさっき連絡したから父がすぐ来
ると思うわ。」
「連絡?なんで?」
「大事な話があるからよ。」
大事な話?東雲の家の事情は全く知らないので皆目検討もつかなかった。まさか俺を彼氏とか言って紹介する訳じゃないだろうな...
「父が来るまで時間があるし、世間話でも
しましょうか。」
「...こっちは山ほど聞きたい事あるしな。」
「そこに座って。」
東雲に促されるままに俺は彼女の向かいに座
った。
「なんで嘘までついて俺に付き纏うのか教え
てくれ。一体何がしたいんだ?」
転校してきていきなり全く知らない(はずの)俺の隣の席をぶんどり、今日一日中ついて来る東雲の行動は何一つ理解できるものではなかった。彼女は一体...
「それはね、志賀君。」
東雲は真っ直ぐに俺の顔を見つめる。
「あなたが世界を終わらせるからよ。」
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