第16話 言葉をつくる、概念をつくる

秋分の日とか中秋の名月とか聞きながら思い出したこと。日本の「ゴールデンウィーク」ってどういう風に決まったんだろう。

4月の下旬から5月の上旬にかけてお休みの日が多いのはわかるけれど、ゴールデンウィーク前半・後半なんていう言い方を聞くたびに、そんなに連続してお休みをとれる人ばかりじゃないのになと思ったりする。カレンダー通りに休めるのが精一杯という人が大半なんじゃないだろうか。学校だってカレンダー通りだし、土曜や祝日に授業が入るとこだって結構あるしね。


マスメディアに触れること無しには、ゴールデンウィークという概念を身につけることはないと思う。では、マスメディアは十連休が当たり前というような雰囲気を作ることで何がしたいのか。

やっぱりそれは、旅行や観光の需要の喚起し、消費を煽ることが大きいんだろうとは思う。旅行シーズンになると、観光地の混雑や高速道路の渋滞のニュースが流れ、「みんなが旅行をしている」という空気が作られる。渋滞を緩和するためには分散して移動をする方がいいはずなのに、渋滞のニュースと同時に、もっとみんなで移動をしよう、というメッセージが流されているわけだ。


日本人は、みんなもやっていますよ、と言われるのが一番行動変容につながる、なんて話があるけれど、学校も、ニュースも、オンラインサロンのようなものも、そういう性質を強化する方向で作用している気がする。

どのようなメディアに触れるかによって、何を重要と考えるかは変わってくるという。それがわかっているから、テレビを、YouTubeを制限しようという意見が出てきたりするんだろう。でも、「自分の意見は周りの人の意見に合わせて決めよう」みたいなヒドゥンメッセージがどのメディアにも込められてしまっているのだとしたら、何を見るか以前に考え方が左右されてしまう。そのうち、周りの人の意見をきちんと把握するために質を問わず情報をたくさん仕入れるのが正しい、なんて空気になってしまったりして。


最近は、「自分のアウトプットの質はともかくとして、自分がアウトプットをすることに意味がある」と皆が考えることに意味がある、と思うようになってきた。それは自分が生み出している文章に意味があるのか不安だということの裏返しでもあるのだけれど、やっぱり書く習慣というか経験というかがないとできるようにならないと思う。

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