誘惑

バブみ道日丿宮組

お題:夜の喜び 制限時間:15分

誘惑

 明日帰るからと彼女から連絡が入った。

 部活の夏合宿。

 彼女はテニス部のエース候補。

 だからこそ、休むわけにはいかない。

 本当であれば、僕と毎日一緒にキャッキャウフフなことをしてほしかった。

 でも……それは拘束系の恋人になってマイナス。

 お互いの自由には干渉しない。それが付き合い始めた頃にできたルール。

「緊張してる?」

 だからこそ、これは決して浮気なんてものじゃない。

 ただのマッサージなんだ。

「はじめてじゃないんだよね?」

 男が太もも、肩、髪の毛と順に触ってくる。

 彼女以外に触られたことのない場所までに手が入ってくる。

「……んっ」

 思わず声が漏れる。身体がびくんと反る。

「結構感じやすいんだ」

 触るから、揉むに行動が移行されて、僕の身体は次第に火照ってゆく。

「これははじめてかな? もっと強くいってもいいかな?」

 男は許可を取る前から、僕に触れてく。

「ここ凝ってるみたいだね」

 冷たいクリームがべっとりと塗りたぐられる。

 思わず声が漏れてしまいそうだったけど、我慢した。

 そして彼女の笑顔が頭をよぎった。

「これで終わり。お疲れ様」

「ありがとうございました。先輩」

 1時間にも及ぶ、マッサージが終わった。

「気持ちよかった?」

「……はい」

「びしょびしょだものね。ぱんつ履き替えておいてよかったでしょ」

 履いてきたものを手渡される。

 少し熱が籠もってた。嫌な熱だ。

「あぁ気になる? 俺の下着の中に入れてたんだ。冷たいと履き直した時変な感じがするでしょ」

 冷たいほうが違和感がないと思う。

 それはいわないで、

「それじゃ……この辺で」

 制服を着直して、部屋の外に出ようとすると、

「これ撮影したんだけど、いる?」

 カメラで盗撮しただろう僕の淫らな姿が写ってた。

「け、消してください!」

 カメラを奪い取ろうとするが、身長の高い男には手が届かなかった。

 もっとも力づくであろうとしても男に勝てることはない。

「じゃぁ、わかってるよね? 俺がこんなになっても我慢してたんだから」

 そうして僕は、浮気をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

誘惑 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る