第7話中央山岳地帯ジュノ、05貧しい村に来たお客が怒った

「昨日は見苦しい所を見せ、誠に申し訳ない・・・」



「いえ、我々に謝るのではなく、被害にあったノアの家族に・・・」



隊長は気丈に振る舞っているが、俺達は我慢の限界に来ている。



結局、バウルの竜騎士装備が着れない事で、出撃が遅れ農作業をしていたノアさんが喰われた。



バウルはそんな失態をしたにも関わらず、晩飯はきっちり3人前を平らげ、酒樽も半分空けた。



これで大蛇討伐成功となったとしても、両手を上げて喜べない心情だ。



そんな不穏な空気の警備小屋に、あの旅の格闘家がひょっこり現れた。



「なあ、ちょっといいか?」



「なんでしょう」と、帽子を忘れたカールが対応していると、格闘家は大蛇の巣を見つけたと言う。



「それは本当か!」



「別に、這った跡を追って山に入ってったら巣までたどり着いただけだ。普通にいたぜ、デカいのが、あと」



「えー!巣って、山のどの辺ですか!」



格闘家の指差す地図を見て、カールが頭を抱える。



その場所は、村の中でカールの家が一番近かった。



それにしても、旅の格闘家は余程竜騎士のチート技が見たいらしい。



最後何か言いかけた気がするが、すぐにドラゴンドライブという技が早く見たいぜとか、技のスピードがどうとか、威力はどれくらいとか独り言でブツブツ言っている。



隊長と俺は、顔を見合せバウルへ詰め寄る。



「バウル殿!」



バウルも俺達の言いたいことはわかってるはず。



「よ、よし、わかった。討伐に出掛けよう!とりあえず装備を着けるので・・・すまないが手伝ってくれないか?」



「おい、おっさん!そんなもんいいから大槍持って出発するぞ!」



旅の格闘家が、俺達の思ってることをどストレートに代弁してくれた。



「な!き、貴様、無礼だぞ!」



「いえ、バウル殿、こちらから見てもその装備は貴方のサイズに合っていません・・・ですからここは」



「隊長殿も、な、なんてことを言うんだ!」



憤慨するバウルだが、ドン引きしてる俺達は擁護に回りたくもないし、なんなら装備を着けるのを手伝いたくもない。



「噂に聞きし竜騎士なんだろう?大蛇ごとき爬虫類、敵じゃねーだろ?」



旅の格闘家が煽る。



「そ、そうだが・・・万が一を考えてだな・・・」



「なんだ、竜騎士ってのは防具着てねぇと、あんなちいせぇ蛇1匹倒せねぇのか」



「貴様!竜騎士を愚弄するきか!」



「別に、グズグズ言ってるから、王都の竜騎士共も大したことねぇなぁって言ってんだよ」



「貴様!言わせておけば、他の竜騎士までも愚弄するきか!よし、わかった。竜騎士の秘技、見せてくれるわ!」



旅の格闘家が煽りに煽ったお陰で、やっと大蛇討伐に出発してくれた。

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