第6話中央山岳地帯ジュノ、04貧しい村の宴会の翌日
「おはよう!昨日は馳走になり、大変世話になった!」
「お、おはようっす!」
なにがおはようだ。
もう昼過ぎだぞ。
「ガハハハハハ」と上機嫌の竜騎士バウルだが、それもそのはずだ。
おかわり、おかわりで3日分の食料をひとりで食い漁り、酒樽をひとつ空にするほど飲んだかと思えば、村人と話がしたいからと何故か若い女性ばかり集めろと言い出し、気付けば飲めや歌えやのドンチャン騒ぎだ。
これで機嫌が悪かったら王都に訴えたいくらいだ。
「おはようございます、バウル殿。早速ですが今から山へ討伐に行きましょう」
「その件だが、隊長殿。まず村人が喰われる原因を突き止めたい。やみくもに山へ入っても大蛇に逃げられてしまう。こちらも大蛇を理解しておきたくてな!」
「それなら昨日説明した通り、人間の味を覚えた事が原因で、今は3日もしくは4日置きに畑にいる村人が被害に遭って」
「いやいや、そこはちゃんと裏を取りたい。もしかしたら大蛇ではないかもしれん」
「いや、それも昨日説明した通り、何人も見た者がおりまして」
「まーまー、そう焦らない。もう一度、何ヵ所か捕食現場を回らせて欲しい」
「バウル殿、最後のエミリアさんが被害に遭ってもう3日以上経ちます。今日か明日にはまた村に被害が・・・」
「うーん、そうか・・・では山に入ってみるか!」
「ありがとうございます!」
「では竜騎士の装備を着けるとしよう!」
そういってバウルが警備小屋に引き返すと、待てど暮らせど全く出てこない。
「隊長、いくらなんでも遅くないっすか?」
「マルクス、ちょっと見て来い・・・」
嫌な予感はしたが、考えていたより悲惨だった。
「お、マルクス殿!ちょっと具足のベルトを締めてくれんか?」
そこには、竜騎士の装備を着けたくても太りすぎて着けれない無様なバウルがもがいていた。
「バ、バウル殿・・・これは本当にご自身の物っすか?」
「恥ずかしながら、10年前の装備で・・・その頃よりちょっとばかり太って・・・おっとっとっと!」
片足を上げたままスッ転んだおっさんは見るに耐えない。
「とにかく、この具足を着ければ、ドラゴンドライブを・・・」
秘技ドラゴンドライブを連続でできると言いたいらしいが、そもそもその腹の出た体型で20メートルも垂直跳びできるとは思えない。
そうこうしているうちに、帽子を押さえカールが恐れていた報告を持って来た。
「大変です!大蛇が!」
「バウル殿、急いでください!」
「ちょっと、待って・・・」
このもたついたバウルのせいで、また村の人が犠牲になった。
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