【chapter10】時雨る交わり

彼の指がドレスにかかった。


私の肌が徐々に露わになる。


「美しい…。」


彼の口からため息ともつかない言葉が漏れる。


私は心恥うらはずかしい気持ちで彼の腕の中に抱かれ、これから始まる彼との玉響たまゆらの交わりに身を委ねた。


まるで壊れ物に触れるような優しく慈しむようなフェザータッチの前戯に、何故だか心が時雨しぐる。


そんな気持ちを押しのけるように彼の背中に腕を回す。


「あゝ、もっと…もっとして…。」


ハーフのように美しい顔と長身の肢体が私の上で揺れる。


私はこうして王子を心恋うらごいながら民に抱かれるのだ。


「あゝ、あゝ、もう、あゝ…。」


私の背後で腰を振っていた彼が大きな手で私の腰を強く掴んだ。


彼は性の高まりを私の中に放った後も優しかった。


彼の肌の温もりを感じながら、それでも心悲うらがなしさを感じている自分の心を私は哀れに思った。


王子が公務に尽力していると信じたい一方で、どこか私の知らない国の姫に愛をささやいているかもしれない。


そう思うと居ても立っても居られなくなるのだ。


私は、彼にキスをすると再び彼のそそり勃つものを自身の中心に深く挿し入れた。

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