【chapter6】開かれた扉

窓辺のイスに座って表を眺めていると馬のひずめの音がした。


ゲイトキーパーが重く分厚い扉を開く。


ほどなくして塔の石段を上がってくる靴音がする。


トントン。


扉がノックされた。王子だ。


だが、ドアを開けると誰もいない。


不思議に思って扉の隙間から顔を覗かせようとした瞬間、足元に黒い影があるのに気づき悲鳴を上げた。


「キャッ!!」


すると、その影がゆっくり立ち上がり王子がニヤリと笑う。


「もう、王子ったら…驚きましたわ。」


そう言って胸を撫で下ろしている私を王子は愉快そうに眺める。


気を取り直して「お帰りなさい。」そう言うと、王子が私を優しく抱き寄せながら「ただいま。」と頰にキスをした。

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