十三 作戦行動
「そこで、指令だ。独裁国家の領土拡大と宇宙進出を阻止してくれ。手段は選ばん。元首を消してもいい。
こういう言い方は酷いと思うだろうが、東海海軍の壊滅で多数の死者が出た事を思いだしてくれ。
独裁国家政府も元首も、地球と人類を支配しようとする新たなニオブのクラリック階級か、それに相当する存在の傀儡に過ぎない。操られているだけた。一度憑依された者は元には戻らないのだ」
質問しようとする吉永指揮官たち特捜部員を見ながら、本間宗太郎警察庁長官はそう言った。
「神の杖を継続して使用するのは可能か?」
吉永指揮官は、もう一度、いや、あと二度、神の杖を使えないか考えた。
「可能だが、何度も同じ現象が続けば人為的と疑われる」と本間長官。
「それなら、露国と同じ手を使おう。北方領土と台湾の人民に人民投票させて、日本への帰属を促すんだ。
そして、中国の反体制派に武器供与して政府転覆を計画させ、露国の囚人部隊に政府転覆をはからせる。戦争するのではない。国家元首の抹殺だ。
ここまでは、情報戦と武器援助だ。
反政府組織には、政府のスパイがいる。コイツラをいかに騙すかが要だ・・・」
そう言いながら、吉永指揮官は考えた・・・。
そう言いながら、吉永指揮官は考えた・・・。
中国政府は一つの中国などと言っているが、蒋介石が率いた国民党から中国を奪ったのは、毛沢東が率いた共産党だった。中国が一つの中国を主張するなら、台湾にも、かつて蒋介石が率いた国民党がまとめていた一つの中国・台湾を主張する権利がある。
また、ウイグル自治区や西域やチベット自治区など、かつては独立国家だった地域は、第二次大戦後の中国人民軍の侵略で、強制的に中国に帰属されたのを忘れてはいない。今も独立の火は消えていない。
また露国が持論を展開してウクライナに侵攻したように、樺太、国後、択捉の住民が住民投票で日本への帰属を主張すれば、それらの土地は日本になる。住民は日本への帰属を望むはずだ。そして、露国の囚人部隊は露国政府が囚人たちを完全な捨て駒にしている事実から、露国政府に反発し、露国と国境を接する東欧諸国は露国の脅威から、自国防衛を重視している。
これら人民の反露国政府感情を、使わぬ手はない。
「鮫島京香を起用して、北方領土とウイグル自治区や西域やチベット自治区に情報を流そう。鮫島京香は防衛省防衛局対潜入工作員捜査部の捜査官だな?」
吉永の本間長官に対する口調が対等な立場に変った。
「小関君に訊いてくれ。どうなんだね?」
ディスプレイの本間長官は、ディスプレイの小関久夫CDB局長を見ている。
「確かにそうです。詳細は省きますが、鮫島京香が中国人民軍特別機甲部隊から防衛省防衛局対潜入工作員捜査部に、
『朝鮮に拉致されて、日本に潜入する特主部隊員として、中国に売られた』
と救助要請した時から、鮫島京香は東条一等陸尉の部下で、防衛省防衛局対潜入工作員捜査部の捜査官です・・・」
小関久夫CDB局長は、鮫島京香が奥多摩の山荘に現れた時を思って、すまなそうな顔をしている。
「経緯を訊く気は無い。信頼できるんだな?」と吉永。
「できますよ」と小関久夫CDB局長。
「小関局長。北方領土と台湾と反中国府勢力が居る地域、露国の囚人部隊、反露政策をとっている国に、先ほどの情報を流してくれ。
鮫島京香は、一番効果がある場面で登場してもらおう」と吉永。
「どうするかは、作戦を全て訊いてからにしましょう」
吉永と小関局長のやり取りは、吉永主導で進んでいる。
『小関局長は余計な事を言うな。早く、吉永指揮官に説明させろ』
前田班長、山本特捜班員、倉科特捜班員はそう思った。
「では、説明する、最大の作戦は・・・」
吉永は、吉永たち警察庁警察機構局特捜部が直接関与しない、奇策を説明した。
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