SCP-020-B ①


(履歴書むずすぎる…)


 進路室でそう思いながら唸っていると、進路室の就職担当の先生が前に座った。


「どう? 上手く進んでる?」

「いや…資格取得のとこ一番めんどくさいです…。ってか、まだクーラーつかないんですか?」


 先日壊れたらしいクーラーは、もう一週間以上放置されていた。今が夏休みじゃなかったら2日ぐらいで業者さんが来るのに…。


「あぁ、丁度昨日の夕方ぐらいに来てたよ」

「え、そうなんですか?」

「うん。だから早ければ今日の午後にはつくけど、午後までいる?」


「それ居るしかないでしょ。全然進んでないし」

「そっかw。じゃあ頑張ってるから、これね」


 そう言っていちごみるく味の飴玉を渡された。


「わー、あざっす」


 貰えるものは貰っておこう的な感じで受け取ったが、食べる気が起きなくてそのままスカートのポケットに入れた。


(全然進まね~)


 気分を変えるために去年の求人票を見たりしているが、やっぱり理想の求人なんてのは見つからないし、一番不安なのは面接なんだよなぁ。


「? あ、」


 そんなことを考えていると、いつの間にか午後になっていたらしく12時の鐘がなった。

 一度コンビニへ行ってご飯を食べた後に進路室に戻ると、流石に履歴書を進めようと座りペンを手に取った。


「……?」


 暫く真面目にペンを走らせていると、冷たい空気と共に白い湯気の様に微かに色のついた空気が視界の端に映った。


(は? なんだこれ…?)


 辿るとクーラーからでていて、冷たい空気と共に出ていた。


(故障とか…? 大丈夫なのかな?)


 と思いつつ、先生達も不審に思ったようで1人外にある操作パネルの方に向かったし、体に不調もないから気にしないでいいだろう。


「…」


 視界の邪魔にならない程度の濃さだったのでそのまま進めるが、一行に冷房が収まる気配がなかった。


「ふぁあ…」


 平日は毎日学校に来ていた疲れと、涼しくなってきた部屋で緊張が緩んできたのか段々眠くなってきて、先生もいるし仮眠しようと履歴書などを退かして机に伏せた。



―――――――――――――――――





「…ん…?」


 気が付くと、進路室で寝てたようで周囲を見渡す。


(あぁ…今2時ちょいかぁ)


 進路室にある時計の針は2時17分を指しており、余り…というかほぼ寝てなかったようだった。


(ってか…あれ? 自分なんでここにいるんだっけ?)


 キョロキョロと見渡せば、求人票がつづられた分厚いファイルがあった。


(求、人票…就職? 私…あれ??な、何で覚えてないんだ??)


 そう思ってファイルの下にある履歴書に目を通すと、自身の名前や住所が書かれており、自身の顔写真が付いていた。


(これ…ユウ…って言うのか、私)


 資格取得が複数書かれていて、下の方は途中で終わっていた。志望動機のとこは空欄で、特に何も思わなかった。

 自身の名前すら忘れてたことに対する恐怖すら湧かず、興味をなくしたように机の上に置くと席を立ちあがった。


「ん~…(帰るか…)」


 そう思って、荷物も持たずに正面玄関から外へ行こうとするが、透明な壁で門より先に行けない。


「あれ…?」


 そう思って、他の石垣から登っていこうとしたり裏門から帰ろうとするが、どれも全て突起もないさらさらで透明な壁に阻まれて出ることはできなかった。


(でれないんだ…)


 だが、それに特に何の感情が湧くこともなく、外に出たい意欲もそこまでなかったため校内に戻った。

 校内はクーラーが付いてないにも関わらず自分が寝た時と同じような涼しさを保っており、歩き回るが職員室にも部室棟にも運動場にも誰もいなかった。


(一人かあ)


 悲しくもないし1人の学校にさほど恐怖もなく、次第に眠くなって応接室にあるソファで寝た。


(そういや…ご飯食べてないな。まぁいっか)





――――――――――


 シナリオが思い浮かんでからSCPに結びつけたので、シナリオを雑に肉付けして出してみることにしました。

 何ならSCPに結びつける時空調設備や電気、窓ガラスやトイレ、または校内にある神社とか何に結びつけようか悩みました。



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