マイナススキルの落ちこぼれ修行記

ソロ活動その２・オールスター出演？

　その後は本当にソロ活動で採取や町での雑用手伝いに没頭している。贅沢こそ出来ないものの安い報酬でも数をこなせば日々の生活には問題ない。採取にしてもよほど危険な場所やモンスターの素材でなければ十分に可能だし。

　今日も今日とてギルドの掲示板にてお仕事探し･･･何だこれ？

「バル・ナーズ氏に指名依頼、南の森林の廃墟塔に来られたし。詳細は現地にて説明」

　報酬は･･･破格だな。俺をご指名の割には依頼主が匿名の上にクエスト内容は場所に行ってからの話、めちゃくちゃ怪しすぎるんだが気にする事はない。迷わず行ってみるか

　…というワケにはいかない。前回寝込みを襲われた俺は慎重になっている。とりあえず町のレストランからの依頼、薪拾いのクエストだな。廃墟には行かないが南の森林にいくぞ。

　…ふぅ薪に使えそうな枯れ木３００本ゲット。そろそろギルドに戻るか。

　その時俺の周囲に十数人ほどの人間が現れた。

「はぁはぁ、この野郎！こんなトコに居やがったなんて」

「そうよ！私たちちゃんと依頼出して塔のてっぺんで待ってたのに！」

「来たらブっ殺してやろうと思ってたのに依頼サボって薪拾いなんざいい度胸だなぁおい！」

「貴方にはプライドというものがないのですか！そんな方には天誅です！」

　あれは確か「ファングブライト」の連中だったか。依頼？塔？もしかしてあの破格で怪しさ満点のクエストはコイツらが？？ブっ殺してやるとか物騒な事口走ってるが逆恨みされるような覚えはなかったハズだが。

「おぉっと、コイツをやるのは俺らだぁ！」

「あなたのせいでザコ敵が倒せなくなったじゃない！」

「おぅおぅ、俺らがボス戦助けてやったのになぁ」

「恩知らずは信者ぇー！」(誤字)

　今度は「レッドセイバー」か、ザコ敵倒せなかったのは俺が入る前からの話だろ？自分たちから追い出したクセに恩知らずとかどの口が言ってやがんだ？

「フッ、みなさんお味方が勢ぞろいですか、これは都合がいい！」

「ハッハー前門の虎に拷問の狼ってか？」

「それ後門の狼！アンタのせいで借金返せなくなったんだから！」

「ねー新しい服欲しいから早くブッ殺して有り金没収しよー？」

　お次は「グリーンエッラ」クエスト報奨金は未払いだったがその後は噂を聞いたことがない。服装も小ぎたなくなってるしどうやらあれ以来ずっとニートやってたようだ。

　それに隣村のギルドが未払いの件で借金を返せなかった？借金があるってのは今初めて聞いたぞ？？

「よくも変な強化スキルを掛けてくれたな？そこに直れ！」

「坊ちゃま私も一緒に……いたた、まだしびれが」

「息子はケガが原因で後遺症が残ってしまった、というか礼金払い過ぎたので金返せっ！」

「ふっふご…ふごふごふごぉ！」(旦那様、私もお供を！)

　とどめに身なりのいいのは…「伯爵家」か。全身包帯グルグル装備している使用人まで参加しているのは驚きだが、強化スキルで走り過ぎて家の前で力尽きたのはどう考えても自己責任だろうが。

　つうか御曹司を連れ出した不良メイド、まだ雇って貰ってたのか。

　いずれも自分たちの勝手な都合で俺を追い出したヤツラ、どう頭を巡らせても正当性はなく黙って殺されるつもりはない。

　ゆっくりと深呼吸した後、右手の人指し指をクイクイ動かして挑発する。

「「「「ふ・ざ・け・ん・なあぁぁぁぁぁぁぁあああ！！」」」」

　俺の挑発に乗せられて全員が攻撃してくる、後は簡単だ。鬼力（きりょく）をこめて……範囲攻撃、最大！

　………………………

　………………

　………

　……

　…

「ぅぎゃ！ご、ごめんなさ……ぐはっ！」

「ちょっと私女の……こぎゃ！！」

「わ、悪かったから私も女…ぐぇっ！！」

「神に仕えるものを害するのは…げふっ！」

「か、かんべんしてくれ…るろわ！」

「ぁ、あのオークは貴方の成果でございま･･･ふげぇ！」

「俺って実は大した事やってなかったなーなんて…ぶほぉ！！」

「やっぱり貴方様の方が植だっ…よばあ！！」(誤字)

「フ、どうか勇者らしく潔く死なせてく･･･ぎゃあああ！」

「はっはー･･･窮鼠爪を噛･･･むぶはぁ！」

「だから猫を噛むだって…のばぁっ！」

「ぁ、有り金なら私の･･･ぉぼぅ！」

「ぼ、僕まだじゅうごさ…むぎゃぁ！」

「坊ちゃま、カッコ悪…いぎゃ！！」

「おのれ貴族に対する悪行、今ならまだ許してやる…急ぎ私を助け…でぐだざいゃああああ！！」

「ふぎゃぁあああああ！！」

　ふう、この場にいた全員にとどめを指しておいた。いざやってみると後味は宜しくないがこれ以上復讐に来られても面倒なのできっちり決着つけておいた。それにここは森の中、真相は闇の中だ。

　森を抜けたところで大人数と戦ったせいか脱力感に襲われる。

　俺は意識を失った･･･。

　～戦果報告～

［射程距離の変更］

　使用者のスキル有効射程距離を任意で変更。範囲が狭ければ威力は向上し、威力を抑えると範囲は拡大される。鬼力（きりょく）の消耗を代償に広範囲かつ強力な攻撃も可能。

　使用可能スキル：弱体化・範囲攻撃・一点集中・強化・射程距離の変更new!!

◇◇◇