グリーンエッラとの共同クエスト
「フ、期待していますよ電撃さん」
「ハッハーあの電撃が味方たぁ泥舟に乗った気分だぜ!」
「ちょっとそれおおぶね!新人にバカにされるわよ」
「私へのプレゼントはブティックのワンピースでお願いね?」
隣の村から来たパーティー「グリーンエッラ」から声が掛かる。なんでもダンジョンの外で起こったモンスターの大量発生「スタンピード」を押さえ込む依頼らしい。
リーダーが先のパーティーでのジャイアントオーク戦の活躍をどこからか聞きつけたようで俺に加入を頼み込んできた。生活費が無くなりかけていた俺は否応なしに引き受け隣の村まで同行する。
スタンピードはダンジョンにいるボスサイズの大型モンスターとそれを守る群を中心に次第に増大するもののようだ。大量増産されて手がつけられなくならない内にボスと群れを倒す必要がある。
面倒なことにスタンピード対象の群れというのは一頭でも逃がした場合、その個体が成長してボスとなり再びスタンピードを引き起こす可能性があるとか。依頼達成条件も「ボス討伐および群れの全滅」となっているくらいだ。
俺以外のメンバーの腰には束ねた縄を結び付けている。先端が輪っかに結ばれている捕獲用の縄を用意しているようだ。
今回のターゲット「ホルンエルクとディアの群れ」に合わせてのものらしい。ヤツラは鹿型のモンスターだけに攻撃力も高いが逃げ足もかなり早い。
俺も同じものを数本もらい準備を済ませた俺たちはさっそく現場―隣村から西の平原に向かう。
たまたま群れから外れていたビッグサイズのホルンエルクを見つけた俺は問答無用とばかりに一点集中にて攻撃した。突然の事にさすがのボスクラスのホルンエルクも対応できず即死したようだ。
「フ、さすがは電撃!ボス相手に一歩もひけを取ってません!」
「ハッハー後はザコ共だけだ…まとめてハスの巣にしてやるぜ!」
「だからそれハチの巣だってば、あー逃げていくにげてく!」
「こっちくんな・・・せっかく買った服がー!」
ボスのホルンエルクを倒した途端にそれまで群れていた50頭からなるディアの一団は蜘蛛の子を散らすように逃げ始める。それもバラバラになってだ。メンバー達が慌ててディアの群れを追いかける。
一見俺の弱体化や範囲攻撃が有効のように思うが、それは相手がこっちに向かってくるのが条件であり、今回はその真逆―俺たちからモンスターが逃げている状態だ。ボスに使った一点集中も対一の時なら無双だが複数となると時間が間に合わない。
ふと目を落とすと捕獲用の縄があったのを思い出した。これを使えば俺の電撃の射程距離を補えるかも知れん。
咄嗟にメンバー達から捕獲用の縄を没収した俺はそれをディアに投げていく。当たった瞬間に電撃を縄に流し込むとディアは気絶した。とどめをメンバーに任せて次から次へとディアを捕獲していく。
おかげで一頭も逃がさずに仕留める事が出来た!
「フ、不本意だ…ここまでの成果は求めていない!」
「ハッハー全くだ、まさか取らぬ狸の皮算用ってか?」
「それを言うなら…珍しくあってるわ、それにしてもギルドがねー」
「お金もらえないんじゃくたびれ儲けじゃん!」
話の内容を要約すると、ホルンエルクとディアの討伐数が多過ぎた上に村のギルドの財政状況が悪く報奨金が払えなくなったとか。あくまで村のクエストなので町のギルドから報奨金は支払われないようだ。
都のギルド本部との連携が済むまで支払いは一時保留という事になった。
確かに全滅に追い込んだのは俺にも一因があるが、あくまで依頼内容に基づいた行動だったしパーティーから文句言われるのは完全な八つ当たりじゃないのか??
~戦果報告~
[伝導攻撃]
他の物質に接触して電撃を伝導させる攻撃。ロープなどの細長い形状のものを使用すると範囲攻撃や一点集中の欠点である射程距離の短さを補う事ができる。
使用可能スキル:弱体化・範囲攻撃・一点集中・伝導攻撃new!!
◇◇◇
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