第2話

「ゆーなちゃん!」


(あ、ゆうたくんだ、あのこおもしろいんだけどおしゃべりでうるさいんだよね。きらいじゃないけど。)


由奈は手を振るだけ。でもめげない悠太。


「今日はひとり?めずらしくない?」

「(そんなめずらしくないけど)人を待って帰ろうと思ってたんだけど捕まらなくて…」

「あのゆなちゃんが待たすってどんな男だぁ?」

「いや、約束してたわけじゃないからいいんだけどね…あ!(そうすけくんだ!ゆうたくんといっしょにいたんだ!まってたらこっちくるかな!)」


う、バレた。


「悠太、帰ろうぜ。ずっとくっついてると迷惑だ。」

(えー、そんなことないよぉ。でもここでくいさがって、へんなひとって思われたくないし。)

「えー、もう帰るのー?もっとゆなちゃんと喋りたいー」

「ごめんね、池田さん。今日用事あるんだ。(嘘)」

「そりゃしゃーないな、いいよ、帰るぞ。じゃね、ゆなちゃん。」

「バイバイ」




「なぁなぁ、ゆなちゃん心の中でなんか言ってたか?」

「いや、特には。」

「は?ゼッテー嘘だろ!?」

「いや、ホントホント、マジマジ。」



あんなの言ったらぶっ飛ばされるな。黙っとこう。

嘘はぼくにしか聞こえないんだから。ぼくが黙っていればいいだけのことなんて世の中たくさんあるんだ。

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