第4話 我、魔徒を知る

「そもそも、アンタは何者なわけ? 新手の魔徒…なわけないか。 魔徒なら、こうやって大人しく会話なんて出来っこないし」


「魔徒? ここでは魔族のことをそう呼ぶのか? 」


 白猫の言葉に、我は首を傾げるが。


「魔族? なによそれ」


 疑問に思ったのはお互い様だったようだ。


「えっと…。 そうだ! 少し待ってくださいね…今、魔徒がどんなものなのか検索してお見せしますから」


 我らの会話を聞いていた少女が、何やら板のようなものを取り出し指で表面を叩いたりなぞったりと面妖な動きをはじめた。


「彼女は…何をしておるのじゃ」


「何って、検索よ。 ……え、アナタもしかしてパッドユニットを見たことないの? 」


「パド…ユ? なんじゃそれは。 聞いたこともないぞ」


「ウソでしょっ。 パッドユニットも知らないなんて一体どこから来たのよアンタ」


「どこからって、それはじゃな…」


「えっ! 日ノ咲で巨獣型魔徒が出現…!? 」


「未冬、それホント!? いつの話! 」


「速報だし…ついさっきのことみたい。 クラスBの討滅班がすでに対処してくれたみたいだけど…。 第三居住区はご近所さんだから、なんだか怖いね…」


「二人とも何の話をしているのだ」


「あっ、ごめんなさい。 検索してたら気になるニュースが目に留まっちゃって……でも、ちょうどよかった。 コレが私たちが話していた魔徒…人類の、いえ人族みんなの敵です」


 少女が先ほどまでいじっていたパッドユニットなる板を此方へ向け、我が見やすいようにと前へ近づけてくれた。


「む? むむむ…! 」


 ただの薄い板だと我が思っていたソレには、文字や色付きの絵…さらには現実世界から切りったかのような動く絵画まで所狭しと収められていた。


「ぬおぉ!? 絵が、絵が動いておるぞ! はじめて目にしたが、これは見事な魔具じゃ! 」


「ま、マグ? 」


「どうも、コイツ。 パッドユニットを目にしたことがないみたい。 子供みたいに目を輝かせちゃって…さっきの話は本当だったみたいね」


「ぬ。 この獣…」


 小さな窓に収められた動く絵画が、我がこの場へ転移してくる前に殺してしまった獣の姿を映し出す。


「あっ…その巨大な獣が、私たちが話していた魔徒の一種。 巨獣型魔徒です」


「なるほど。 こ奴、魔徒と言ったのか…」


「……? その口ぶり、この魔徒について何か知っていたの? 」


「知っていたというか。 こ奴は、ちょうどここに来る前我に襲い掛かってきたのだ。 我は軽くあしらうつもりだったんじゃが、こ奴は想像以上にか弱き生き物だったようだ。 結果として我はこ奴を殺してしまった…」


「えっ…」

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