第7話 地球での出来事
パソコンを点けてニュースを調べる
調べるまでもなく、知りたい情報はすぐに見つかった
『中学生集団行方不明』
記事の中身を読むと、中学校にて授業を受けていた中学生29名が行方不明になっているとのこと。
2時限目まではまだ生徒がいることは確認されているが、3時限目が終わる時には誰もいなくなっていたと…
3時限目は自習だった為、教師はいなかったようだ。
学校に対するストライキだとか、教師による誘拐だとか好き放題書かれているが、正解は掲示板で盛り上がっていた神隠し、異世界転移ってやつだ。
真実を知っている僕はどうするべきか迷う。
僕も異世界に転移したので、真実を知ってますと伝えるべきか。僕だけ帰れますと……
みんなは帰れないけど生きてますと。立花さん以外は本当に無事なのかわからないけど……
混乱させるだけだな。
そもそもひきこもりの言うことを誰が信じるのか……
それに信じてもらえたとして、どうなる?他のみんなの事を頼むと任されるのか?それとも実験動物みたいな扱いを受けるのか?
とりあえず、色々な事がはっきりするまでは隠しておいた方がいいな
知りたいことが知れたので、僕はご飯を食べて寝る
翌日も異世界に行く。
今まではゲーム感覚だったけど、少しだけ気持ちが変わった気がする。
とりあえずは資金集めだな
食料とかも持ち込めればいいのにな
ギルドに行くとすでにニーナとヨツバがいた。
「お待たせ、早いね」
「今来たばかりよ」
「それじゃあ、いこうか」
今日もスライムと薬草である
これが終われば、明日からはもう少し選べる依頼の幅も広がるし稼げる額も増えると思う
ニーナとヨツバは一緒の部屋に泊まったからか距離が縮まったようだ。
依頼は何も問題なく進む
薬草もかなり集まったけど、今回は1本だけだが浄化草という草も見つかった
何かはわからないけど、捨てずにもらっておく
スライムを倒し終わったけど、今日はレベルは上がらなかった。
流石にスライムばかり倒してても簡単にはレベルは上がらないか……
ギルドに報告する
浄化草は銅貨2枚で買い取ってもらえた。薬草の20倍だ。1本で薬草依頼1回分と同じ報酬なんておいしすぎる。
聞いたら、普通はもっと森の奥の方に生えてるらしい。
森に入らずに見つかったのはかなりラッキーだったようだ。
浄化草は瘴気に犯された時に使うらしい。
瘴気が体に溜まりすぎると理性を失う事もあるようだ。
怖いな
今度からは売らずに持っておこう
報酬は浄化草の分、昨日より多いくらいで約150Gだ
そしてランクがFに上がった
これで他の依頼も受けれる
報酬を3人で分ける
1人大体50Gだ。宿1泊分と考えたらやっぱり少ない
「生活には足りそう?」
僕はヨツバに確認する
「ニーナと相部屋の分、安く済んでるから大丈夫だよ。食事も1人分買うよりは安くなってるし」
「そう、足りなくなったら相談してね。僕も多く持ってるわけではないけど…」
「ありがとう。斉藤くんはなんでこんなに優しくしてくれるの?大変なのは斉藤くんも同じでしょ?」
同じじゃないとは言えない……
「僕はスキルで宿に泊まらなくてもいいから、そんなにお金使わないんだよ」
「……何か隠してない?」
「宿に泊まらなくても問題ないんだよ。誓って嘘は言ってないよ」
嘘は言ってない。真実を言ってないだけだ
「それならいいけど。なんで私に優しくしてくれるのかはわからないけど、無理はしないでね」
「うん、無理はしてないから」
「ならいいけど…」
「そんなことよりも明日受ける依頼を探そうか。早くお金貯めないと、毎日依頼を受けないと生活出来ないよ。ニーナもいつまでも短剣のままだよ」
「そうよね」
「一応、Fランクでも薬草は変わらず買い取ってもらえるから、探しつつ魔物を討伐したいね。護衛依頼とかはまだ難しいと思うし」
「そうだね、クオンくんの言う通りがいいと私も思うわ。ヨツバさんも普通に戦えるようになってきたしウルフとか良いかなと思うんだけど、どうかな?お肉も手に入るし」
いいと思うけど、一つ問題がある。
ウルフを僕が倒した場合どうなるんだ?
スライムの場合はスライム自体がスライムゼリーだからいいとして、ウルフは僕が倒すと解体された状態になるのではないか?そもそも、ドロップ品が爪とか牙だったら肉は残らないのでは?
ニーナにはスキルでスライムが消えるみたいな話をしたけど、流石におかしいよなぁ
いつかはバレることだしそれっぽく話すか
「ウルフでいいと思うけど、2人に言わないといけない事があるんだ」
「なにかしら?」
「僕のスキルの話なんだけど、僕がスライムを倒すと消えてたでしょ?」
「そうだね、アイテムボックスみたいな便利なスキルだよね。羨ましいよ」
アイテムボックスなんてスキルがあるのか。他の人にはそれで通そう
「実は少し違って、アイテムボックスみたいにも使えるんだけど、僕が魔物を倒すとランダムで素材がスキルの中に入るんだよ。だからウルフを僕が倒すと肉がなくなるかもしれない」
「そんなスキル聞いたことないよ」
「珍しいスキルだとは思ってたから黙ってたんだ。だから2人も黙っててね」
「黙ってて欲しいことを言い回るつもりはないわ。でもそうなるとウルフの依頼は少し報酬が安いわね。肉をギルドに売らないといけないことはないけど、それ込みで報酬がいいからね」
「まだウルフを倒したことがないから、どのくらいの頻度でなんの素材が手に入るかはわからないよ。もしかしたら肉よりもいい素材が手に入るかも知れないし」
「どういうこと?」
「スライムの時もスライムの魔核って素材が手に入ったことがあったよね?その時にスライムゼリーは手に入ってないんだ。その時に聞いたんだけど、スライムの魔核って普通のスライムのは小さすぎて買い取れないらしいけど、その時のは買取可能なサイズだった。倒したスライム自体に特に変化はなかったのにだよ。多分倒した魔物から実際に手に入るかは関係ないんだと思う」
「えっと、つまりどういうこと?」
「ウルフから通常は手に入らないレアな素材が手に入るかも知れないってこと。極端な事をいえばウルフを倒したのに、ベアウルフの牙が手に入るとかね」
「そんなことがあり得るの?」
「今のは例え話だよ。でも必ずしも肉が手に入らない事がマイナスとは限らないって事」
これは僕の仕様のようなものなので、深く考えてはいけない
「よくわからないけど、とりあえず明日はウルフ討伐にしようか?」
いきなりこんな話を聞いて理解されてもそれはそれでおかしいから、今はこれでいいだろう。
ウルフを倒した時にもう一回説明しよう
僕達は依頼を受けてから別れることにした
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