第6話 ニーナに甘える
僕達は微妙な空気のまま依頼を続ける
「ニーナに聞きたいことがあるんだけど?」
「なに?」
「ステータスってどうやって確認するの?変なこと聞いてごめんね」
「……ステータス知りたいって願えば見れるよね?」
「そうだね。それで何が見えるの?」
「変な事聞くね…レベルとスキルだけだよ」
確定した。僕だけがおかしいんだ。
「体力とかは見えないの?」
「あっ、そっちのステータス?それならギルドとかで有料で調べれるみたいだよ。私は使ったことないから詳しくはわからないかな」
調べることは出来るみたいだ。お金に余裕が出来たら使ってみよう。エラーとかになったら嫌だな……
「そうなんだ、お金に余裕が出来たら使わせてもらおうかな」
「クオンくん達って、ものすごく田舎から来たんだね。聞いてはいたけどここまでとは思ってなかった」
さすがに常識が無さすぎると思われたのだろうか
「そうなんだよ。畑以外何も無いような村だったから色々と知らないんだ。迷惑かけてごめんね」
「別にいいよ。今は同じパーティなんだし、なんでも聞いて」
「ありがとう、助かるよ」
初めてのパーティメンバーがニーナで良かったな。
他の人なら見捨てられていたかもしれない
「それでクオンくん、ヨツバちゃんと何かあったの?」
まあ、気付くよね?あれからずっとヨツバとはギクシャクしてるし
「ちょっとね……。ケンカとかじゃないんだけど気まずいこと聞いちゃってね」
「そうなの?私に出来ることなら協力するから言ってね」
「なんでニーナはそんなに良い人なの?会ったばかりだよね?」
「うーん、なんでだろう?誰かに親切にした分はいつか自分に帰ってくると思ってるからかな?」
「僕も見習うことにするよ」
「それで、何に困ってるの?」
うーん、ニーナに甘えていいのだろうか?
でも、他に頼る人がいないのも確かだし……
「……ニーナはどこに住んでるの?」
「え、私?宿屋だよ」
「ヨツバを泊めてあげてもらえないかな?さっき、昨日野宿したって聞いたんだけど、僕もお金がなくてどうしようもなくてね」
「え!そんなの危ないよ。…泊めてあげたいけど、1人部屋だから多分ダメだと思う。宿屋の人に怒られちゃう。私もお金はほとんどないし…」
「……2人部屋なら2部屋借りるよりは少し安かったりするかな?」
「多分……」
「ヨツバと相部屋になってくれないかな?半分は僕達が払うから……お願いっ」
「いいよ。私も安く済んで助かるし」
「ありがとう」
よかった。これでなんとか済みそうだ。
僕はヨツバに伝える
「ニーナが同じ宿屋の部屋でもいいって。1人部屋借りるより多分安く済むから今日は野宿しなくて済むかもしれないよ」
「ほんと?」
「うん、相部屋なら多分足りると思う。」
「ありがとう」
ヨツバは泣き出してしまう。よっぽど昨夜がきつかったのだろう。
「お礼はニーナに言ってね。僕はヨツバが困ってるって言っただけだから」
「ゔん」
ヨツバはニーナにお礼を言いに行く。
ヨツバが元気になったからかその後は順調に依頼が進んだ。
スライム20匹倒し終えたのでギルドに戻る。
ちなみにレベルはもう一つ上がった。スキルポイントは温存してパラメータポイントだけ振り分けた
「薬草、僕が確認しておくからもらっていい?」
「うん」
「お願い。クオンくん、薬草探すのすごく早かったね」
早いのは当たり前だ。それっぽい草を片っ端からストレージに入れて、雑草を捨てるだけだから
僕は2人からもらった薬草もストレージに入れる。
ほとんど薬草だったけど、1本だけ雑草と毒草が混じっていた。
僕は雑草は捨てる
僕達はギルドの買取カウンターに行く
僕はカウンターのおっちゃんに確認する
「依頼よりも薬草が多く集まったんですがどうすればいいですか?あと、毒草も買取してもらえますか?」
「ああ、全部出してくれ。Gランクだろ?本数が足りてれば依頼2回分の達成扱いにも出来る」
「お願いします」
僕はカウンターの上に薬草と毒草を分けて置く
「おいおい、何本あるんだよ?適当に雑草持ってきたんじゃないだろうな?もしそうなら罰金とるからな。今なら間に合うから正直に言えよ」
「大丈夫です。全部薬草と毒草です」
「俺は忠告したからな。確認するからちょっと待ってろ」
しばらくしておっちゃんに呼ばれる
「言った通り全部薬草と毒草だったよ。とんでもない新人が入ったんだな。ほら、これを受付に持ってけ」
「ありがとうございます。すみません、これを出すの忘れてました」
「ああ、スライムゼリーだな。ほら銭貨2枚だ」
「ありがとうございます」
僕は受付に依頼達成の報告をする
「はい、ニーナさんとクオンさんのパーティですね。あら、1人多いわね?」
「すみません、行く前に1人増えました。ダメでしたか?」
「本当はダメだけど、今回だけは見逃してあげるわ。報酬も変わらないしね。他の人はそのあたり厳しいから気をつけてね」
優しい人にあたってラッキーだった
「ありがとうございます」
「それじゃあギルドカード出してね。あと買取証明書もね」
僕達はギルドカードとさっきもらった紙を渡す
「スライムの討伐は3人で20匹ちょうどね。薬草の方は……!!え、これほんと?合ってる?ちょっと待っててね」
受付嬢のお姉さんは慌てて買取カウンターの方へ行ってしまった
少しして戻ってくる。
「お待たせしました」
何事も無かったかのように話し出した。
「それでは薬草が104本と毒草が28本ね。薬草が10本で銅貨1枚、毒草が20本で銅貨1枚だから、全部で銀貨1枚とおまけして銅貨3枚ね。スライムの分も合わせて銅貨は5枚ね。依頼は6回分の達成にしておいたわ」
150Gか
日本円で15000円くらいかな。
1人部屋を2室借りてもお金足りたな。
僕はニーナに銅貨7枚と銭貨を5枚渡す
「ほとんどクオンくんが採取した薬草の報酬だからこんなにもらえないよ」
ニーナが遠慮する
「いやいや、貰ってよ。同じパーティなんだし。それにニーナが逆の立場でもどうせ半分くれるんでしょ?」
「そんなことないかもよ。持ち逃げするかも」
「それはないよ。まだ日は浅いけどニーナがそんなことしないのはわかってるつもりだよ。いいからもらって。それにこれからも一緒にパーティ組みたいからそういった遠慮はなしでお願い」
僕はニーナに無理矢理お金を握らせる
「う、うん。ありがとう」
「後これも」
僕は追加で銅貨7枚渡す
「これは?」
「ヨツバの宿代だよ。一部屋借りれそうだけど、相部屋の方が安く済むならその方がいいでしょ?残りは食事代にして」
「クオンはどうするの?」
ヨツバに聞かれる
僕は自分の部屋に帰ってご飯食べて寝るし、最悪こっちのお金がなくても生活できるんだよね。
一応端数の銭貨5枚分の5Gだけもらったけど
帰れることは言ってないので誤魔化す
「僕は伝手があるから大丈夫だよ」
「嘘!昨日、外で寝るって言ってたよね」
鋭いな。
「外で寝るけど、スキルのお陰で快適なんだよ。危険もないから気にしないで」
「……それならいいけど、本当にいいの?わたしほとんど役に立ってないよ」
「こういうときは助け合いだから気にしないで」
「ありがとう、いつかちゃんと恩は返すわ」
「本当に気にしないでいいからね。それで明日はどうしようか?今日と同じでいいかな?」
「それがいいと思う。Gランクだと普通こんなに稼げないし、明日でFランクに上がれそうだしね」
「それじゃあまた明日」
僕は2人と別れて、自室に帰ってくる。
僕は覚悟を決めてパソコンを点ける
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