7月の頭に二重整形をした。


私は生まれたときから一重だった。

高校を卒業するまでそれを恥ずかしく感じたことは一度もなかった。田んぼに囲まれた田舎育ちだったので、周りも芋臭い子ばかりだった。


高校を出てから都会に出ると、急に自分が恥ずかしく感じた。私って醜い、酷い顔、うわーよくこんな顔で今まで生きてきたものだ。この醜い容姿をなんとかしようと4年間アイプチをしていたが、私の瞼は癖がつくどころが皮膚が伸びきって、「いつか癖がついて二重になる」夢は跡形もなく消え散った。


「いつか癖がついて二重になる」と信じ、大学1年生のときから母に勧められては断っていた二重整形を、大学4年生の夏にした。


一度処女を捨てたら淫乱女になってしまうタチだと初めて気がついた。二重になってから次はどこをいじろうかばかり考えている。なにしろ金がかかるから、あーいやだ、欲というものに引きずり回されている。目指すゴールがハッキリしないまま今の自分の欠陥ばかりに目がいってしまう。あーいやだ。


「最後の一葉」のジョンジーは、「あの葉がすべて落ちたら、自分も死ぬ」とスーに言った。私は目の縫い付けている糸が取れたら死ぬ。

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