第7話 『電撃』
アナザー
著者:ピラフドリア
第7話
『電撃』
ヘッドとイナズマが向かい合う。
ヘッドの能力はすでに情報を得ている。
「どうした? 攻撃してこないのか?」
ヘッドはそう言いながら巨大で近づいてくる。
ヘッドの能力は巨大化。攻撃を受ければ受けるほど、身体が大きく成長していく。
さらに巨大化により攻撃力、耐久力も増す。戦闘に特化した能力だ。
さっきまでの攻撃はヘッドの動きを止めることはできなかった。これ以上、無駄な攻撃をしてヘッドの能力を発動させるわけにはいかない。
イナズマはヘッドを倒す。そして追いつく。それが目的だ。そのためには足止めをするだけでは意味がない。
確実にヘッドを倒すことが必要だ。
だが、これ以上、奴の巨大化をさせるわけにはいかない。一撃で確実に倒す。その必要がある。
「なら、俺から行くぜ!!」
イナズマはどうにか倒す手段はないかと考えていた。しかし、そんな時間をくれるはずもなくヘッドは襲いかかってくる。
だが、ヘッドのスピードは遅い。巨大による攻撃力は確かにあるが、イナズマには容易に躱すことが可能である。
イナズマはヘッドの攻撃を次々と避けていく。パンチ、キック、タックル。全ての攻撃がイナズマに掠ることすらない。
お互いに攻撃のできない状態が続く。
しかし、ヘッドは焦ることはない。理由は謎だ。
ヘッドの目的は分からない。時間稼ぎか、それともイナズマを倒すことなのか。
どちらにしても、この状態が続いているというのに、淡々と攻撃を繰り返す。
奥の手があるのか。それともイナズマをここで縛ることが目的なのか。上に登っていったヒーローには興味がないのか。
どうであっても、ヘッドとの対決はイナズマにとっては早く勝負をつけたい。
ならば、これ以上時間をかけるのはイナズマにとって得策ではない。
イナズマはヘッドから距離を取る。
「どうした? 逃げるのか?」
ヘッドは挑発してくるが、それには乗らない。
「いいや、お前を倒す。新技を見せよう」
イナズマの能力は身体に電気を纏い高速で移動することができるものだ。
電気を溜め込み、身体を電気でさらに動きを早くする。
イナズマの電気は能力を発動中でも、ちょっとビリっとする程度で、攻撃に使用できるレベルではない。
そのため、イナズマの基本的な戦闘スタイルは、速度を活かしたヒットアンドウェイだ。
相手を撹乱し、確実に仕留める。しかし、ヘッドの様に攻撃の効かない相手には、長期戦となり、電気がなくなれば能力が使えなくなるイナズマにとって不利な相手となる。
しかし、イナズマは距離を取り、新技を宣言した。
イナズマは右腕に力を溜める。
全身を研ぎ澄まし、身体中の電気を集める。
イナズマの電気は触れてもピリッとする程度である。しかし、イナズマはそれを片腕に集中させる。
「新技! 雷弾(サンダーボール)!!)
イナズマの出せる電撃を全て集めて作り上げた電気の弾。
それを見たヘッドは警戒する。
イナズマはまるで野球のボールを投げる様に振りかぶると、勢いよく電気の塊を投げる。
電気の塊は塔の端にいるヘッドまで一秒もかからずに到着。しかし、ヘッドのすぐ側を通り、ヘッドに当たることなく通り過ぎていった。
「脅かすなよ。……その技、またコントロールができてないみたいだな」
ヘッドの言う通り、イナズマはまだこの技をコントロールできていない。実戦に出すのは初めてだった。
「どれだけ強力な技を使おうと、当たらなければ意味がない」
攻撃が効かない状況で、この技を使うのは賭けであった。
この新技は体力の電力を使う。そのため一時的にオーバーヒートしてしまい、しばらくの間能力が使えなくなる。
「さぁ、今度はどうする? また逃げ続けるか?」
だが、ヘッドはそのことに気づいていない。
「ああ、今度は外さない!!」
その言葉にヘッドは動きを止める。またあの技が来るのかと警戒をする。
だが、そんなことはできない。しかし、目的は注意をイナズマに向けて、その場で動きを止めること。
すでに……。
次の瞬間、ヘッドの背後から大量の警官が現れてヘッドにのしかかる。
「確保ー!!」
そしてイナズマの地面にある影から一人のヒーローが現れた。
彼はヒーローのシャドー。能力は影を操作し、ワープゲートを作ったりする能力。
「なんだと……」
ヘッドは警官たちに取り押さえられる。
そう、イナズマの目的はヘッドの動きを止め、仲間の援護をしやすくするというもの。
外にいたヴィランたちはある程度捕まり、こちらに陣営を送ったのだろう、
「ヘッドはこちらで対応する。お前は先に行け」
シャドーがそう言う。捕まえたとはいえ、油断できない敵だ。ヒーローがいた方が良いだろう。
そしてイナズマを先に行かせるため。
「分かった。任せたぞ!」
イナズマは階段を登って行った。
【後書き】
新技登場!!
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