第25話 特訓の日々!
トゥナによる魔法の特訓は翌日から始まった。特訓と言っても、実際に魔法を使うわけではない。アレクは魔法が使えないからだ。まずは、魔力のコントロールを覚える方が効率が良いととなさんは言う。体内にある魔力の流れを感じ、その流れを操作していくイメージだ。実際に言われるがままに訓練を続けていると、自分でも魔力の流れが分かるようになった気がする。そんなアレクをとなさんは見ているだけだが、彼女には魔力の流れが見えるらしいので、見てくれているのだろう。そんな訓練を1週間ほど続けた。
「アレクの魔力はかなりコントロールできるようになってきたわね。次は魔法の詠唱と必要な魔力量の調整に移りましょうか。えっと……得意な属性はあります?」
「いえ……特には……。検査の結果も全部Eでした」
そう言えば夏の競技大会の前にもそんな話を聞いた気がする。トゥナは自分の失言に気づく、と同時にある疑問が浮かび上がった。彼の保有魔力量は並の人間の比ではない。つまり、彼の結果を捏造した人間が存在するという事――。
(そちらも調査するしかなさそうね……)
そんな考えは後にして、今は目の前にいるアレクだ。
「ごめんなさいね。それじゃあ簡単な水魔法から覚えましょうか」
……
…………
となさんからは水、火、風、地それぞれの基礎魔法について教えてもらい、実際に詠唱して練習もした。しかし、魔法が発動する事はなかった。となさんはそんなアレクを見ながら、魔法に合わせた魔力の調節や具体的なイメージなどをアドバイスしていく。
こうして時は流れ……
ついに、闘技大会は明日開催されるようになった。今日は事前の組み合わせ、つまり、トーナメント表の公開日だ。トーナメント表には代表者の名前に続き、メンバーの名前が書かれている。
トゥナの名前に続き、ルーナ、アレクと記載があった。トゥナは魔法競技大会で1位の成績を残しているため、自分たちはシード枠で参加する事になっている。驚いたのは参加チームの数だ。書かれているチーム数は全部で42チーム。つまり、総勢126名が参加する事になる。親善パーティーでの参加人数150名を考えると実に8割以上が参加している事になるのだ。もちろんその中には知った名前もある。
アリス、そしてミゼット……。この2人の名前はすぐに見つかった。しかも、ミゼットは何故かシード枠になっていた。勝ち上がれば準々決勝で当たる。先日の事もあるが、こちらにはトゥナもいるので、心配はなさそうに思えたが、少し気になっていた。
ちなみに、実践演習は来週の予定になっているので、上級生も観戦に回るらしい。
「ミーナは反対側のブロックですね。他に気になるのはAクラスでも上位のルカリス。彼は水魔法が得意で戦略も練ることができるチームの頭脳といったイメージですね。彼とは準決勝で戦う事になりそう。後は例の彼と同じチームにいるクリス・ヴァイエンは剣士の家系で有名ですので気を付けた方がいいかもしれないです」
「つまり、シードをもらえる相手ってわけだな……」
恐らく、トゥナ達と同じように夏の大会で優勝した猛者なのだろう。
「ルーナさんが到着したら作戦会議をしましょうか」
今日の夕方には選手が魔法学院に集結する。夕食後に集まる事にしてアレク達は一度解散した。
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