第22話 パーティー前日!

あれから2週間が経ち、明日はいよいよ親善パーティーの日だ。驚くことに、ミゼットからの嫌がらせは一切受けなかった。トゥナ達はしばらく学院に来ていなかったが、昨日から学院に来ているらしい。しかし、Aクラスに行こうとするも会えずにいた。ホームルームが始まると、いつもの調子でガーネットは言う。


「明日の親善パーティーだが、まず王都から勇者学院の生徒が60名参加、それと聖都から治癒学院の生徒が30名参加する事になった。そしてここ、魔法学院からは30名だ」


参加者30名――そう聞かされたクラスの生徒はごくりと生唾を飲み込む。魔法学院の1年生はA、B、Cすべて合わせて60名だ。つまり半分の生徒は溢れてしまうことになる。そして、Aクラスの10人は当然、Bクラスの20名のうち、ほとんどが参加するだろう。つまり、Cクラスの枠はほとんど残らない。


「先日は話した通り、うちのクラスからはミゼット、アリス、シルットの3人を推薦し、参加を認められた。それ以外は残念だが、今回の親善パーティー、及び魔法闘技大会出場は諦めてくれ。話は以上だ」


2週間前と同じく、選出されたメンバーは変わらなかった。つまり、あれからでガーネットを説得できた生徒はいないという事だ。クラスの半数以上からは落胆の言葉やため息が聞こえる。ただ一人――ミゼットは当然という顔をしていた。


親善パーティは明日1日かけて行われるため、今日の授業は午前中だけで、午後からは会場の準備や宿館1階にある来賓用の宿泊施設の清掃をする事になっている。ちなみに、上級生は実践演習に選抜されたメンバーが午後から王都に向かう予定になっていた。



午後、上級生が王都に向けて出発し、下級生及び、選抜漏れのメンバーでの会場準備、清掃が始まった。アレク達Cクラスのメンバーは宿館の清掃を担当し、もちろんミゼット達のグループを除くメンバーで清掃を行った。清掃を終えたアレクは会場準備の手伝いに向かうと彼女達と出会った。


「アレクさん。お久しぶりです」


「となさん、ミーナさん。先日はありがとうございました。ずっと学院を休んでたみたいで、お礼が遅くなりました」


アレクは2人に頭を下げて礼をする。あいにく、レイはこの場に居なかったので、後であいつにも知らせようと思う。


「いえ、大した事はしてませんよ。学院の仲間なんですから気にしないで」


となさんは相変わらず謙虚な人だ。優しく微笑みかけて話してくれる。それに対して妹のミーナさんはというと……


「あんな奴ら私にかかればイチコロよ」


腕を前で組み、えっへんとすごく誇らしげに話していた。そのまま話題は明日の親善パーティーの流れになる。


「アレクさんは明日のパーティーで、気になるお相手はいらっしゃるのかしら?」


となが少し目を細めながら聞いてくる。親善パーティーには孤児院で育った友人ルーナが参加するだろう。彼女は幼い頃から剣の修行をしていたらしく、勇者学院でも良い成績を収めていると聞いていた。


「気になる相手はいないですよ。そもそも俺はパーティーには参加しませんから」


その話を聞いたトゥナは目が点になり、きょとんとしていた。そんなトゥナの代わりにミーナが訪ねてくる。


「どうして参加しないんですか?」


アレクにとっては以外な質問だった。なぜなら魔法学院の参加者枠は30名と聞いている。C組で、学年最下位で、魔法が使えないアレクがその30人に選ばれるはずないのだから。そんなアレクを知ってか知らずか、ミーナが続ける。


「だって、全員参加ですよね……?ほら、学院の席も60人分準備したじゃないですか……」


見れば、確かに魔法学院の参加者の席は60人分準備されている。普段上級生が座る席に勇者学院、治癒学院の生徒が座るようにそれぞれ準備されていた。ガーネットの話によるとC組は3人しか参加しない話だったため、、どこかで食い違いがあったのではないかと思ってしまう。


「そ、そうなんですね。うちのクラスからは3人しか参加しないって担任が言ってたので……」


「そんなはずない!だって……」


となさんが突然叫んだと思うと、今度は言葉に詰まる。


だって……。


アレクは……。


彼は……。


魔法闘技大会への参加を要請されているのだから――

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