第17話 レイVSミゼット!
放課後、レイは1人で訓練所に来ていた。ミゼットから呼び出しがあったからだ。普段は魔法の練習をする生徒がいるが、何故か今日は誰もいない。彼ら以外には……
先に来ていたミゼットが両手を前に組んで待っていた。その後ろには4人、彼の仲間が立っている。
「逃げずに来たな」
「そっちこそ」
レイは少し緊張している様子だが、ミゼットは堂々としている。2人の間にはただならぬ空気が漂っていた。
アレクはその様子を訓練場に繋がる通路に隠れて見ていた。さらにその後ろにはアレクから隠れて、彼を
どちらからも合図はなかったが、睨みあったまま、ミゼットとレイはお互い杖を構えた。正真正銘の真剣勝負が始まる。
「はじめっ!」
ミゼットの仲間が合図をし、決闘が始まった。先ず動いたのはミゼットだ。杖をレイに突き出し、詠唱を始める。
「大いなる風よ、吹き荒れる
レイに向かって突風が吹くが、彼はそれを横っ飛びにかわす。レイの隣を風が吹き抜ける。ミゼットの攻撃はそれだけでは止まらない。
「避けるだけじゃ芸がないぞ?大いなる風よ、吹き荒れる
ここでミゼットの奥の手……三重詠唱を繰り出す。レイの左右を含めた3ヶ所目掛けて
「大いなる風よ我が意思のままに
レイに迫る突風を操作しようと試みる。突風の軌道が変化し、風はレイの上空を抜けていく。さらにその風を上空で反転させ、ミゼットに照準を定める。
「大いなる風よ。かまいたちの如く大地を切り裂く
風の操作に夢中になっていたレイはミゼットの詠唱に気づかなかった。突風をミゼットに照準した時にはすでにミゼットの放った
ザシュッ!!
「ぐはぁっっ!」
「レイ――」
遠くから見ていたアレクはレイが切られたと思い、訓練場に駆け込む。早く助けないと――
その一心で礼に駆け寄る。呼びかけるも返事はない。先ほどの攻撃で斬られたと思い、気絶していたのだ。
「無能も居やがったのか。丁度いい、お前ら2人まとめて再起不能にしてやる」
勝負はすでにミゼットの勝利であるが、アレクの乱入に魔がさした。このまま目障りな2人を
ミゼットが魔力を高めていくが、それに構わずレイの身体を起こす――
血……?
レイは両手から血を流している。他に外傷はなさそうだ――
『ドクン!』
心臓が跳ねる……
『ドクン!』
レイの……?いや違う。これは自分のだ……。どうして……?レイが死にそうに見えるから……?
『ドクンッ!!』
違う……。これは――
アレクの脳裏に血塗れの人影がよぎる。知っている人物に見える……。その人物は言った。
『生きろ――』
その瞬間、アレクの目の前が真っ白になった――
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