Ⅱ.モノクロシスターズ ③



「……毎回このカフェですね。」


五月最後の日曜日。俺は毎回使っているカフェのテーブル席に、香月社長と仲良く並んで腰掛けていた。デジャヴを感じるな。俺と社長が出会った日に話し合ったのも、夏目さんと初めて対面したのもこの店のこの席だったぞ。あれからもう二ヶ月近くが経ったのか。随分と早く時間が進んでいる気がするし、どうやら俺は濃い毎日を過ごせているらしい。


財布や手帳などが入っている黒いブリーフケースを、席毎に置いてあるお洒落な荷物入れ……バスケット? カゴ? とにかくそこに仕舞いつつ呟いた俺へと、左隣の香月社長が椅子の位置を調整してから応じてくる。


「まあ、あれだよ。験担ぎってやつさ。君や夏目君を口説き落とせたこの店は、私にとっての『幸運のカフェ』であるようだからね。だったら初めての話し合いはここで行うべきだろう?」


「験担ぎですか。何となくですけど、社長はそういうことを気にするタイプじゃないと思っていました。」


「験担ぎ、おまじない、ジンクス、占い。何事にもちょっとしたスパイスは必要さ。縛られも縋りもしないが、どこでも同じならここにするよ。何よりこのカフェはアイスコーヒーが美味いしね。良いアイスコーヒーを出す店は、良いホットコーヒーを淹れる店よりも遥かに少ないんだ。」


「確かにこの店のコーヒーは美味しいですね。種類も豊富ですし。」


メニュー表を開きながら言った後、それに目を落として注文する品を選ぶ。つまるところ、俺と香月社長は『モノクロシスターズ』の二人と会うためにこの店を訪れたのだ。どうも彼女たちは都内に住んでいるようだし、電話では細かい部分を詰められないので、とりあえず直接話してみることになったわけだが……いやはや、『土日の面談』は久々だな。江戸川芸能時代を思い出すぞ。


モノクロシスターズの二人は現役の中学生であって、そうなると当然平日には学校があるため、こうして日曜日の昼の待ち合わせになったのだ。江戸川芸能は『未成年は学業優先』の看板を掲げていたから、休日に打ち合わせをすることが結構あったものの……まあ、実情としてはそんなに優先できていなかったっけ。休日に話し合いを行った挙句、平日にも普通に仕事を入れていたな。


とはいえ、そこは仕方のない話だ。タレント活動をするにおいて、『学業優先』はかなりの足枷になってしまうのだから。『芸能活動をしつつ勉強もして良い大学に進学する』のは物凄く頑張れば可能だが、『学校生活を余す所なく満喫して仕事もする』まで行くとほぼほぼ不可能だろう。一日が二十四時間しかない以上、毎日九時間ほどを学校に割くのは厳しすぎるぞ。


要するに未成年が働くという状況が、そもそも社会のシステム上間違っているんだろうな。だからそういう不自然な齟齬が生じてしまうわけか。……そうは言ってもタレントたちはそれぞれの『芸能活動をする理由』を抱えているし、馬鹿正直に学業優先にしていては周囲から『使い難いタレント』扱いされてしまう。結局のところ二者択一なのだ。仕事か、プライベートか。その両方を掴めるのは一握りの『天才』だけなのだから。


芸能タレントだとそういった問題があったが、ライフストリーマーはどうなんだろう? メニュー表を見つめながら黙考している俺に、香月社長が声をかけてきた。


「君、何か考え事をしているね? 間違いなく注文とは関係がない考え事を。全くもって分かり易いよ。」


「……分かり易いですか?」


「君は難しいことを考える時、こう……眉根を寄せて一点を見つめる癖があるんだ。そのくらいの機微は分かるようになったさ。」


眉根を寄せて実演してきた香月社長へと、苦笑しながら口を開く。俺が社長の内心に気付けるようになってきたのと同じく、彼女も俺の心情を探れるようになってきているわけか。


「未成年のクリエイター活動についてを考えていたんですよ。夏目さんの場合は学校に通っていませんし、冬に十八歳になるのでそこまで深くは悩んでいなかったんですが……現役の中学生となるとさすがに気になってしまいます。」


「なるほどね、そういう考え事か。……そこを思案する際には、大前提を抜かさないようにしたまえよ? 『クリエイター活動を望んでいるのは当人である』という前提をね。」


「それは当然のことではありますけど、何だか言い訳っぽくありませんか? 『本人が望んでいるのだから仕方がない』みたいな。……本日のアイスコーヒーをお願いします。」


応答しつつ近付いてきた店員に伝えてやれば、香月社長も注文をしてから俺に返答してきた。


「私も同じ物をお願いするよ。……言い訳がましいのは認めるが、その前提を抜くと単なる悲劇だろう? 無理やりやらせるわけにはいかないからね。決して外してはならない条件だから、『大前提』にすべきなのさ。」


「まあ、はい。それはその通りだと思います。『親の都合でジュニアタレントになった』という話は何度か耳にしましたし、ちらほらとヘビーな事例もありましたから。」


短大に居た頃は『都市伝説だろ』と思っていたのだが、芸能事務所に就職した後で普通に起こっている問題だと知ったぞ。中でも一番多かったのは、子供がタレント活動を望んでいると親が勘違いしてしまうパターンだ。親は子供のためを想って活動を積極的に支援して、子供もまた親の期待に応えようと努力していった結果……いつの間にか無理を背負い込み、いきなりパンクしてしまうというケース。あれは紛うことなき悲劇だったな。


江戸川芸能事務所は『未成年』と言っても中高生から抱えることが殆どだったので、俺は他事務所で起こった事件を人伝に聞いただけだが……正直、子役を多く受け持つ事務所に就職しなくて良かったと安心してしまったぞ。最大の被害者はもちろん子供で、次いで両親であることは間違いないのだろうが、担当するマネージャーも精神的に相当キツいはずだ。適当にやっている人間なら気にも留めないかもしれないけど、真面目に向き合っていればいるほど辛いはず。自分の担当がそうなったらと考えるだけで胸がキュッとなるな。


想像だけで参ってしまっている俺へと、香月社長が質問を寄越してくる。呆れと感心と興味が綯い交ぜになった表情でだ。


「おいおい、駒場君? 何て顔をしているんだ。……まさか君、想像しただけでそんな顔になっているのかい? それとも芸能マネージャー時代にそういう体験をしたとか?」


「いえ、幸いにも私の担当はそういうことにはなりませんでした。」


「ということは、想像だけで苦悩しているわけか。君は……あれだね、案外繊細な人間なんだね。犬の映画とかを観て泣くタイプだろう?」


悪かったな、繊細で。別にいいじゃないか、犬の映画で泣いても。犬は可愛いんだぞ。半笑いで指摘してきた香月社長にジト目を向けてやれば、彼女はくつくつと喉を鳴らして続けてきた。


「まあ、それでこそうちのマネージャーだ。担当の悲劇に心から恐怖できる君は、きっと良いマネージャーなのさ。仕事だからと割り切ってしまえる人間よりは好感が持てるよ。……だが、君自身にとってはデメリットかな。自分本位に割り切れる人間の方が幸せな人生を歩めるはずだからね。」


「……根本的にはその辺が原因になって、私は江戸川芸能を解雇されたんでしょうね。タレントに入れ込みすぎるマネージャーは二流です。そこはよく分かっています。」


「しかしだ、故に君は現在ホワイトノーツに勤めているわけだろう? 居るべき場所に行き着いたのさ。どんどんクリエイターたちに入れ込みたまえよ、駒場君。私はそういう不器用な人間だからこそ気に入ったんだ。万が一失敗したら私が何とかしてあげるから、自分のやり方を信じて突き進みたまえ。」


むう、急に頼もしいことを言ってくるじゃないか。ふふんと胸を張って主張する香月社長に、負けましたという気分で小さく頷く。こういう人なのだ、我らが社長は。


「……分かりました、どうにか自分のやり方を形にしてみせます。」


「ん、精進するように。……話を戻そうか。今から会う二人は、自分たちの意思でライフストリーマーになることを決めたわけだろう? 私たちが何もしなくてもその道を選んだわけだ。」


「まあ、そうなりますね。」


「そして同時に、彼女たちはホワイトノーツに所属することを選んだ。そこが私たちにとって最も重要な点なんだよ。……介入する以上、介入しなかった時より良い結果に導く必要があるのさ。つまりだね、『未成年がライフストリーマーになること』の是非を悩むのは君の役割じゃないんだ。そういうのは口ばっかりの暇な連中にでも任せておきたまえ。君の仕事はその前提を踏まえた上で、より良い結果を彼女たちに齎すことだろう?」


動かせない前提でうじうじ悩むのではなく、自分の努力によって変えられるその先を考えろということか。尤もな台詞だな。俺はマネージャーなのだから、思案すべきはそこではない。決定を下したクリエイターたちを支えて、成功に導くのが俺の役目だ。


余計な部分に気を取られていたことに気付いてポリポリと首筋を掻きつつ、香月社長へと返事を返す。もちろん未成年の活動の是非も重要な問題ではあるのだろうが、優先順位を間違えるのは宜しくない。先ずは自分のすべきことをする。話はそれからだ。


「分かり易い考え方ですね。社長らしいです。」


「往々にして考え過ぎると失敗するのさ。もっとシンプルに行きたまえ。この世は存外単純に出来ているんだから。……それにまあ、ライフストリーマーなら芸能タレントよりもやり易いのは事実だろう? 露出による問題は共通しているが、時間的な制約は遥かに緩いはずだ。『いつやるか、どこまでやるか』が当人の選択次第だからね。」


「『ノルマ』が存在していないわけですか。……確かにクリエイター次第になりますね、そこは。」


キツくやるか楽にやるかを決めるのは、他ならぬ当人なわけか。何事も主体は事務所ではなくクリエイター。そこは理解していたつもりなのだが、やはり昔の考え方が染み付いているな。……うん、もっと柔軟に行こう。テンプレートなやり方じゃなくてもやっていけるのがライフストリーマーの良いところなのだから、変な枠組みを作ってその長所を潰さないようにしなければ。


脳内で反省していると、香月社長が席に届いたアイスコーヒーを飲みながら話題を変えてくる。


「ライフストリーマーは良くも悪くも『自由度』が高いのさ。そこはきちんと認識しておいた方が良いだろうね。……例のマニュアルもそういう視点から作るんだろう?」


「その予定です。『こうすべき』という形ではなく、『こうしたい場合はどうするか』をマニュアル化していこうと考えています。」


マニュアルというのは、俺と風見さんで作成中の所属ライフストリーマーに配布する資料のことだ。プライバシーの配慮に関する書類を作る過程で、動画編集についてや撮影の方法、使う機材やカメラの動かし方といった部分も組み込むことを思い付いたのだが……まあ、本当の意味で『完成』するのはずっと先になるだろうな。現時点ではたった二人の所属クリエイターである、夏目さんと豊田さんの経験を共有するための書類に近いわけだし。


とはいえ所属クリエイターが増えれば得られる経験も増していくだろうから、それを随時付け足していけば有用な資料に育ってくれるはず。現在の俺と風見さんがやっているのは、そういった未来を見越しての土台作りだ。会社がまだまだ未熟であるのと同じく、資料も成長途上ってことかな。


そしてそのマニュアルを作るにおいて、俺たちは強く『こうすべき』とは書かないように気を付けているわけだ。スタイルに違いがあるのがライフストリーマーの面白さなのだから、判で押したようなクリエイターにしていくのなど論外だろう。例えば彼らが『動画にエフェクトを入れてみたい』と思い至った時、資料を見ればその方法が書かれてある。そういう意味でのマニュアルにしていく予定だぞ。


つまり方針を示すのではなく、方法を示すための資料だ。クリエイターそれぞれの『やってみたい』を手助けする説明書ってところかな。今はまだペラペラの薄い書類だが、分厚く育って役に立って欲しいぞ。新しいフリー素材のサイトや編集用ソフト、新型のビデオカメラや流行りの撮影スタイル等々にも対応できるように、日常業務の合間に細かく修正を入れていかなければ。


よちよち歩きのマニュアルのことを思い返していると、香月社長が満足げに首肯して声を送ってきた。


「良いと思うよ。未来の所属クリエイターたちのために、事務所として情報を集積しておくのは素晴らしいことだ。それこそが企業における真の財産なのさ。……そうなると、夏目君や豊田さんには何らかの形で報いないとね。あの二人が基礎となる経験を提供してくれているんだから。」


「ですね。新人はもちろん大切ですが、『古参』を蔑ろにするのは論外ですよ。事務所に利益を齎してくれたクリエイターには、それ以上を返していきたいです。」


パッとは返せるものが思い浮かばないが、ホワイトノーツが成長していった暁にはそういうことも考える必要があるだろう。アイスコーヒーのグラスをぼんやり眺めながら思考を回していると……おや、来たな。モノクロシスターズの二人が店に入ってきたのが視界の隅に映る。


上にプリント入りの大きめの黒いTシャツを着ていて、下は暗い緑色のハーフパンツで、キャップを被って白いスニーカーを履いているのがアサキさんだ。ぱっちり開いた目できょろきょろと店内を見回しているな。細々とした動作がもう『元気』だぞ。動画内だけではなく、プライベートでも動的な性格らしい。


そして白いブラウスと黒いロングスカートに、焦茶色の大人っぽいブーツを合わせているのがサヨさん。こっちはかなり落ち着いた雰囲気の格好だな。動作も冷静というか何というか、店内の客を一人一人順番に観察している感じだ。恐らく俺たちを探しているのだろう。


うーん、対照的。それぞれ白っぽいグレーと黒っぽいグレーの髪の下にある顔はそっくりなのに、パッと見だと『全然違う』という印象を受けるぞ。俺がそんな感想を抱いている間にも、香月社長が二人に呼びかけを投げた。


「こっちだよ、サヨ君、アサキ君。」


よく通る香月社長の声を耳にした二人は、俺たちが居るテーブルに歩み寄ってきて……これまた対照的な挨拶を放ってくる。


「初めまして、一ノ瀬小夜いちのせ さよです。よろしくお願いします。」


「こんにちは、一ノ瀬朝希いちのせ あさきです! よろしくお願いします!」


綺麗にお辞儀したサヨさんと、キャップを脱いで元気良くぺこりと頭を下げたアサキさん。自己紹介をしてきた二人に応じて俺も立ち上がって、名刺を差し出しつつ返答を飛ばす。……ちなみに香月社長は座ったままだ。まあうん、この人が席を立って名刺を取り出すのは似合わないな。その辺はもう諦めているぞ。


「初めまして。ホワイトノーツでマネジメントを担当しております、駒場瑞稀です。よろしくお願いいたします。」


「そして私が社長の香月玲だよ。……まあ、二人とも座ってくれ。道に迷わなかったかい? ちょっと分かり難い場所だっただろう?」


「はい、迷いました。すっごく分かり難かったです。おまけに小夜ちが方向音痴だから、私が何とかして──」


「朝希、余計なことは言わなくていいの。……特に問題ありませんでした。大丈夫です。」


『サヨち』か。動画内と同じ呼び方だな。俺の名刺をきちんと両手で受け取ってきたサヨさんが注意するのに、アサキさんがムッとした表情で言い返す。片や動画よりも若干だけ丁寧な態度で、片や動画内そのままだ。何だか面白いぞ。


「……小夜ち、迷ったじゃん。遅れるかもってプチパニックになってたじゃん。私が頑張ったからたどり着けたんじゃん。」


「あんたね、何でいちいち突っ掛かってくるのよ。最終的には時間通り着けたんだから別にいいでしょうが。」


「お澄まし顔で『特に問題ありませんでした』とか言うからだよ。変なところでカッコつけたって仕方ないのに。……うわ、ロイヤルミルクティーが七百円だって。どうする? 小夜ち。幾ら持ってきたんだっけ?」


「朝希、お願いだから……お願いだから少し黙ってて。本当にもう、恥ずかしいから。」


うーむ、姉妹の役割が垣間見えてくる会話だな。早くもペースを崩されてしまったらしいサヨさんを目にして、香月社長が肩を竦めながら口を開いた。実に愉快そうな笑顔でだ。二人のやり取りが気に入ったらしい。


「奢るから好きな物を頼んでいいよ。迷わせてしまったお詫びさ。」


「本当ですか? ありがとうございます! 小夜ち、小夜ち。何にする? パンケーキ、食べていい? チーズケーキもあるみたいだよ?」


「あんた、いい加減にしないとぶっ飛ばすわよ。こういう時はね、普通遠慮するものなの。……妹がすみません。ちょっとバカなんです。無視して大丈夫ですから。」


「バカじゃないし、妹はそっちだよ。そういうこと言うなら勝手に注文しちゃうからね。」


不満げな面持ちで反論したアサキさんを完全に無視したサヨさんは、一度深々と息を吐いた後で俺たちへと改めて話を振ってくる。状況をリセットしたいようだ。もう無理だと思うぞ。


「とにかく、今日はわざわざありがとうございます。それで……こうして会ってくれたってことは、私たちは事務所に所属できるんでしょうか?」


「ほら、駒場君。ここからは君の役目だよ。一任するから頑張りたまえ。……時にアサキ君、君の名前はどういう漢字なんだい? 私は朝昼夜の朝に希望の希だと予想しているんだが。」


「はい、それで正解です。小夜ちは小さな夜で、一ノ瀬は漢数字の一に片仮名のノに──」


こっちもこっちで問題児だな。勝手に雑談を始めてしまった香月社長に半眼を向けた後、一つ咳払いをしてから小夜さんに応答した。漢字に関しては大正解だったらしい。だから何ってわけでもないが。


「では、私から説明させていただきます。……ホワイトノーツとしては、お二人の所属を前向きに検討していくつもりです。」


「まだ収益化できてないんですけど、それでも大丈夫なんですか? あと、その間のマネジメント料はどうなるんでしょう?」


「収益化も含めたマネジメントを行う予定ですから、そこは問題ありません。マネジメント料に関しても割合での契約になりますので、チャンネルの収益化以前はゼロとなります。」


「……収益化できるまでは、無償でマネジメントをしてくれるってことですか?」


目をパチパチさせながら尋ねてきた小夜さんに、苦い笑みで肯定を口にする。パーセンテージでの支払いになるので、元の数字がゼロなら当然ゼロになってしまうのだ。ここはもう仕方のない部分だろう。収入のないクリエイターからマネジメント料を徴収するのはおかしな話だし、そんなのは本末転倒だぞ。


「少し胡散臭い話に聞こえるかもしれませんが、一種の先行投資だと考えてください。私たちは今後お二人のチャンネルが伸びていくと予想しているので、収益化以前を度外視してでも所属してもらいたいと判断したんです。」


「……そ、そうですか。」


俺の発言を聞いて僅かにだけ頬を緩ませた小夜さんは、さっきよりも明るい声で会話を続けてきた。一見冷静なタイプに見えるけど、案外顔や声色に感情が出る子なのかもしれないな。


「なら、所属したいです。条件は香月社長から電話で説明してもらったので問題ありません。」


「その前に一点だけ確認させていただいてもよろしいでしょうか? ……事務所の所属には保護者の方の許可が必要になるんですが、そこは大丈夫ですよね?」


大丈夫だと言ってくれ。頼むから。恐る恐る問いかけた俺に……うわぁ、この反応は良くないな。途端に苦い顔付きになった小夜さんが、目をゆっくりと逸らしながら質問を寄越してくる。


「……無いとダメですか? 保護者の許可。」


「許可無しで活動をするのも不可能ではありません。複雑な手続きやいくつかの条件がありますが、法的な面で言えば可能です。……しかし非常に困難な選択であるのは確実ですし、『保護者に黙って活動する』のは絶対に不可能ですね。許可を得るのが最も楽で、かつ安全な方法だと思います。」


可能不可能で言えば可能だが、現実的ではない。そういうニュアンスを込めて説明した俺へと、小夜さんは自分の髪を弄りながら答えてきた。ダークグレーのロングヘアをだ。……どう考えても地毛ではなさそうだけど、中学校の校則とかに抵触しないんだろうか? 寛容な学校なのかもしれないな。


「……分かりました、説得します。」


「『説得』ということは、反対されているんですか?」


「そもそも言っていないんです。動画を投稿してることは多分、知ってるはずですけど。」


そこすらも多分か。つまりライフストリームに関する話は、保護者とは一切していないわけだ。明確に反対されていないのは良い点だが、難しい状況には変わりないな。要するに『相談』までたどり着けていない段階らしい。


厳しいぞ、これは。そんな思いが胸の中に漂っていることを自覚している俺に、香月社長と喋っていた朝希さんが声をかけてくる。こちらの会話も聞いてはいたらしい。


「大丈夫です、二人で何とかお姉ちゃんを説得してみます。」


「……お姉さん、ですか。」


「えっと、お父さんとお母さんはずっと前に死んじゃったんです。私たちが幼稚園の年長さんだった頃に。それで今はお姉ちゃんが保護者になってます。……だよね? 小夜ち。違う?」


「合ってるわ。私たちの法的な保護者……というか、後見人はお姉ちゃんよ。だからお姉ちゃんの同意が必要ってこと。」


となると、どうやら一般的な家庭ではないようだ。両親が亡くなった段階で、姉が成人していたということか? だとすれば相当歳が離れた姉ということになるぞ。……そもそも、そういう場合に法律的な後見人は姉になるのだろうか? 親族が少ないのかもしれないな。


うーん、分からん。『幼い頃に両親と死別した』というタレントは抱えたことがあるものの、『姉が保護者』というのは今まで接したことがないケースだ。悩んでいる俺を他所に、香月社長がかっくり首を傾げて疑問を場に投げた。


「珍しい状況だね。詳しく聞かせてくれないかな? ……これは好奇心からの質問だから、答えたくないなら聞き流してくれて構わないよ。」


「大丈夫です。変に気を使われるよりは、そう聞いてくれた方がよっぽど楽ですから。ずっと昔のことなのでもう割り切れてます。……姉は父が前に結婚していた人との子供で、その父が前の奥さんと死別した後に母と再婚して、二人の間に生まれた子供が私たちなんです。」


「あー……なるほど、複雑だね。端的に纏めれば異母姉妹なわけか。」


「そうなりますね。両親が事故で死んだ当時の姉は二十歳だったので、後見人として私たちを引き取ってくれたんです。もちろん特殊な選択ではあったんですけど、遺言書で指定されていたから手続きも何とかなったみたいで。ちなみに姉と私たちは十五歳離れてます。」


うーむ、十五歳差か。父親と母親の年齢も離れていたのかもしれないな。つまり姉は父親の連れ子で、母親と再婚した後に小夜さんと朝希さんが誕生したわけだ。その後両親が事故で亡くなり、彼女たちの姉は半分血の繋がっている五歳の妹たちを引き取ったと。


二十歳で二人の子供の後見人になるというのは、物凄く勇気が必要な決断だと思うぞ。俺ならそんな選択が出来るだろうか? 当時の彼女たちの姉の心境を想像していると、朝希さんが小夜さんの話を引き継いでくる。


「だから私たちは、ライフストリーマーになって沢山お金を稼ぎたいんです。アメリカのライフストリーマーが豪邸を建ててる動画を見て、二人でこれしかないって──」


「朝希、やめてよ。そういうの、恥ずかしいから。」


「恥ずかしくなんかないよ。絶対やるって二人で約束したじゃん。……私たち、お姉ちゃんに恩返ししたいんです。大きな家とか、お金とか、大学生活とかをプレゼントしたくて。それでライフストリーマーをやろうって決めました。」


大学生活? よく分からない言葉が出てきて首を捻っている俺たちに、小夜さんが小さくため息を吐いてから解説してきた。朝希さんは『自分の夢』を躊躇なく宣言できる性格らしいが、彼女は話すのが少し恥ずかしいようだ。何となく理解できるぞ、その気持ち。


「……姉は、当時通っていた大学を退学したんです。私と朝希を養っていくために自分の人生を犠牲にしたんですよ。両親が遺してくれたお金はそこまで多くなかったらしくて、すぐ働かなくちゃいけないから辞めたんだと思います。私たちには何も言ってきませんけど、少しだけ未練を感じているみたいで。」


「それで、私たちで取り戻そうと思って。お姉ちゃんは私たちのこと、大学まで行かせてくれようとしてるんです。学費のローンとかを組んで。……でもそんなことしてたら、どんどんお姉ちゃんの人生がなくなっちゃいます。そう考えたら怖くなってきて、小夜ちと相談して何とかしようって決意しました。」


切実な表情で語った朝希さんの発言を継ぐ形で、小夜さんが下唇を噛みながら続きを話してくる。何かを悔やんでいるような面持ちだ。


「姉は私たちのために二十代を棒に振って、自分の夢を諦めて、今も必死に働いています。私たちが大学を卒業するには更に九年もかかりますし、教育ローンを払い終えるまでを含めたら何年かかるか分かりません。全部終わった頃に姉が何歳になっているかを計算した時、怖くて眠れなくなりました。……だから、私たちは今すぐにでもお金を稼ぎたいんです。大学を卒業した後で良い職業に就けたとしても、姉が失った時間は買い戻せませんから。」


「最初は高校の学費を奨学金でどうにかして、アルバイトを頑張って少しでもお金を入れて、高卒で就職しようって考えてたんですけど……それを話した時、お姉ちゃんにすっごい怒られちゃって。学費は私が払うし、アルバイトよりも学生生活を楽しんで欲しいし、大学も出てもらうって言われました。あんなに怒られたの、初めてだったから。私も小夜ちも何も言えなくなっちゃったんです。」


親心ならぬ姉心か。中学生の被保護者がそんなことを言ってきたら、保護者としては遣る瀬無い気持ちになるだろうな。健気に気遣ってくれたことが嬉しくもあり、子供に気遣わせてしまったことを悲しくも思うはずだ。……ただまあ、少なくとも悪い姉妹関係ではないらしい。互いに想い合っていないとそういうことにはならないだろう。


予想していたものよりも、遥かに重い『志望動機』。それを耳にして心中で唸っていると、小夜さんがテーブルの上の手をギュッと握って話を締めてきた。


「姉に負い目を感じて欲しくないんです。私たちが大学に進学して、かつ姉を自由にする。そのためには姉が安心できるレベルの貯金額が必要になります。それも、なるべく早く。姉がまだ人生をやり直せる年齢のうちに。……だから私たちは相談し合って、ライフストリーマーになることを選びました。顔を出すリスクとか、そういうのは重々承知してます。姉には私たちを引き取らないって選択肢があったはずなのに、それでも見捨てないで育ててくれたんです。だったら今度は私たちがリスクを背負ってでも恩返しをしないと。二十代を私たちのために使ってくれたなら、残りの人生を丸々プレゼントしないと割に合いません。」


「多分お姉ちゃんは『また余計な心配して』って怒りますけど……でも、ライフストリーマーなら学校に通いながらでもやれると思ったんです。それに中学生でも始められるし、頑張れば頑張っただけお金を稼げるし、大成功すればあの動画みたいな豪邸をお姉ちゃんに贈れるかなって考えたので。」


「そうそう上手く行かないってことは私も朝希も分かってます。だけど、覚悟だけはあるんです。私たちは所詮中学生かもしれませんけど、遊び半分で手を出したわけじゃありません。私たちなりに考えた結果として、こういう道を選びました。……ただその、これはあくまでも私たちの都合です。あまり気にし過ぎないでください。別に珍しくもない話だと思いますし。」


テーブルに身を乗り出して熱く語った後、ハッとしたように視線を泳がせた小夜さんは、恥ずかしそうに俯きながら座り直して後半を付け足す。そんな彼女のことを真っ直ぐ見つめつつ、真剣な表情で応答した。彼女たちは自分の覚悟を打ち明けてくれたのだ。であれば今度は俺がそれを伝えなければ。


「珍しいか珍しくないかは関係ありませんよ。他の誰でもなく、小夜さんと朝希さんの都合であることが重要なんです。お二人がホワイトノーツに所属してくれた場合、私は貴女たちのマネージャーになるんですから。……だから、気にさせてください。私にもお二人の夢を背負わせて欲しいんです。少し鬱陶しいかもしれませんが、私は『単なる仕事仲間』としてのマネージャーになるつもりはありません。クリエイターの夢を一緒に追いかけるパートナーでありたいと考えています。」


「……パートナー、ですか。」


「はい、それが私なりの意地と覚悟です。今のお二人の話を聞いて、『所詮中学生』などとは微塵も思いませんよ。素晴らしい夢を持っている、尊敬に値する人間だと感じています。……どうか私にも手伝わせてください。どこまで力になれるか分かりませんが、全力で向き合ってみせますから。」


担当がそういう立派な目標を持っているのであれば、石に齧りついてでも叶えるのがマネージャーの役目だ。真剣に向き合うに足る理由だと胸を張って主張できるし、もはやホワイトノーツを選んだ云々など関係無しに成功して欲しい。マネジメントの原動力としては充分すぎるほどの話だったぞ。


本気で向き合うという感情を台詞に込めた俺に続いて、香月社長が堂々とした態度で口を開く。


「大いに結構。君たちの夢は私たちが共に背負うよ。……いいかい? 断言するよ? 『百パーセント』という言葉は個人的に好きではないんだが、この場に限ってはそれを使わせてもらおう。私たちが君たちを百パーセント成功させてみせる。私なりの覚悟の表明だと受け取ってくれたまえ。絶対に失敗させないさ。」


「……いいんですか? そんなこと言っちゃって。」


「問題ないよ、やるからね。私はやると決めたらやる人間なのさ。……とはいえまあ、まだ君たちにとっては何の保証にもならない発言だろうから、私たちが本気かどうかは行動を見て判断してくれればいい。実行することで納得させてみせるよ。」


尋ねてきた小夜さんへと強気に笑う香月社長が約束したところで、朝希さんが目を瞬かせながらポツリと呟いた。


「何か、香月さんも駒場さんも想像してたのと違います。」


「おや、どんな人間を想像していたんだい?」


「もっとこう、『仕事の人』を想像してました。距離を置くっていうか、そういう雰囲気なのかなって。」


「そこは事務所によるだろうね。ホワイトノーツは恐らく、クリエイターとの距離をある程度近付ける事務所なのさ。マネジメント担当の駒場君がそういう性格だから、結果的にそうなっちゃったんだ。……嫌かい? やり辛いなら調節できるよ?」


肩を竦めて問いかけた香月社長へと、朝希さんはぶんぶん首を横に振って回答する。俺が原因なのか。……まあ、否定は出来ないな。


「ううん、そっちの方がいいです。ね? 小夜ち。その方が安心できるよね?」


「私は……別に、どっちでも。」


「ほらまたカッコつける。マネージャーさんが怖い人だったらどうしようって悩んでたじゃん。駒場さん、良い人みたいだよ。良かったね。」


「朝希、余計なこと言わないでってば。」


少し顔を赤くしながら朝希さんを制止している小夜さんに、今度はこっちの問題児が『余計なこと』を口にした。


「安心したまえ、駒場君はうちの自慢のマネージャーだよ。元々芸能事務所でマネジメント業をしていたんだが、担当アイドルを守るために解雇に追い込まれたんだ。そこを私が拾ったのさ。」


「香月社長、それはあまり口外すべきでは──」


「あの『終わっている芸能事務所』の世間体なんて知らないよ。嘘を言っているわけじゃないんだから、話したって何の問題もないのさ。律儀すぎるぞ、君は。あんな事務所に操を立てたって仕方がないだろうに。」


別に操は立てていないが、江戸川芸能は一応俺を成長させてくれた事務所なのだ。……これはある種の『サラリーマン的感性』なのかもしれないな。解雇された今でも、会社を悪く言うのには謎の抵抗があるぞ。


俺が自身の中の葛藤を自覚している間にも、朝希さんが興味深そうに質問を飛ばしてくる。ほら、興味を持っちゃったじゃないか。


「アイドルのマネージャー? 凄いです。有名なアイドルですか?」


「彼が前に担当していたのは、『コメット』というアイドルグループだよ。知っているかい? 女性三人組の──」


「駒場さん、コメットのマネージャーだったんですか?」


おっと、びっくりしたぞ。それまで朝希さんを止めようとしていた小夜さんが、急に勢いよく立ち上がって疑問を寄越してきた。それに朝希さんを含めた全員が驚いているのを他所に、彼女は頬を上気させながら俺に捲し立ててくる。場の空気に気付けないほど興奮しているらしい。


「じゃあ、コメットが塩見プロに電撃移籍したのはやっぱり枕営業から逃げるためだったんですか? そういう記事を情報サイトで見ました。根拠が希薄だって彗星フォーラムでは反応が分かれてたんですけど、ひょっとして駒場さんが解雇されたのはその所為だとか?」


「……そんな記事がネットに出ているんですか?」


「出てます。大手週刊誌が扱わないのは、テレビ局からの圧力だって書いてありました。私も嘘っぽい記事だなと思ってたんですけど、でも駒場さんは『担当アイドルを守るために解雇された』んですよね? つまり、コメットを守るために。」


「まあ、何というか……見方次第ではそうなるかもしれません。」


迫力に怯んで頷いた俺を見て、小夜さんはすとんと椅子に腰を下ろしつつ会話を継続してきた。どうも彼女はコメットのファンであるようだ。そうでなければ『彗星フォーラム』という言葉は出てこないだろう。あそこはファンクラブに入っている人間限定のコミュニティなのだから。


「なら、なら……あの記事、本当だったんですか? 駒場さんは、コメットを移籍させたからクビになったってことですよね?」


「ん、そうだよ。君の認識で概ね正しいんじゃないかな。駒場君は担当アイドルたちのために、江戸川芸能とキー局の一つに喧嘩を売ったのさ。その結果として懲戒解雇を食らったわけだ。カッコいい話だろう?」


「香月社長、マズいですって。下手すると名誉毀損とかで訴えられますよ。……お二人とも、ここでの話は他言無用でお願いします。広まると大事になりかねませんし、コメットの活動にも悪影響が出てしまいますから。」


たとえ事実だとしても、内情を大っぴらに話すのは危険だぞ。メディアを敵に回して良いことなんて一つも無いのだから。……しかしまあ、ネット記事になっていたのは予想外だな。今やキー局でさえ圧力をかけ切れないわけだ。『インターネット社会』の到来を実感させるような逸話じゃないか。


万人が情報を発信できる社会になっていることを改めて感じつつ、モノクロシスターズの二人に注意を送ってやれば、二人ともこくりと首肯して返答してくる。


「はい、分かりました! 内緒にしておきます。」


「コメットの迷惑になるかもしれないなら誰にも言いませんけど……でも本当のことを知ったら、ファンは駒場さんに感謝すると思います。」


「私は『元マネージャー』ですから、もうコメットとは無関係であるべきですよ。ここで幕を下ろしておいた方がいいんです。問題を大きくすれば、今度は塩見プロと局との関係が悪化しかねません。そうなれば結果的にコメットの仕事が減ってしまいますからね。このままなし崩し的に風化させるのが一番でしょう。」


結果だけを見るなら、そう悪くないものになっているはずだ。俺はホワイトノーツに就職できたし、コメットも引き続き活躍しているのだから。苦笑いで『大人の事情』を語ると、香月社長が大きく鼻を鳴らして不満げな声を漏らした。


「私はちょっと腑に落ちないけどね。……まあいいさ、そのうち『仕返し』をしてあげるよ。」


「やめてくださいよ、社長。土に埋めてしまうのが一番です。」


「私は執念深い女なんだ。うちの可愛い社員が殴られっぱなしというのは気に食わない。どこかで一発殴り返しておかないとね。」


「無断で移籍させてしまった以上、先に殴ったのはどちらかと言えば私の方なんですけどね。」


ぺちんと江戸川芸能を平手打ちしたら、懲戒解雇という形でぶん殴り返されたって構図だぞ。言わば自業自得だ。好戦的なことを言う香月社長を止めていると、お揃いの顔を見合わせていた小夜さんと朝希さんが発言を投げてくる。どちらもホッとしているような笑顔でだ。


「まあその、信頼できそうな人たちだっていうことは分かりました。改めてよろしくお願いします。」


「ちょっと変だけど……でも香月さんはカッコよくて頼りになりそうだし、駒場さんは丁寧で優しそうです。よろしくお願いします!」


ちょっと変なのか。……反論できないな。俺がどうだかは自分では分からないものの、香月社長は確かに『変な人』なのだから。ちょっとどころか、かなり変な人と言えるかもしれないぞ。


兎にも角にも、一定の信頼を得ることは出来たようだ。もちろん切っ掛け程度のものに過ぎないのだろうが、そこから先はゆっくり築いていけばいいさ。……お姉さんの同意が得られるか得られないかを待っている暇は無いな。彼女たちの事情を考えると、すぐにでも動き出すべきだろう。


となれば、先ずはチャンネルの収益化だ。それを達成しなければ何も始まらないし、もう一度ライフストリームの規約を丹念に読み返してみよう。動画に広告を入れるための申請が通らないということは、彼女たちのチャンネルに原因となっている何らかの問題があるはず。それをどうにかして探り当てなければ。


いよいよ忙しくなってきそうなことを予感しつつ、頭の中で方針を組み立てるのだった。

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