Ⅱ.モノクロシスターズ ②



「どうぞ、駒場先輩。湯冷しです。」


渋谷での撮影の翌日。俺は顆粒の胃薬が入った小袋の封を切りながら、目の前にマグカップを置いてくれた風見さんにお礼を告げていた。短大生の頃はこのくらい何でもなかったんだけどな。こうやって人間は年齢を実感していくのかもしれない。


「ありがとうございます。」


「具合、大丈夫ですか?」


「ええ、大したことはないんです。ほんの少しだけ胃がもたれている程度ですから、昼頃には良くなると思います。」


心配そうに尋ねてきた風見さんに応じていると、右隣のデスクの香月社長が哀れんでいるような顔付きで会話に参加してくる。要するにまあ、昨日の撮影で食べ過ぎたわけだ。しかも甘い物ばかりを。……覚悟はしていたのだが、やっぱりキツかったぞ。生クリームがちょびっとだけ嫌いになっちゃったな。


「こういうのは労災にカウントされるのかな? 病院に行くなら診察費は出してあげるよ。」


「そこまでではありませんって。市販の胃薬で平気です。……夏目さんは私より食べていましたよ。ハーモニーランドの時といい、彼女は撮影となると限界を超えるみたいですね。」


撮影協力してくれたカフェで出た太いペンネの本格派カルボナーラと、フルーツたっぷりの大きなチョコレートパンケーキと、可愛らしい動物の焼き目が入ったBLTサンドを完食した上で、更にトールサイズのロイヤルミルクティーとカフェラテを完飲してから食べ歩き動画の撮影を始めたのだ。改めて考えると凄まじいな。夏目さんの胃袋はどうなっているんだろう?


カフェの店長さんとしてもまさか一人で全部を完食するとは思っていなかったようで、撮影後に嬉しそうな顔で対応してくれていたが……あれはきっと、夏目さんなりの『プロ意識』なんだろうな。俺が残りを食べましょうかと言った時、『動画内で全部食べます』と決意の表情で語っていたっけ。


その甲斐あって食事のシーンは一連で撮れたし、カットではなく倍速にすることも可能になった。少なくとも編集の選択肢は増えたと言えるだろう。昨日のことを思い返している俺に、香月社長が苦笑いで己の解釈を寄越してくる。


「日本人は『きちんと全部食べる』という行動に好意を感じがちだからね。メインとなる視聴者がそういう文化的な傾向を持っている以上、そこは気遣うべき部分だろうさ。夏目君は経験からそれを学習したんだと思うよ。……あるいは単純に、彼女もまた残さず食べることを美徳と判断しているが故の行動なのかもしれないが。夏目君は素直なタイプだし、後者の方がしっくり来るかな。私のようにいちいち斜めから見たりはしなさそうだ。」


「勿体無いの文化ってやつですか。」


「あとは『食事の前にいただきますを言う』とか、『箸を正しく持つ』とかもあるね。好き勝手に食べるのは自分のためで、そこに気を使うのは他人のためなんだ。そういう意味では夏目君の選択は正しいんじゃないかな。……深く考えていくと無駄に思えるものもあるが、マナーとは即ち他者への歩み寄りなんだよ。自分に制限をかけてでも相手を立てる。そういった意思を行動で示しているわけさ。」


うーん、香月社長の視点はやはり面白いな。『マナーは自分ではなく、他人のためにある』か。よくよく考えてみれば当たり前の結論だけど、今まで深く思案したことがなかったぞ。正直なところ、『何となく』で判断していた部分だ。


俺が胃薬を飲みながら感心している間にも、自分のデスクに戻った風見さんが相槌を打つ。


「特に『いただきます』は日本の国民性を象徴する文化ですよね。大学でそれに関してのディベートが行われていました。使われ始めてから一世紀も経っていないと知って驚きましたよ。もっと長い歴史を持った伝統だと思っていましたから。」


「ああ、あったね。私が四年生の頃、第二講堂でやっていたディベートだろう? ……『いただきますを無理に言わせるのは、特定の宗教観の押し付けである』という主張は中々面白かったよ。いただきますとは宗教的行為なのか、文化的伝統なのか、あるいは日本固有のマナーなのか。捻くれた意見だとは思ったが、客観的に見つめ直すのは大切さ。それを怠ると文化は途端に腐っていくからね。」


「何にせよ僅か七、八十年でここまで広まっている以上、日本人の感性に合っている儀式……挨拶? なのは間違いないはずです。そうなると、所属クリエイターには食事の前にいただきますと言ってもらった方が良さそうですね。」


「ん、そうだね。私はまあ、死生観が絡んでいる物事は基本的に宗教の範疇だと捉えているから、信教の自由を重んじる文明人として他者に強制する気はないが……推奨はしていくべきかな。同調圧力は敵に回すと厄介だ。あえて立ち向かったりせずに、上手く受け流すのが賢いやり方なのさ。」


そこに帰着するのか。頭の良い人たちの会話というのは不思議だな。物凄く脱線したかと思えば、急にクリエイターの話に戻ってきたぞ。猫舌の俺でも飲み易い温度のお湯を飲みつつ唸っていると、椅子の背凭れに身を預けた香月社長が話を纏めた。


「インターネットは思想による私刑が行われ易い世界だから、クリエイターに代わって私たちが注意しておくべきだよ。警鐘を鳴らせない物見なんて単なる給料泥棒だからね。……その辺は君たちも心に留めておいてくれたまえ。私たちが警戒を疎かにすれば、責められるのはクリエイターだぞ。たとえ小さな火種でも、油断せず念入りに踏み消すように。」


「了解です。」


「はい、分かりました。」


火事を消せるだけでは二流であって、そもそも火事にまで発展させないのが一流の事務所ということか。風見さんと二人で返事をしながら、香月社長の発言をしっかりと心のメモ帳に記載したところで……社長が俺に向かって新たな話題を振ってくる。毎度お馴染みのしたり顔でだ。


「それと、駒場君。新しい所属クリエイター候補が出てきたぞ。夏目君と豊田さんはこっちから声をかけた投稿者だったが、今回は向こうから連絡してきてくれたんだ。」


「それは良い知らせですね。……しかし、何が切っ掛けだったんでしょう?」


「夏目君の事務所所属の動画を見て、ホワイトノーツの存在を知ったらしいよ。女の子二人組でやっているチャンネルで、『ゲーム実況』をメインにしているようだ。」


「ゲーム実況ですか。人気のジャンルですね。」


ゲーム実況。それは現在のライフストリームにおいて一定の割合を占めている、若年層を中心に広まっている大人気のジャンルだ。投稿者がゲームをやりながら喋るという単純明快な内容だが、『一緒にやっている感覚』が得られるのがミソらしい。俺もライフストリームの勉強として何本か見たけど、そのゲームに詳しくなくても投稿者次第では楽しめるようなシステムだったぞ。


大別すればゲームそのものの面白さと、投稿者のトークセンスが問われるような形式だったな。誤魔化しが利かないトークの比重が大きい分、他よりも更に実力がはっきり出てくるジャンルなのかもしれない。正に玉石混交だったことを思い出している俺に、香月社長が難しい面持ちで話を続けてきた。


「実は悩んでいてね。ゲーム実況をメインとするクリエイターを抱える場合、大きな問題点が一つあるんだ。それが何だか分かるかい?」


「著作権でしょう?」


「さすがだね、駒場君。大正解だ。……そこがかなーり難しい部分なのさ。ゲーム実況をするためにはゲームをしなければならないが、そのゲームには当然著作権が存在している。ライフストリームではそういったトラブルが頻発しているらしいよ。つまり、ゲームの権利侵害のトラブルが。」


「ゲーム実況をメインに据えているチャンネルだと、広告を載せるための申請も通し難くなるようですね。」


この辺はまあ、ライフストリームの経営母体であるキネマリード社も苦労している点なのだろう。プラットフォーム内の人気ジャンルを潰したくはないが、まさか著作権を堂々と無視するわけにもいかない。そんなこんなで対応が二転三転しているらしい。


現状だと当たれば再生数を稼ぎ易いが、反面アカウント停止のリスクも孕んでいるハイリスクハイリターンなジャンルってところかな? ゲームの開発や販売を行っている会社としては、『動画で見たから買わなくていいや』と判断されたら堪ったものではないだろう。苦労して作ったゲームがそんなことになるのは到底許せないはずだ。


権利侵害云々に関してはどう考えてもゲーム会社側に理があるわけだし、それで広告収益まで受け取ってしまえば法律的にも道徳的にも大問題になる。そういった理由もあって、キネマリード社はゲーム実況動画の広告掲載に対して慎重な姿勢を取っているのだろう。……非営利の著作権侵害でさえ企業にとっては大ダメージになるのに、営利目的の侵害までいくともはや悪夢だ。ライフストリームは多くの意味で際どいラインに位置しているサイトだから、運営側の苦悩が伝わってくるぞ。


脳内で思考を回している俺へと、香月社長が肩を竦めて口を開く。


「とはいえまあ、動画化が許可されているタイトルも複数あってね。数少ない収益化を行っているゲーム実況チャンネルは、そういうゲームのみを動画にしているようだよ。」


「……『素材』の選択肢が絞られるとなると、他との差別化をするのが難しくなりそうですね。」


「故に明暗がくっきり分かれてしまうのさ。同じゲームを実況している動画だったら、視聴者はよりトークが面白い方を見るはずだ。選べるゲームが限られている現時点では、競争が激しい投稿形式と言えそうかな。……それにライフストリームはゲーム実況があまり『得意』ではないプラットフォームだからね。ゲーム実況というジャンルに限定するのであれば、ライブ配信の方が人気らしいんだよ。『自分のコメントに配信者がリアルタイムで反応してくれる』というのが重要みたいだ。」


「……問題点が山積みですね。」


香月社長曰く、ライフストリームも遠からずライブ配信を取り入れるとのことだったが……まだその気配がないぞ。実験的な試みはちらほらと行われているものの、一般公開の兆しは見えていない。である以上、ライフストリームが『ゲーム実況に弱い』状態は暫く続くのかもしれないな。


俺が腕を組んで息を吐いたところで、香月社長が今度はプラスの判断材料を送ってきた。


「しかしだね、駒場君。そのチャンネルの登録者数は九万人なんだよ。しかも最初の投稿は去年の夏。逃すには惜しい大魚なんだ。」


「一年弱で九万は確かに凄いですね。……収益化は出来ているんですか?」


「出来ていないのさ。そこが私たちに声をかけてきた理由のようだね。是が非でもライフストリームで金を稼ぎたいが、ゲーム実況というジャンルだと著作権の難解な柵があるから、ライフストリーム専門の事務所に所属することで諸々の問題を解決したいらしいよ。……君はどう思う? マネジメント担当としての意見が欲しいんだが。」


「うちで抱えるか、抱えないかという意味ですか?」


俺の質問を耳にしてこっくり頷いた香月社長に、数秒間黙考した後で答えを口にする。


「私は抱えてみるのもありだと思います。ゲーム実況がライフストリームの柱の一つなのであれば、それを主軸にしている投稿者を抱えられないのは専門事務所として致命的です。色々と問題は出てくるでしょうが、そういった部分を解決できてこそのホワイトノーツじゃないでしょうか? ……それに、まだ収益化が出来ていないという点も重要ですよ。真の意味で『原石』の状態から抱えられるのが良い事務所の絶対条件です。そういうタレントが居ない事務所は、いつまで経っても厚みを持てません。私はそう考えています。」


「慎重派の君にしては珍しく、現実ではなく理念からの主張をしてきたね。大変結構、私好みの回答だ。段々と私の色に染まってきているようじゃないか。……ただ、マネージャーとしては苦労すると思うよ?」


「承知の上です。抜け道は必ずあるはずですから、それを探し当ててみせます。」


「うんうん、良い返事だ。……なら、受けようか。先ず挑んでみなければ始まらないしね。先々で活かせる経験を得るためにも、ここで問題を背負ってみるのが先駆者ってものさ。レベルアップには経験値が必要。それはゲームでも現実でも一緒のはずだ。」


くつくつと喉を鳴らして決定を下した香月社長へと、眼前のパソコンを操作しながら疑問を投げた。となれば、そのゲーム実況チャンネルの動画を見ておかないとな。


「チャンネル名を教えてください。空いた時間で動画をチェックしておきます。」


「『モノクロシスターズ』というチャンネルだよ。まだ電話で少し話しただけだから、本名までは分からないが……下の名前そのままで活動していると言っていたね。」


「本名でやっているんですか。外国のライフストリーマーだとそういう人も居ますけど、日本では珍しいですね。」


応答しながらライフストリームの検索窓にチャンネル名を打ち込んで、一番上に出てきたサムネイルをクリックしてみれば……おー、若いな。『女の子二人組』と聞いて夏目さんくらいの年齢を想像していたのだが、彼女より更に若いんじゃないだろうか?


「……随分と若い二人組に見えますけど、中学生とかじゃないですよね?」


動画を視聴しながら問いかけてみると、香月社長は間を置かずに首肯してくる。おいおい、そうなのか。重いプレッシャーがのしかかってくるぞ。


「中学二年生の双子だよ。白めのグレーに髪を染めているのがアサキ君で、黒めのグレーがサヨ君だ。」


「あー、双子ですか。言われてみれば顔がそっくりですね。」


「間違いなく一卵性だろうね。ちなみに私と電話で話したのはサヨ君の方だよ。中学生とは思えないほどにしっかりした喋り方だったかな。」


白に近いグレーのボブの子がアサキさんで、黒に近いグレーのロングヘアなのがサヨさんか。……うーむ、対照的だな。少なくとも動画内ではアサキさんが動的な役割であり、サヨさんが静的な役割を担っているらしい。元気で明るいアサキさんと、冷静で知的なサヨさんって雰囲気だ。


これはまあ、人気が出るのも分かるぞ。息の合った軽快なトークだし、ゲームのプレイスタイルにも違いがあるし、二人とも……双子なので『二人とも』なのは当たり前だが、姉妹でお揃いの容姿はかなり整っている。可愛らしい双子の女の子が楽しそうにゲームをしているとなれば、そりゃあ視聴者は定着するだろう。


香月社長の説明を受けながら動画をいくつかチェックしていると、対面のデスクの風見さんがポツリと呟いた。彼女もモノクロシスターズの動画を確認しているらしい。


「『リーグ・オブ・デスティニー』の動画が多いですね。懐かしいです。私もやっていました。」


「ゲームのタイトルですか?」


「ええ、とても人気があるゲームですよ。MOBA系では世界で一番流行っているはずです。日本は受け易いゲームが異なっているので伸び悩んでいますけど、それでも一定数のプレイヤーは居ると思います。北アメリカやヨーロッパでは大きな大会も開かれていますしね。」


ぬう、全然分からんな。俺もゲームは人並みにやる方だが、パソコンではプレイしたことがないぞ。……しかし担当するのであれば、分からないままにはしておけない。どうやら風見さんは詳しいようだし、彼女に教えてもらおう。


「所謂オンラインゲームというやつですか?」


「広義で言えばそうなります。極限まで噛み砕くと、五対五のチーム戦を行うゲームです。……上手いですよ、この二人。高ランク帯に居るみたいですから。」


「……チャンネルの動画一覧を見ると、確かにリーグ・オブ・デスティニーのサムネイルが多いですね。著作権的にはセーフなんでしょうか?」


「そこは大丈夫です。むしろ配信を推奨しているゲームですから。基本無料というシステムなので、『面白そうだから自分も始める』を狙っているんだと思います。」


なるほど、上手いやり方だな。配信を公式に許可することで、動画投稿者や生配信者にマーケティングをやらせているわけか。しかも無料で。……ただまあ投稿者の方も動画に出来るというメリットを享受しているのだから、双方が得をする見事なシステムなのかもしれない。


ゲーム業界も動画配信という波を受けて、適応するために生き残り方を模索しているんだろうか? 明らかにゲーム業界は巻き込まれた側だから、そこは心から同情するが……だけど静観しているだけでは泥沼だもんな。もはや『ゲーム実況』の流れは止められないだろう。ならば涙を飲んでそれを利用していくしかないわけだ。


『人類総発信者』が生み出した問題についてを思案していると、風見さんが新たな切り口からの情報を飛ばしてきた。


「アサキさんはRPGやアクションが好きで、サヨさんはFPSやRTSが好みなのかもしれませんね。何となくですけど、見ているとどちらが主導した動画なのかが分かります。」


「ジャンルの好みに差があるわけですか。……ちらほらとプラモデルやフィギュアの短い動画がありますね。一応ゲーム以外の動画もやってはいるようです。」


「そっちはサヨ君が担当しているみたいだね。対してアサキ君は歌やダンスの動画を少しだけ上げているようだ。……何とも面白い違いじゃないか。経験が人間を構築するという実例だよ。双子だろうと差は生じるのさ。」


香月社長が謎の結論に着地しているのを他所に、チャンネルのサムネイルをざっと見終えてマウスから手を放す。九割以上はゲームだな。残りの一割弱に『ゲーム以外』が詰め込まれているという状態だし、やはりメインはゲーム実況と判断して良さそうだ。


そして動画の編集はあまりしていないのも分かったぞ。基本的にはゲーム画面の右下と左下に小窓を入れて、別撮りの顔を映しているだけらしい。カットは殆どしないで、テロップや効果音やBGMやエフェクトもゼロ。一連のゲーム画面と別撮りの自分たちを、そのままくっ付けて動画にしている感じだな。


とはいえ、全然悪くないように思える。ゲームという素材がそもそも面白いし、画面の華やかさを担ってくれているので、編集に拘るとむしろごちゃごちゃしてしまいそうだ。すっきり短時間で見せたいならカットや編集もありだが、ゲームそれ自体に着目したいのであればこのやり方が『王道』なのかもしれない。


いや、本当に奥深いな。ゲームという素材の味を活かしている動画って印象だ。時には編集が余計になることもあるわけか。突き詰めていくと頭がこんがらがってくるぞ。眉間に皺を寄せながらこめかみを揉み解していると、デスクに頬杖を突いている香月社長が声をかけてきた。


「何れにせよ、彼女たちは中学生だ。そうなると保護者との話し合いも必要になるし、様々な面で制約が出てくるだろう。頼りにしているよ、駒場君。前職の経験を活かして頑張ってくれたまえ。」


「……努力してみます。」


最大の問題は香月社長に連絡をしてきたというサヨさんが、保護者の了解を取っているか否かだな。取っていない場合、非常に面倒なことになるぞ。所属の話自体が潰れることだって大いに有り得るだろう。中学生の娘たちが『ライフストリーマーになりたい』と言ってきた時、『よし、いいぞ!』と笑顔で了承する親はごくごく少数のはずなのだから。


あー、気が重いな。『保護者の説得』はマネージャーにとっての鬼門だ。神経をゴリゴリ削り取られるし、向こうの心配も理解できてしまうから強く主張できない。前に勤めていた江戸川芸能事務所では、その辺のストレスが原因で退職した人も居たほどだぞ。


もしもの時のために胃薬は大事に取っておこうとため息を吐きつつ、来る苦労を思って首をコキリと鳴らすのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る