第三十七話☆ふたつ目の祝福



「祝福っていくつも貰えるの?」


「ん〜。説明が難しいわね。まぁ、基本はひとつよ。持ってない人の方が圧倒的に多いけど。ふたつ目以降は祝福をあげる側の魔力の消費量がもっともっと多くなるの!」


「え!じゃあ、レアはたくさん魔力があるんだね!すごい…!」


「えっ!?…あっ、うん!そうね!私って魔力がとても多いもの!」


レアが突然顔を真っ赤にして、慌て出す。


な、何…?魔力の量の話ってそんな恥ずかしいことなの?!この世界だとタブーなのっ!?


そういえば、この指輪が祝福の印なら、精霊の祝福の印ってあるのかな…?


「ち、ちなみに、この指輪って何か効果があるの?」


「えぇ、もちろん。私の魔力が受け渡せるのよ。私の魔力ってことは、緑の妖精の魔力だから、リリィも少しなら緑の魔法が使えるはずよ。後で教えてあげるわ!」


「え、すごい…!」


そんな効果があったなんて…。でも、精霊からは何ももらってないな。私はいつ精霊の祝福をもらったんだろう。そもそも、精霊に会ったことないからなぁ。


でも、それよりもまずレアに伝えたいのは、感謝の気持ち。


「ありがとう、レア!レアとお友達になれてよかった!この指輪は大事にするね!」


私はレアからもらった綺麗な指輪をそっと指で触れる。


私は自分の言葉にできないくらいの嬉しい気持ちがちょっとでもレアに伝わるように満面の笑みを浮かべる。


「…っ!ま、まぁ、当たり前よ!私だもの!」


レアの背中にある4枚の小さな羽が忙しなく動く。


犬の尻尾のようにはっきりと分かるわけではないが、感情が大きくなるとレアの飛び方が少し変わる。羽が急に忙しなくなり、いつもは安定して飛んでいるのに、上下左右にブレブレになる。


そんなところが、また可愛いな、と感じる。


思わず、ふふっと笑うと、目が合ったレアも少し微笑む。


「あ!そうだ!お昼ご飯の時間だ!」


「あら、そうね。手伝うわ。」


あの、謎の女の子の分も作ってあげなきゃ。最初はずっと気を失ってたからすりおろしたリンゴなどにしようと思っていた。しかし、自分でもなんとか立てていたし、逆にもっと栄養のある方がいいのかもしれない。


やっぱ主食は米かな。雑炊とか?いや、うどんとかの方がさらっと食べられるかな?


私はご飯について考えながらゆっくり立ち上がり、部屋の外に出ようとドアに向かう。


すると、少し前を飛んでいたレアが私に背を向けたまま、ボソッと呟く。


「……そ、その…。私もリリィがお友達でよかった……」


だんだん聞こえなくなってしまうくらい小さな声。でも、私の耳にはしっかりと届いた。


「んふふ!嬉しい!」


私の言葉にレアがバッと私の方を振り返る。レアの両手は、恥ずかしさを抑えるために自分のドレスをしっかり握りしめ、ぱっちりとした透き通るような琥珀色の瞳は涙で少し潤んでいた。


そして、レアは湯気が出そうなほど顔を真っ赤にして、さっきとは対照的に大きな声を出す。


「この話はもうおしまいっ!ほらっ!ご飯、作るんでしょう?手伝ってあげるから、さっさと行きましょう!」


そう言い残し、先に行ってしまうレアの後ろ姿を私はじっと眺めた。






ツンデレか……。しかも、死ぬほど可愛い…。



おっと…危ない。



私は思わず涎が垂れそうになり、口元をそっと拭う。


私はレアの後をスキップしながら追いかけた。






…別に私は変態じゃない。絶対に…。



多分。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る