第三十六話☆花指輪
自分の部屋に戻り、少女に手渡したワンピースと全く同じものをぼんやり眺める。
アレンジしようと思ったんだけど…やっぱ白一色って寂しいよね。染色ってどうやるんだっけ?
学校の授業で藍染について習った気がするが、記憶が全然無い。
しっかり授業聞いていれば良かった…。
まぁ、異世界転生されるとか予想できないよね。仕方がない。
「まぁ、お昼ご飯が先だね!レア、一緒に作ろう!……何してるの?」
机の端っこに座り込み、何やら真剣に作業をしているレアに話しかける。
「あら?もうお昼?早いのね。それより、見て頂戴!」
レアの両手の中には小さな草で作られた指輪が。大きめの白色のシロツメクサが華やかに飾り付けられている。
「か…可愛い!!」
花指輪が可愛いのはもちろんだけど、レアの大きさからしたら私のサイズの指輪はかなり大きいはずだ。
その小さな両手で一生懸命作ってる姿を見たかった…!
はっ…!こんな時のために写真を撮れる魔法とかないの?!…ん?カメラを作った方がいいのかな?作り方が全然分かんない…!!!もっと勉強していれば良かった!!
「…だ、大丈夫?すごい顔よ?…まぁ、いいわ。あげるわ、この花指輪!」
「えっ!?いいのっ!?嬉しい!」
明らかにサイズが大きかったから私にくれるのかな?って思ってたけど、本当にくれるとは…!
「ま、まぁ、かなり上手くできたもの。自信作よ!」
レアがちょっと照れたようにそっぽを向いてしまう。
そんな様子を見て、私はもっと嬉しくなる。自分の心臓の音がよく聞こえるほどに。
「大切にするね!」
レアからそっと花指輪を受け取り、どの指に付けようか迷う。
…右手の小指にしようかな。お守りって意味があったはずだし。この指輪は何故だか私を守ってくれる気がする。
私は壊さないように気をつけながら右手の小指に指輪をつける。
でも、お花で作った物だから、いつかは萎れちゃうんだろうな。あ!!保存魔法をかければいいのか!えっと…空間魔法でいいのかな…。
シュルシュル
なんて考えていると、突然、音を立てながら指輪が1人でに動き出した。私の小指の周りをゆっくりと回りながら指輪の形が変化していく。
瞬く間に、銀色の金属製のように見える指輪に変化した。その指輪の真ん中には綺麗なコスモスの花の形がデザインされている。コスモスの花の中心部分には緑色のキラキラと輝く宝石のようなものが。
「えっ…?え…?」
戸惑い、レアの方を見ると、レアはふんわり笑っていた。
「リリィに緑の妖精の祝福をあげるわ。その指輪はその証拠。」
「え…?祝福?」
確か私のステータスには精霊の祝福があったはず。そっか。自分のステータスは自分しか見れないからレアは知らないのかも。
「あ、あの…。私、多分精霊の祝福を持ってるんだけど…。」
「…?えぇ、知っているわ。初めに会った時から知ってたわよ。」
「あれっ…」
あ、そういえば、名前をあげる時にレアが精霊の祝福が、って言ってた気がする…。
ん?祝福って重複できるの!?
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