閑話【ハロウィン☆2】
「妖精の・・雫?」
何それ?
私の不思議そうな表情を見て、レアがゆっくりと説明してくれる。
「妖精の世界で溢れてしまった私たちの力が凝縮された物なのよ。
普段は、妖精の世界を維持するために使われるのだけれど、全部使うわけではないし、余りが年々貯まっていくのよね。でも、放っておくのも危ないでしょう?だってすごい力が籠もっているもの。だから、族長がご褒美、て言いながら押しつけてくるのよ!こっちだって扱いに困るのに!」
レアが不満そうに頬をプクーと膨らませる。
レアがすごい力って言うくらいだ。よっぽどすごいんだろうな。でもお菓子じゃないの?
「それって食べれるの?」
「えぇ、もちろん。魔力が上がったり、使える魔法が増えるのよ。でも私たち妖精は強さに執着してないから、必要ないのよ。小腹が空いたときにたまに食べる感じね。」
「こ、小腹・・・。」
扱いが雑だな・・・。
「あ!レアにも今度あげようか?私もたくさん持っているのよ!」
「え!リリィは勝ったことがあるの?」
レアはさっきまでの上機嫌な顔から一転、急にムスー、と不機嫌な顔になる。
「・・・・。残念ながら、負けちゃうのよ。前回は惜しいところまで行ったのだけれど、一時的に手を組んでいた子に名前をいきなり呼ばれて振り返ったら、もう一人の子にカボチャを投げられて・・・、捕まったのよ。」
やり方が、え、えげつない・・・。
「じゃあ、どうしてレアが妖精の雫を持っているの?」
「あぁ、族長にたまにお仕事を頼まれるんだけれどそれが達成できたらたくさん貰えるのよ。まぁ、すれ違う度に貰えるんだけど。」
何それ!?近所の飴ちゃん配ってるおばさんじゃん・・・!
「??タマネギは?使うの?」
「あぁ、タマネギは細かくみじん切りにして捕まった人がいるカボチャの周りにたくさん振りまくのよ!あれ、とっても目が痛くて鼻がツンとして最悪なのよね。」
「うわ・・・。」
新手のいじめじゃん!!妖精界が恐ろしく見えてきた・・。
「なんと言ってもあの顔よ!!騙されちゃったわね?って言ってニヤニヤしながら私のカボチャの周りにタマネギを振りまくのよ。憎ったらしい・・・!」
「うん・・・。」
レアが拳を握りしめながら怒りに堪える。
「でも、私に集中しすぎて違う子からカボチャに入れられた時は見物だったわ!!あの呆然とした顔!!タマネギをかけられて涙目になってる顔!!私も涙が止まらない目を死ぬ気で開けて高笑いしてやったわ!!・・・まぁ、声は掠れちゃって出なかったけど・・。ぐふふふ・・・。」
助けて!!レアさんが黒い!!黒レアさんです!!わ、話題を変えなければ!
「あ、あれ?でも今日がその日なんだよね?行かなくていいの?」
「あー、いいのよ!今はリリィと一緒にいる方が楽しいもの!」
嘘です。レアは天使でした。私には輝いて見えます。眩しい・・・!
「私のレアと一緒にいるのが楽しいよ!!」
「あら、嬉しいわね。」
私は今・・・幸せです・・・!
異世界、万歳!!
「ところで、それはなんて言うお祭りなの?」
「ハロウィンよ!!!!来年は一緒に参加しましょうね!!きっと楽しいわ!!」
レアがこれ以上無いほどキラキラとした目を向ける。
私はすべての思考をいったん止めて、ウン・・・。とだけ力なく答えた。
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