第三十三話☆女の子



ど、どうしたんだろう…


謎の少女は目が覚めてから表情がコロコロ変わる。私を見て驚いたと思ったら、レアを見て、動きがピタッと止まって、最後には座り込んでしまった。


何日も眠ってたから体をゆっくり起こしてあげるところからかな、と思ってたけど、よろけてしまったものの自分で立ち上がり、かなり驚いた。


やっぱり異世界は違うなぁ。


そして驚くことに、少女の瞳は片方が翡翠のような淡い緑色。そしてもう片方が海のような深い青色だった。


…これが俗に言うオッドアイってやつか。初めて見たな。


ちなみに少女の体は最初泥だらけでとても汚れていたため、クリーンの魔法で綺麗にしてある。


本当は服も着替えさせてあげようと思ったのだが、知らない人に勝手に着替えさせられたら嫌かな、と思いやめておいた。


起き上がってすぐの少女の様子から、この子がかなり警戒心の強い子だとすぐに分かるので、結果的に服を勝手に変えなくて良かったのかもしれない。


私はゆっくり立ち上がり、部屋の中にあるクローゼットを開けた。


女の子が私の動きをジッと目で追っている。


ふふふ。そんな見られても何にも出てこないよ。だってクローゼットの中には服が一枚しか入ってないもの。


私は少女の方を一瞬見て、目が合うとフッと笑う。


それにしても、可愛い子だなぁ。


少女はビクッと驚き、慌てて目を逸らした。


私はハンガーにかかった真っ白のワンピースと、カラーボックスのような形をした木製の箱の中から下着を取り出し、少女に手渡した。


「はい、とりあえず着替えたら?」


「…………。」


え、なんかこの子フリーズしてるんだけど…。あ、緊張してるのかな。


「えっと…。私たちは部屋の外にいるから、ちょっとゆっくりしてていいよ。魔法は使える?」


「……ぅん。」


「じゃあ、ここにコップを置いとくから水を入れて飲んでね。」


私はそう言って部屋を後にした。







「ギリギリ服が間に合ってよかったぁ〜!」


「リリィ、本当にあの魔法は私以外の前で使ったらダメだからね?!」


「わ、分かった…!」


私は自分の部屋に戻り、目の前にある大量の布を順番に畳み、片付けていく。


「次はお布団かな〜」


この辺りはまるで春の日のようにぽかぽかと暖かい。


この世界には四季ってあるのかな?もしあったらご飯のこととかちゃんと考えないと…!


そう思い、レアに聞いてみると、場所によっては変わるところもあるが、基本はずっと暖かいままらしい。過ごしやすい気温でありがたい…!


薄い掛け布団をまず作り、ベットの上にマットレスのようなものも乗せたいが、流石に作り方が分からないため、代わりに敷き布団を作りたい。


「よぉし!今日はお布団作りだ!レアも手伝ってくれる?」


「もちろんよっ!」

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