第三十二話☆△目覚め




いや、でもメス同士って言う場合もあるかもしれない…。


んー、でも見た目が異なるってことはやっぱり性別も違うはず。


え、オスなの?


私はそっと目の前の牛のお腹のあたりを見てみる。


おっと。立派なお乳がたくさんついてらっしゃる。


え、この世界では男性に胸があるの…?え、人も同じだったらどうしよう。そんな世界なのっ?!ここって。


ちょっと真下を見てみる。


そこには私の大切な大きめの双璧が並んでいた。


私だけが…この世界では女性で胸があったらどうしよう…。


せっかくこの世界に来て、容姿が可愛くなってつるペタから卒業したのに…。


なんかちょっと悲しくなってきた。


「じゃあ、早速探してくるね!」


『ええ、待ってるわぁ。』


分からないことはいつまで考えても分からない。私は全ての思考をやめ、何も考えないことにした。


私とレアは今日は一旦家に帰って、明日、牛の番つがいを見つけに行くことにした。





****






ここは…どこだろう…



あたしは


どうなったんだろう





おかあさん  は


もういないのかな



まえは たのしかったなぁ…




ふかい… ふかい…


しずんでいく


うみのなかに いるみたい




あぁ そうだ


でも あたし、生きなきゃ



起きなきゃ!





****


少女の意識がだんだん浮上していく。


微かに誰かの話し声が聞こえた。


「……………」


「……ない?」


「そんなはずないわよ。」


「え、でも、ほら。瞼がピクピクしてるもの。実はもう起きてるんじゃ無い?」


2人の女性の声がする。丁寧な話し方だな。

痛いくらいの強い視線を感じる。


なんか…目、開けづらい。

いつ目を開ければ良いんだろう。


少女はゆっくりと瞼を開ける。


ま、眩しい…!


一度は目を開けたものの、眩しそうに目を顰め、また閉じてしまった。


「あ、やっぱり起きた!ねぇ、あなた、大丈夫?ずっと眠ってたんだよ?」


もう一度目を開けると、視界にはあたしの顔を覗き込んでる黒髪の人がいた。


人族っ!?


「……っ!!!」


思わず目を見開き、勢いよく立ち上がったが、思うように体に力が入らず、体がよろけてしまう。


自分の状況を確認するため、周りを見渡せば助けてもらったことが容易に分かるはずだが、少女にそんな余裕は無かった。


ひ、人だっ!人…!!


それから…






妖精……?


少女は自分の目を疑う。


妖精族、という存在は知っていたが、童話に出てくる、お伽噺の存在だと考えていたのだ。


急に周りが見えてきた。今私が立ち上がろうとした場所は……



葉っぱがいくつも積み重ねられている。ベットなのだろうか。


家…だろうか。とても立派な部屋の中。


すぐ下には私が勢いよく立ち上がったため床に落とされてしまった手拭いが。


そして、すぐ目の前に椅子に座り、心配そうにこちらを見つめている黒髪の人。





あ…あたし…助かったのかな……


少女は体の力が抜け、くたっと座り込んだ。

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