第二十七話♫レアの気分




約束を…守った?


いいえ、私は守れていないわ。だってエリーはもういないもの。エリーとずっと一緒にいるって言ったのに。


今までずっと生きてきて、色々な人の死を見てきた。同族も何人も看取ってるし、仲の良くなった違う種族はほとんど私より先に死んでしまう。でも、その時はなんとも思わなかったのに、今は心にポッカリと穴が空いた感覚。


この感情を何て言うの?


私たちは時間の感覚が違うの?


そもそも時間の流れが違う?


妖精の木の枝なんて必要なかった?






分からない。


私は人間の行動を見たら何か分かるのかな、と思い人間の街をずっと観察してたけど、段々何について悩んでいたのか分からなくなってきた。



つまんなーい。もう帰ろう。



リリィと一緒にいるのは結構楽しい。刺激を感じる。私が生きてるって事を確認できた。


リリィは私の知らない違う世界から来た、境界の外人はずれびとだって分かって、もっと嬉しくなった。


でも、妖精の森の端に誰かが入ってくる気配を感じた。上位の妖精にとって、この森は自分の目と同じ役割を果たす。


あら…?人間の子供?じゃないわね。少し耳が尖っているもの。


別にその少女がどうなろうと私は構わなかったけれど、その少女を見たリリィがどんな反応をするのか、どんな行動をするのかが気になった。


精霊の祝福を受けた心優しいリリィならきっと助けるだろうと思ったが、今の私たちの生活はお世辞にも余裕があるとは言えないし、こんな森の奥に来るなら、何かしらの事情があるはずだ。


だから、少女を見捨ててもそれはそれで合理的な判断をするリリィもまた面白い、と思っていた。


てもリリィは少女を見るや否やすぐに


「とりあえず、部屋に入れよう!」


と言った。


やっぱりリリィは優しいのね。


リリィが一生懸命考えて、誰かを助けようとする姿を見てると、私まで少し誇らしくなって、心の中が暖かくなってきた。


でも、懸命に看病をする様子のリリィを見てると、段々心が少しザワつく。さっきまで楽しかったのに、今は全然楽しくない。


あら…?この感情は何?


もっと知りたい。まだ、目の前に知らない事がある。


だから私はリリィがいない間に少女の上を妖精の光が落ちるように沢山飛んだ。


毎朝つけている私の妖精の光は意識をすれば軽い精神魔法を付与する事ができる。


軽い、と言ってももうすでに意識のない人にとってはかなり効果があるはず。





まだ、眠っていて頂戴?まだリリィと2人で沢山楽しみたいのよ。

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