第十四話☆天日干し
「よぉし、できた…!」
体感時間だが、1時間ほどでタオルくらいの大きさの布が完成した。
同じ体勢だったから、少し肩が凝っちゃったなぁ。
「ん〜!!」
ゆっくりと伸びをする。
服一着作るのも大変そうだなぁ。本当に今着てるワンピースが汚れないの助かるな。どうしてかは分からないけど…。
レアにも聞いてみたけど、分からないって言われた。
「余裕ができれば、染色したり、模様とかつけて可愛くしたいな」
一人で呟きながら、木製のコップに魔法で水を入れ、グイッと飲み干す。
「夕飯つくらないと。まぁ、料理っていう料理もしないけど。」
外を見ると、日が落ち始めていた。
私はふと、昼間に庭に干しておいた肉の事を思い出す。
「そういえば、天日干しってどのくらい時間かかるんだろう…。ちょっと様子を確認しようかな。」
私はゆっくり家の外に出る。
天日干しの肉は、レアに言われた通りに庭の隅で風通しが良く、影となる場所に置いておいた。
保存食にもなり、臭みも取れるため、この世界では特に天日干しはとても重宝されるらしい。
もちろん私には、調味料も何もないので、香り付けにハーブだけ擦り付けておいた。
「うぅ〜ん。ちょっと色が変わってる気もするけど…どうなんだろう…」
ただの女子高生だった私には天日干しなど、したこともなく、正しいやり方が分からない。
「レアに聞いてみよっと。ってかレア何してるんだろう…?」
私が布を作り始めた頃に、庭に飛び出して行ったレアの姿が見えない。
庭の外に出たんだな…。それにしても、ちょっと帰るの遅くない…?何かあったのかな?
私が少し不安になってきた時、遠くから声がした。
「あぁ〜!!リリィ!庭に出てたのね!見てよこの子!拾ったの!」
ん…?拾った…?こんな森の中で?
レアは宙にプカプカ浮いた女の子の手を引いていた。
魔法で浮かせているのかな?
ってか誰…?
全く動かないし、ぐったりしてるから気絶してるのか、寝てるのかな…?
近づいてみると、その女の子はあちこちに怪我をしていた。服も随分擦り切れている。
何か事情があるんだろうけど、目の前で倒れている子を放っておく事はできない。
「とりあえず、部屋に入れよう!」
レアは私の返事を聞き、ニパッと花が咲くように笑った。
「あら!リリィならそういうと思ってたわ!」
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