第十三話☆ほのぼの


「おいしぃ…!」


私は目の前に置かれたご飯を堪能していた。さっき初めて自分で狩りをして取った肉と、きのことピーマンを炒めたものである。


驚くことに、世界は違っても、同じような食材が多くあった。


ちなみに、動物も同じような種類がいるらしい。鶏とか、牛とか…


レアは植物は出せるが、動物は出せないため、自分で探しに行くしかない。


キリとニナは喋ったりするけど、植物に分類されるらしい。


落ち着いたら、色々飼ってみたいなぁ…。あわよくば、卵とか、牛乳が欲しい。


卵、牛乳が手に入れば、料理のレパートリーが格段に上がる。


じゃあ、何で昨日食べたフルーツは全然見たことがなかったの??っと思ったら、


レアが私が楽しめるように、カラフルで珍しいフルーツを中心に出してくれていたらしい。


レアは優しいなぁ…


もちろん、今日の料理は調味料などが無いため、味付けはしていない。


普通に食べたら、全く味のしない料理は美味しくないものだが、今はどんな料理でも美味しく感じる。


ちなみに、食べきれなかった肉は外に干してある。


フライパン問題は呆気なく解決した。


木製の鍋を作り(レアが)、火炎耐性の魔法ををエンチャントしたのだ。


「あれ?そういえばキリとニナは?」


家にいるはずの綿花達が見当たらず、少し不安になり、レアに聞いてみる。


「あぁ、あの子達なら、日の当たる場所でのんびりしてると思うけれど…」


「日当たり…?そっか。植物だもんね。」


私はご飯を食べ終え、のんびりと部屋を歩き、キリとニナを探す。


レアは先程、少し庭の様子を見てくる!っと言って家を飛び出て行った。


「あ…見つけた!」


綿花の二人は2階の窓際で並んで立っていた。窓は閉められているはずなのに、風に靡くように頭上の綿花が揺れている。


キャハ   ニャハハ


こちらに気づき、首をこてんっと傾げる。


「か、可愛い…」


ゆっくり頭上の綿花に触れてみると、暖かく、太陽の匂いがした。


下を見ると、4本ほど束となって綿花が落ちていた。


「ありがたく、貰うね!」


私は早速一階に降りて、レアが作っておいた手織り機を使う。


今日は、この作業をしようかな。


ここは、携帯もパソコンも電気もない。生まれてから、当たり前のよう身の回りにあったものがここには全くない。


はっきり言って何をするにも不便しかない。自分は恵まれた環境にいたんだな、っと肌で感じた。


毎日の生活のために、狩りを行い、自分で服を作る。きっと、毎日が忙しく、大変になるだろう。


…でも、これからのことを考えると、ワクワクが止まらない。




私ののんびりとした異世界生活はまだ始まったばかりだ。

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