第十一話☆魔法の練習


「えいっ!えいっ!あ、当たれぇぇぇええ!!」


私は家の近くの森の中で、盛大に叫びながら、狩りを行っていた。


狙いは木に乗って羽休めをしていた、ちょっとカラフルな鳥。


「もっとちゃんと頑張って当てるのよっっ!もっと…ギューってしてバンッ!!よ!」


あぁ‥‥。ちょっとレアが何を言っているのか分からない。


魔法はきちんと指先から出るものの、すぐに移動してしまう動物にはなかなか当たらない。


そして、今自分が何の魔法を使っているのか分からない。指先から謎の空気砲が出ているが、技名とかはいらないのだろうか…。


「ねぇ、技名とか言わなくていいの?ほら、“シールド”とか」


「あぁ、それは慣れてくると段々言わなくてもできるようになるのよ。人によって個人差があるけれど、リリィは飲み込みが早いのね。


今使ってる魔法は一番初心者向けの攻撃魔法、“エアバレット”よ。」


「…へぇ〜、そうなんだ。」


エアバレットなんて魔法、一回も使ってないんですけど。慣れ、とは…?


おや、おや…?これは異世界人ならではのチート、と言うやつでは?


思わず顔がニヤニヤしてしまう。よっぽど顔の筋肉が緩んでしまったのか、私の顔を見たレアが顔を顰める。


「何、ニヤニヤしてるのよ。その顔を見た動物が逃げてしまうわ。」


「な…!し、失礼な!」


ちょっとレアは毒舌なのかな…?まぁ、打ち解けられたと思えば嬉しいものだ。


私は先程、ぐっすり寝ていたレアを起こし、これからすることについて助言を求めた。すると、


ーーなぁんだ、そんな事!最初は狩りにしなさい!私が教えてあげるわ。


全く機嫌が悪くなるどころか自分から教えを買って出てくれた。


て、天使か…。優しすぎる。


と思ったものの、いざ教えてもらうと、


ーー魔法でキュッとして、ボン!…ね?分かった?


レアは教えるのが少し…いやかなり下手みたいだった。今まで妖精についてとか色々教えてもらってたけど、魔法は感覚で行うから教えるのが難しいのかな…?


人差し指の先から魔法が出ることをイメージし、放つ。


レアによると、


この世界では全員が魔力を持っているが、それを使いこなせるかどうかは本人の種族、遺伝、そして素質に依存する。


一番基本的な魔法は生活魔法と5級魔法だ。数字が少なくなるにつれて魔力消費量と難易度が高くなる。魔法の練度、努力そして本人の素質で使える魔法の難易度や属性にも制限がある。1級魔法になると扱える人がほとんど存在しないそうだ。そして、1級の上の魔法も一応存在するが、どれもが伝説級らしい。


「…ステータスオープン」


静かに唱えると目の前に透明な板が現れる。




名前:リリィ・ガーネット   (今泉 リリ)

レベル:1

種族:魔女

年齢:18

性別:女

魔力量:1564/1670

生命力:206/377

魔法:生活魔法

   5級魔法

   4級魔法


祝福:精霊の祝福

称号:女神の加護・境界の外人

眷属:緑の妖精

   綿花×2




なんか前見たときと随分変わってる…。項目がいくつも増えてるんですけど。


まぁ…。魔法だもんね。全部が不思議でできてるようなもんだし。段々驚かなくなってきた…。


立ち止まり、自分のステータスと睨めっこしていた私に気づき、レアがゆっくり近づく。


「あぁ、ステータス見てたのね?リリィは魔法の筋もいいし、威力もあるからなかなかいいステータスしてるんじゃないの?」


「レアには私のステータス見えないの?」


「えぇ。それは本人にしか見えないわ。一応相手のを盗み見る魔法はあるけど、あまり使わないわ。自分と相手のレベルの差で見れるものに限りがあるのよ。何より、相手のを勝手に見るのは失礼だもの。」


「へぇ。ちなみにレアってレベルいくつ?」


「あ、聞いて驚きなさい!!一応妖精の中のトップの部類だからね!96よ!!」


「…わぁああ!!すごい!」


私よりすごいのは確かだけど、平均がどのくらいか分からないからなぁ…。でも、きっと高いんだろうな。


レアがパンッと手を叩く。


「さぁ!続きよ!ちゃんと狙ってバンッてやるの!」

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