第十話☆これからの目標



「ま、眩しい…」


窓から差し込む光で目が覚める。


目と鼻の先でレアも丸くなってスヤスヤと寝ていた。


私はレアを起こさないようにそっと起き上がり、洗面所に向かう。

洗面台には鏡が入るであろう枠組みがあった。


そっか。鏡も植物じゃないよね。


見せかけの立派な蛇口はあるが、水が出ないため魔法を使う。一応、排水口は外まで通じているらしい。


「…ウォーター。」


両手を受け皿にし、水を貯める。そこで私は初めて水面に映る自分の顔を見た。


肩のあたりまで伸びた艶のある真っ黒な髪。まん丸とした黒い瞳。通った鼻筋に小さい唇。陶器のような白い肌。


あれ…?私、美少女なのでは?


前の世界の私は確かに黒目黒髪だったが、こんなに美少女では無かった。今の顔は、日本人とは言い難い顔だ。


ちょっと気になり、下を見てみる。


前より大きめの双璧が並んでいる。


おぅ…。デカい。最高かよ。くびれもちゃんとある。

スタイルはかなりいい方だな。絶対に維持しなければ…!


今更だが私は膝丈の真っ白でシンプルなワンピースを着ていた。森の中を歩いたはずなのに汚れが見当たらない。


理由は分からないが、今は替えの服が無いのでありがたい。


綿花の数はかなり限られている。最初に、替えの下着を作って、服を作って、タオルを作って…。


あれ、布団がどんどん遠のいていく。私はいつまで葉っぱの上で寝なければならないのだろうか。


身長はこの世界での平均身長が全くわからないが、前と視線の高さが同じな気がする。

比べる対象がないから、感覚だけど…前と同じなら多分、153cmくらい…?


私は両手に貯めた水で顔を洗う。


魔法で出した水。違う顔。目の前には鏡が入るであろう枠。そして、見かけは完璧な蛇口。


あぁ、私異世界に来たんだな。


私はこのまま森の奥でスローライフを送りたい。生活がしっかりできるようになれば街とかにも行ってみたい。よし、目標が見えてきた…!


「まずは、サラダとフルーツだけじゃ栄養面で心配だから川を探してお魚取らなきゃ。」


いや、釣り竿が無いぞ。釣り竿の糸ってどうやって作るんだろう…。


あ、罠とか作る?


…罠ってどうやって作るんだろう。


なんか草を編んで作るイメージがあるけど、編み方とか知らないし。


「先に動物を狩った方がいいのかな?」


あれ、私解体のやり方知らない。


ってか、ナイフとか無いんですけど。魔法でどうにかなるのかな。


「な、何から手を付ければいいの…?」


あ、キャパオーバーってやつだ。


……。


「レアぁぁぁああああ!」


私は全力で気持ちよさそうに寝ている友達を叩き起こしに走った。

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