第九話☆ホッと一息


私は今、一階のリビングで沢山のフルーツに囲まれている。


お腹すいた…とか言ったら、レアが沢山のフルーツを出してくれた。話を聞いてみれば、植物であれば、大体何でも出せるらしい。


…あれ?緑の妖精、この森の中じゃ最強じゃない?


「んん〜!!!美味しい!!!」


見たことのないほどカラフルで新しい食感のフルーツばかり!しかも、美味しい!!!


「ふふん!さぁ、どんどんお食べ!野菜とか、きのことかも出せるわよ。」


庭に畑のような場所もあったが、植物を育てる必要が無いのでは…?


「裏手のある畑ってどうして作ったの?」


「…?育てるって楽しくない?」


「確かに…!育ててみたい!!」


私は生粋のインドア派の人だったので小学校の時に朝顔と稲を育てた記憶しかない。


何かを育てる楽しみを知ってみたい…!


しかも、レアがこんなに私のことを考えてくれてたなんて…。


私のキラキラした目を見て、レアはニコッと笑う。


「まぁ、私が近くにいるだけで、植物の成長速度がかなり上がるから、色々育てられてもっと楽しいと思うわ!」


「すごい!!レアってばすごいっ!!」


「ふふん!ふふん!そうでしょう??」


レアがもう一度ニコッと笑うと部屋に咲いていた花の数が増えていることに気づいた。


パッ


今も新たな花が満開になった。


どんどん華やかになっていく部屋を見て、私もまた嬉しくなる。


お腹も膨れてきて、ホッと一息つくと、途端に眠くなってきた。瞼が重く感じる…。


「あら…?眠いの?ほらっ」


レアが指を鳴らすとリビングに大きな葉っぱが重なって何枚か出てきた。


今はまだ布団がないからレアの気遣いは本当に嬉しい。


「…ありがとう…」


布団の代わりに大きな葉っぱを出してくれたことに対してか、安心して眠れる家を建ててくれたことに対してか、自分の味方になってくれたことに対してか…


自分でも分からないほど、色々な意味の詰まった感謝の気持ちだった。


もう無理…眠い…


私は葉っぱの上に丸くなり、ゆっくり目を閉じる。するとすぐに、意識が遠のいていった。





外はすっかり暗くなっていた。









****


はぁ…はぁ…


に、逃げなきゃ…


もっともっと遠くへ…!


少女は足を止めずに走り続ける。


髪は乱れ、洋服が草木に当たり、ボロボロになっていっても。


森の中心部に向かって、走り続ける…

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