第四話☆境界の外人
「あら…?あらら?リリィはそんな事も知らないの??不思議ねぇ…妖精の名付けはご主人さまと認めた人にしてもらうものなのよ」
「え…ご主人さまとかじゃなくて、あなたとお、お友達になりたい…!」
「あら、嬉しいわね。安心なさい。まぁ、あなたの命令には従うけれど、その他は友達みたいなものよ。だけど、リリィってちょっと変わっているのね。」
「…変わってる?」
私が異世界人だと気づいた…?まぁ、この世界の常識とか全く分からないから1から全部教えてもらうためにレアには伝えておいたほうがいいのかな。
私が少し考え込む様子をレアはジッと見つめた。
レアは私の顔に自分の顔をグッと近づけて、覗き込んでくる。
レアの身長はちょうど私の掌くらい。そんな彼女が私の目と鼻の先にいる。
わぁお、可愛い顔、いや綺麗な顔だな。今私が女の子らしからぬ声を上げて、目一杯口を開けて息を吸い込めば、私の口の中に入ってしまうんじゃないだろうか…
なんてことを頭で考えていると、レアがポツリ、と呟くように尋ねてきた。
「リリィ、って境界の外人《はずれびと》?」
「…なにそれ…」
「う〜ん。私も詳しくは知らないのだけど、この世にはいくつか世界が存在するの。でも、その世界と世界の間は決して交わらないように遠く離れているの。でも、たまーにいるらしいのよね。世界の境界線を通り抜けて来る人が。」
んーと。それってまさに私の考えてた異世界転移ってやつじゃないですか。
私はレアの目をはっきりと見つめ、堂々と答える。
「そう!それ!」
レアは私の返事に一瞬驚いたような反応をした後、納得したように頷いた。
「なるほどね。だから私を見ても驚かなかったのね。」
「え、普通は驚くの?」
「もっちろんよ!!滅多にお目にかかれない…見たくても見れないって方が正しいのかしら?自分で言うのもおかしな話だけど、私達妖精は気にいった相手にしか姿を見せない気分屋なのよ。」
確かに、ゲームとかで出てくる妖精もそんな感じだったな。姿が見えるようになる薬とかを勝手に自分の瞼に塗り、妖精の怒りを買う、ていう話も聞いたことがあるし。
そこで、私はある疑問が湧いてきた。
でもなんで私には姿を見せてくれたんだろう…?
「ねぇ、じゃあ私のことを気に入ってくれたからレアの姿が見えたの?」
「あああああああ!!思い出した!私リリィに言いたいことがあったのよ!!」
「わぁ!びっくりした!な、何…?」
私の目と鼻の先に小さな羽を忙しなく動かし、飛んでいたレアが突然甲高い声を上げ、私は思わず後ずさりした。
「木の切り方がなってないのよ!!!知らなかったとはいえ、見過ごせないわ!」
「切り方…?」
確かに私の木の切り方は、切る、というより、無理やり切り倒す、という表現のほうが近い。
そして、木の倒れる方向なんて気にしていなかったため、四方八方に木が無残に沈んでいる。
「なんかまずかった…?」
「あほーー!!!」
この世界に来て初めて受けた攻撃は仲間になったはずの友達からの顔面チョップだった。
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