第六話 拡張?


 スキル画面の右上にあるカウントダウンを眺めるしか、やることがなくなった。

 ポイントを利用して、地球から紅茶とジャムと砂糖と牛乳を、交換お取り寄せした。カップは、この世界にも有るらしいが、まだ交換が出来ない。しょうがないので、高く付いてしまうが、地球から取り寄せる。


 100均で十分なのだが、見栄で、ウェッジウッドを探したら出てきた。躊躇するポイントだ。割れてしまったら・・・。


 ダメだ。100均を探して、食器類と日用品で必要になりそうな物を交換する。

 料理は、するつもりは無いが、冷蔵庫や電子レンジは欲しい。電気はどうなっている?


 先代の日記を読んでも、”電気”に関する項目は存在しない。


 電気が無いと、いろいろ不便だぞ?

 現代日本のほとんど全ての物が、電気を必要としている。


”ポクポク・・・。チン!”


 そうだ!発電機を取り寄せて使えば・・・。ダメだ、燃料が必要になる。燃料は、可燃性の物がほとんどだ。ソーラパネルで、家電を動かそう.・・・。でも、それほどのソーラパネルが必要になるのか見当がつかない。


 ”本”を検索する。罠の項目だ。昼間だけの部屋を作成して、部屋の気温を上げるという罠があるらしい。追加された説明では、ハズレ罠となっている。昼間のような明るさで気温が上がるようだが、部屋を広くしなければ意味がなく、部屋を広くすると、気温が上がるまでに時間が掛かってしまう。不遇な罠だと説明されていた。だが、俺が欲しいのは”光”であり、明るさで、熱では必要ない。


 発電機にしろ、ソーラパネルにしろ、安定供給は難しいよな?

 それに、発電機は音が気になる。ソーラパネルは、熱が気になる。マスタールームへの設置は考えたくない。


 そうだ!

 罠で出来ないか?


 2つの穴が存在していて、そこに差し込むと電気が流れる罠だ。面倒なので、日本のコンセントと”同じ仕組み”と、書いて、罠の申請を行った。


 待つこと、10分。


”Approval”


 承認された。罠を非公開にしている。公開しても、使い途が少ないだろう。


 罠は、マスタールームに設置は無理なルールではあるが、キッチンには設置ができる。同じように、隣に作る部屋なら問題はない。扉を閉めなければならないルールはない。扉の形状も選ぶことが出来るので、下に隙間を作る。延長ケーブルを使って、マスタールームにも家電を配置できるようになった。


 なんだかんだで、3億ポイントくらい使ってしまったが後悔はまったくない。

 さすがに、ネットワークという罠は却下されてしまった。地球に繋がる部分が、却下の理由として明記されている。接続する時代の特定が不可能だと言うのが理由らしい。時代を、2030年と設定しても却下されたので、地球とネットワークで繋ぐのは諦めた。


 家庭内LANの設置は行った。日本と繋ぐネットは却下されたが、施設内への無線/有線のネット罠は許可された。何が罠になるのか、説明が出来ないが、監視用の罠だと説明を書いたら、許可された。


 ゲームに困らない程度のパソコンを交換した。監視罠も申請した。これは、すぐに許可された。ネットワーク側の監視カメラを想定した。

 監視カメラを設置した。四隅にある塔の天辺と魔王城(仮称)の各部屋と天守(?)に設置した。それを、大量に設置したディスプレイに表示させる。


 水罠とガス罠を申請した。ガス罠は、部屋にガスを充満させる罠として存在していたが、俺が必要として物ではなかったので、新たに申請を行った。


”罠が承認されました”


 電気とガスと水道が揃ったことになる。

 今回は、日本語で表示された。承認のプロセスが違うのだろうか?


 水罠は、承認されたあとで、名前変更依頼で、”水道罠”として、ガス罠も”ガス管罠”とした。水道罠は、浴場に設置した。温度と水質を、選択できるようにした罠なので、温泉のようにお湯をかけ流しにした。


 大量にポイントを使ってしまったが、後悔はまったくない。

 安全に快適な暮らしができる方が大事だ。


 スキル画面をディスプレイに表示して、パソコンで操作が出来ないかと思って、スキル画面に問い合わせた。監視用に使っているパソコンでは出来なくて、スマホなら可能だった。ポイントは必要としなかったが、設定が細かくて面倒に感じて、途中で辞めそうになった。でも、”本”に脅されて、設定を行った。


 スキル画面が、スキルアプリに変わったが、スキル画面は継続して利用できる。スキル画面の廉価版がスキルアプリだ。


 スキルアプリにも、カウントダウンが表示されている。

 カウントダウンは、10,000を割り込んでいる。3時間を切った計算(パソコンの電卓を使用)だ。


 罠の維持には、ポイントは必要ない。

 そうか、電気もガスも水道も、”罠”だ。維持費が必要ない。


 もう少しだけ、ポイントを使って、要塞になるように設定を進めよう。


 残ポイントは、15億。最初から比べたら、少なくなってきている。

 食事は、1回で10,000ポイント程度。3食と考えると、一日の生活費が、30,000ポイントだ。1億ポイントで10年。5億ポイント程度は残そう。


 スキル画面で、魔王城(仮称)を俯瞰して見る。

 外周が直線なのが気になる。中央部分に、攻城兵器で攻められたら、抜けられてしまわないか?


 そうだ!

 五稜郭!


 エラー表示にはなっているが、現在の外壁の外側に、五稜郭のように突起を持った外壁を設置する。先代たちの情報から、5メートル程度の外壁では飛び越えられている。10メートルの外壁を設置する。先端部分には、15メートルの塔を設置する。壁の厚さも、先代たちの情報から、2メートルの土と岩で作る壁にした。外壁の周りには、堀の代わりになる。落とし穴を設置した。掘るよりも、罠の方が、設置にかかるコストが安かった。罠の底に、水罠を設置する。水の温度を、90度に設定した。落とし穴が発動した瞬間に、90度のお湯が出続ける状態だ。外気温を考えると、湯気で何も見えない状況も考えられる。排水は罠の上部に設置した。罠の上部まで、90度のお湯で満たされることになる。外気温で冷えるが、元々は水堀の役割を持たせたかったので、丁度いい。


 全部を五角形ではなく、六芒星のような形にした。塔は、監視用に考えているが、弓矢を排出する罠を配置したい。ただ、弓矢やバリスタは、継続戦闘のときに必要になるポイントが大きい。本来なら、魔物を配置して、塔から攻撃させるほうが良いのだが・・・。


 罠を見ていると、魔法攻撃用の罠が存在している。

 ロマン罠だ。射程が長い物を優先的に見て、いくつかを配置する。ここで、今までのロマンとのシナジー効果が発揮された。

 ネットワークで、一部の罠が発動できると知った。これで、防衛時に、塔に配置した罠をマスタールームに居ながら発動できる。クールタイムもあるので、複数の属性を配置した。


 まだ設置は出来ない。

 五稜郭、改、六芒星は、領域外になってしまっている。


 六芒星が領域内に収まるように、領域を広げる。


 残りポイントを見ると、まだ8億ほど残っている。


 六芒星の周りをできるだけ領域に組み込む。侵略者が居た時に、罠の配置が出来る場所を作っておきたい。


 地図を大きく広げると、3キロほど離れた場所に、人が駐屯しているのが見えた。さそく侵略者が来たようだ。

 恐ろしいが落ち着いている。六芒星が突破されて、内壁が突破されるまでに、次の罠を配置すればいい。


 六芒星から、中に入る場所は、駐屯している場所から、離れた場所に変更した。

 内壁は、そこから反対方向にある壁に設定した。


 ポイントの残高が、6億になっている。

 魔物の交換を考えると、この当たりにしておこう。


 まずは、侵入者の行動を見て、監視して、能力を図ろう。ここまで作って、抵抗も出来ないで殺されてしまったら、”俺の能力では、生き残れなかった”と、諦めよう。死にたくないが、諦めるしか無いだろう。


 スキル画面の右上のカウントダウンは、3,600を切っている。

 あと、1時間もしないで、侵略者が攻めてくるだろう。移動距離を考えると、もう少しだけ余裕があるかもしれないが、俺が作った魔王城(仮称)に殺到するだろう。


 俺を殺すために・・・。

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