第4話 いない人

大晦日とかって、親戚一同とかで集まったりしますよね?

僕の家も毎年大晦日には、祖父の家に帰省していました。

祖父の家はG県の方にあるんですけど、良くも悪くも周りに畑ばかりで暇になるんですよね。当時はスマホも無かったので。

行っても祖父が出してくれるものはカルタとか花札とか、当時ですら古いと思うものばかりでした。


でも少しは楽しかったですよ。

うちは親戚が多い方なので、同世代の親戚も何人かいました。


それで大晦日の夜、夕飯を食べ終わった辺りですかね。

毎年その時間になると、親戚の伯父さんとかがいなくなるんですよ。


いや、どこかに手伝いに行くとかではなくって。

10人くらいですかね、家の裏の物置に行くんですよ。

しばらく経つと、伯父さん達が色々なキャラクターのお面を付けて家に戻ってくるんですよ。それで僕ら子供達を怖がらせてくるんですよ。

まぁ怖がらせてくるっていっても、キャラクターのお面なんで当時から別に怖くはなかったですね。

それでも自分より小さい子供達はそこそこ怖がってたりして。

しばらくすると伯父さん達がお面を外してネタばらし、って事を毎年やっていたんですよ。

大人達も子供達が退屈している事を知っていたんでしょうね。


それで、僕が小学3年生の時だったと思います。

いつも通り大晦日に祖父の実家に行き、夕食を食べ終わった頃、伯父さん達がいなくなっていたんですよ。

僕は、あぁいつものやつだな。なんて思っていました。


しばらくすると、がらっと玄関を開ける音がしました。

それで親戚が集まっている居間の襖が開いて、伯父さん達がお面を付けて怖がらせに来ました。

いつもなら、小さい子の泣き声とかすぐするはずなんですよ。


でも、しないんですよ。

それで代わりに笑い声が聞こえてきたんですよ。

というか、気がついたら自分以外みんな笑っているんですよ。

楽しそうに。

今までこんなことはありませんでした。

お面を付けている伯父さん達もどうやら笑っているようでした。


さっき伯父さん達はキャラクターのお面を付けているって言ったじゃないですか。

でも一人だけキャラクターのお面ではなくて、おかめのお面を付けている人がいたんですよ。

僕がそのことに気がついて、おかめのお面を付けている人を見たんです。

そうしたら、そのおかめのお面を付けている人と目が合ったんですよ。

お面をしているので顔は隠れているはずなのに、なぜか目が合っているとわかったんですよね。

その間も、みんなは笑い続けていました。

それで僕は聞いてみたんですよ。


このおかめのお面付けている人って誰? って。


笑い声が一斉に止みました。


僕はびっくりして、周りを見渡しました。

みんな僕の顔を見ていました。

そしてみんなおかめのお面を付けていました。


それで意識が遠くなって、気がついたら居間のこたつで目が覚めました。

起きた後はみんな元に戻っていて、おかめのお面も見なかったと言っていました。

これって夢だったんですかね。

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