第13話
結局、俺はウンディーネに押し負け、居候する許可を出した。
ウンディーネには、家賃代わりに水を出してもらう事になったため、水道代が浮くのは喜ばしい事だった。
「それにしても、主殿は入学式の次の日が休みだなんて……気楽でいいなぁ!」
「ミラ、ウンディーネが苦手だからって、何も現実逃避しなくてもいいんじゃないか?」
ソファに座り、ウンディーネから身体ごと背けて窓から外を向いているミラに、俺は呆れながらそう呼びかけると、俺の肩にポンッとウンディーネが手を置いた。
「仕方ないよ。ミラは私みたいな強力なライバルが同じ家に住む事に戦慄しているんだから」
「ライバル……?」
ウンディーネの言葉に首を傾げると、ミラが慌てたようにバッとこちらへと振り向き、ウンディーネに食って掛かった。
「なっ!?貴様、駄精霊如きが私のライバルだと!強敵だと!?片腹痛いわ!!痛すぎて捩れる程だ!!」
そう言い切ると、ミラはハァー…ハァー…と、肩で息をした。……こんなに激しいミラは少し珍しいな。過去の喋り方も少しだけ出てたし。
「何も間違ってない。私はミラが持ってないものを持っているんだから」
ウンディーネはミラに勝ち誇るように、腕を組み、胸を持ち上げるようにして強調しながら言った。
「何を言う!貧乳だってステータスだ!」
勝ち誇った顔をするウンディーネに対して、ミラは思いっきり顔を近づけ反論した。その距離はキスができそうな程である。
俺が内心、あの二人のように喧嘩からのキスの流れが来るかと少しドキドキしてみていると、ミラが突然ウンディーネから体を離すと、俺の側へと一飛びでソファから降り立ち、俺の右腕にしがみついた。
「ちょ、ミラ何やってんの!!」
(おおう……。小さいながらも感じるミラの身体の柔らかさ……)
俺がつい、ミラの胸に意識を奪われていると、ウンディーネが怒ってミラに食って掛かる。
「ふふん。小さい小さい言われている私だって、Bはあるんだぞ」
そう言いつつ更にしがみつきを強くするミラ。その分さらに柔らかさを明確に感じ……って、ちょっと骨の硬さも感じる。
「そんなぺちゃより、私の胸を押し付ける方がマスターも嬉しいよ!」
そう言って今度は左腕に大質量の柔らかさを感じた。……ちょっと幸せかも。
俺を挟んで言い争うミラとウンディーネの声を聞き流しつつも、俺は両方から感じるふにふにに酔いしれるのだった。
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