第12話

「それで、急にやって来たのには何か訳があるのかな?」


 リビングのソファに座ったミラは寝転びながらウンディーネに尋ねているのを、俺は途中だった朝食の量を一人分増やしながら聴いていた。


「うん」

「ほう、どんな?」

「マスターが一人暮らしを始めたと聞いて、既せ……ごほんごほん。同居しよう思って」

「馬鹿め。同居人は私であって、駄精霊は居候にしかなれない」


 ソファから起き上がり、少しだけ起伏のある胸を張りながらミラはドヤ顔しつつそう言った。ウンディーネは、「くっ……!」とノリよく?悔しそうに顔を歪めた。


「いや、ミラも居候だぞ?」

「なんだとっ!?」


 完成した朝食を皿に盛り付けつつ、俺がミラの間違いを訂正すると、ミラは信じられないようにこちらを見た。


「ふっふっふっふっ……。これで、条件はイーブン。ここから私の下剋上が始まる……」

「いや、ウンディーネをここに住まわすのとはまた別の話なんだが?」

「ガーンッ……」


 落ち込むミラを嬉しそうに煽るウンディーネの勘違いも正すと、ウンディーネは口で擬音を言って、ミラの隣に崩れ落ちた。


「……お願いします。養ってください」


 そう言いながら四つん這いのままウンディーネは俺の足にすがりついてきた。


「いや、流石に……「何でもする。自由におっぱいも揉んでいいから」よし、少し考えよう」


 俺が手のひらを返すと、ミラは小さく「……主殿の助平」と呟いた。いや、男ならこんな大物自由に出来ると聞いたらついつられちゃうから。


「……早速お触りする?」

「いや、胸つき出さなくていいから」


 ドーンと、たわわなお胸様を迫力満点でつき出すウンディーネの肩を抑えて、俺は落ち着くように説得した。


「……ガン見してるくせに」

「……ミラ、これは男の悲しい性なので、そっとしておいて下さい」


 俺はジト目で睨んでくるミラにそう言って懇願するのだった。

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